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2015.05.08
【連載・暮らしと、旅と…】糸島半島1日ドライブめぐり・前編
トラベルライター朝比奈千鶴による、暮らしの目線で旅をする本連載。糸島編第4回である今回は、糸島半島1日ドライブめぐりの前編をお送りします。 前回ご紹介した「糸島くらし×ここのき」制作の本「糸島おくりもの帖」を見ながら,気になる場所を地図にポイントしておき、「さて、行くぞ」といざ走り出してみると、ここにもあそこにも、と立寄りたい場所がいっぱい。1日ではとうてい回りきれません。「また来よう」と心に決めて糸島半島を車でめぐった場所をご紹介します。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * 糸島を観光する醍醐味は、なんといっても海岸線の雰囲気にあるらしい。そのムードは、カリフォルニアに近いという情報も。彼の地は何度かロングドライブをしたことがあるのでどんなムードなのかは少しだけ想像できますが、サーファーが波を求めてやってくる場所だけに、さぞかしアメリカ西海岸を彷彿させる開放的な空気が流れているのだろうと運転するのを楽しみにしていました。この日は快晴。筑前前原駅付近をスタート地点にし、さて、海に向かってGO!
ドライブの参考は、糸島のお店やホテル、観光案内所などに置いてある無料配布のマップ。糸島だけをトレースしてあるのでひと目見るだけで、位置関係がわかり、便利です。詳細なものを求めるならば、観光協会で手に入る「ぷらりーと糸島ガイドマップ」がわかりやすくておすすめ。海岸沿いにあるベーカリーレストラン「CURRENT(カレント)」でモーニングを食べながら、地図をじっくり眺めることにします。まずは実際に走ってみないと、位置関係や方向などがよくわからないのです。 CURRENTは、休日は並ばないと入れないほど人気のお店と聞き、早めに行ってみようと8時のオープンにあわせて行ってみると、平日だというのに既に何席か先着のお客さんが座っていました。海岸沿いながらお店は高台にあるので、海が見渡せていい感じ。 開放感にあふれたテラス席に座りたかったのですが、この日は風が強かったのでテラス席の景色だけ堪能し、屋内で食べることにしました。でも、併設のベーカリーで焼いたばかりのパンをほおばると、早くもアメリカ西海岸にいるような気がしてきました。いえいえ、ここは糸島半島。目の前は玄界灘です。
糸島の養鶏場から届く「てつやとのりこの卵」で作るベーコンエッグにサラダ、コーヒーと食べきれないほどの焼きたてパンで880円。優雅な朝食に朝から気分は上々。毎朝モーニングを食べに来ているという常連夫婦の奥様いわく「CURRENTのモーニングを食べてゆったりした気分で朝を迎えるのが夫婦円満のための“投資”なのよ」とにっこり。なるほど、今後のために覚えておきましょう。 ◯CURRENT(カレント) [所] 福岡県糸島市志摩野北向畑2290 [TEL]092-330-5789 [時間]8:00~21:00(モーニングは8:00~ 10:00、L.O.20:00) [休] 水曜・第1火曜 [HP] http://www.bakeryrestaurantcurrent-2007.com/ 食後は、黒田藩ゆかりの櫻井神社、そして同じ敷地内にある櫻井大神宮を目指すことにしました。 伊勢神宮の分霊を祀る櫻井大神宮は、パワースポットとはこういうところなのかのかも、と思えるような日常とかけ離れた静粛な空間。一方、櫻井神社のほうは、人気アイドルグループの一員の名字と同じ名前とのことでファンが巡礼するパワースポットのひとつでもあるらしく、女性ひとりの参拝客を朝から数人見かけました。カメラを持ってうろうろしている私も、そのひとりと思われたかもしれませんね。
神社を抱くように囲む鎮守の森の清らかな空気を感じに行くなら、朝がおすすめです。ピンと張りつめた空気に触れると神聖な気持ちになると同時に、土地への尊敬も感じられるような気がするから。これは糸島だけでなく他の土地でも同様に感じます。 ◯櫻井神社/櫻井大神宮 [所] 福岡県糸島市志摩桜井4227 [TEL] 092-327-0317 [時間]9:00~17:00 [休] なし [HP] http://sakuraijinja.com/
志摩サンセットロードは全長33.3㎞。道の始まりであり、終わりともいえる地点、桜井二見ケ浦(さくらいふたみがうら)は櫻井神社からすぐの場所にあります。 夕景の美しさで、日本の渚・夕陽百選にも選ばれている糸島観光のハイライトともいえるような場所ですが、この日は夕方に曇りの予報が出ていたために午前中に立ち寄ることにしました。 まずは、夫婦円満、縁結びのシンボルとされる夫婦岩にごあいさつを。夏至にはこの二つの岩の間に夕陽が沈むそうで、滅多に見られない神々しい風景を見るために多くの人が訪れる場所です。朝から車を飛ばしてやってきているカップルの姿が微笑ましい。朝は自転車やバイクでの参詣の人が多く、岩を背に、記念写真を撮っている人を見ると、絶好の写真スポットでもあるようです。 さて、そろそろお目当ての工房やギャラリーのオープン時間を迎えそうなので、桜井二見ケ浦から54号線を芥屋(けや)方面に向かいます。彦山をぐるりと回る海岸線の道路を行けば、ドライブが楽しい海沿いの峠道。ここはサイクリストにも人気のアップダウンの激しい景色のよいコースで知られています。今の季節は窓を開けっ放しで走ると気持ちいい!
幣(にぎ)の浜にたどり着いたら左折します。 志摩小金丸のあたりは、陶や木工のクラフト作家のアトリエ&ショップがあるほか、フェアトレードやオーガニックなどのスペシャリティコーヒーを扱う焙煎工房「Petani coffee」があります。喫茶スペースもあり、ドライブ休憩にぴったり。 私が訪れたときは、コーヒーマイスターの資格を持つロースターの竹田和弘さんが選び、焙煎したコーヒーを求めて近所の常連さんや旅行者がひっきりなしにやってきていました。ちなみに、petani(ペタニ)という名前は、インドネシア語で「農家」という意味です。お店をオープンする前に、コーヒー生産者を訪ねておこうとインドネシアやパプアニューギニアなどを旅をしたという竹田さん。現地で出会った農家さんのコーヒーに対する熱い想いや丁寧でまじめな働きぶり、それに相反するような勤労環境の現実に触れ、それでも笑顔で働く彼らのことを忘れないようにと店名を決めました。
喫茶スペースの木を生かしたインテリアはのんびりとしたお休み処の佇まい。外にはヤギやウサギもいてゆったりと和む場所でした。この6月には、現在のお店から車で10分程移動した場所にある古い建物に移転が決まっており「今後も店名にこめられた想いを引き継いでいきます」と竹田さん。建物やコーヒー、環境を生かした表現を考案中とのこと。次のお店も楽しみですね。 ◯Petani coffee [所] 福岡県糸島市志摩小金丸1737-4 [TEL] 090-7534-9224 [時間] 12:00〜19:00(土日祝日は10:00〜) [休] 火曜 [HP] http://petanicoffee.com/
糸島は車がないと回れないか、というとそうでもありません。貸し切りの観光タクシーやレンタルの電動アシスト自転車を使うという選択肢もあります。筑前前原駅から海を目指すなら、大きなアップダウンはないので自転車でも問題ないでしょう。ただし、サンセットロードは海沿いになるので、風が強いときは車がよいでしょう。筑前前原駅の近くでレンタカーをすることも可能ですし、電動アシスト自転車は観光協会でも貸し出しをしているので事前に問い合わせてみてください。 私は当初自転車でめぐろうとしていましたが、この日は風が強かったので諦めてレンタカーでめぐったのでありました。糸島ドライブ旅は、次回・後編へ続きます。お楽しみに。
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朝比奈千鶴