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2017.07.09
箸でいただく10段巻のソフトクリームが名物。昭和のレトロな雰囲気に浸れる「マルカンビル大食堂」
※こちらの記事は2017年7月9日に公開されたものです。 岩手県花巻市の「マルカンビル大食堂」は、1973年にオープンしたデパートの大食堂。2016年6月に惜しまれながら閉店しましたが、「あの場所を無くしたくない」という市民有志やファンの熱意で今年復活! オープン時から変わらないノスタルジックな空間と、名物のソフトクリームが、花巻のまちに戻ってきました。
1973年に生まれた、花巻市民憩いのスポット
2017年2月に復活オープンした「マルカンビル」。大食堂がある6階と、1階のみ営業している
JR花巻駅から歩いておよそ15分。アーケードのある商店街のほぼ中央に、8階建ての「マルカンビル」はあります。 1973年に「マルカン百貨店」としてオープンし、花巻エリア唯一のデパートとして地元の人々に親しまれてきました。特に6階の「展望大食堂」はいつもお客さんで大盛況。オープン当初そのままのノスタルジックな空間は、市民憩いの場としてだけでなく、全国からもファンが訪れる人気のスポットでした。
復活した大食堂。内装や備品はほぼそのまま。ウエイトレスの制服も変わっていないそう
しかし建物の老朽化が進み、補修には多額の費用がかかることなどから、2016年6月に閉店することが決定。大食堂も無くなってしまうことに。 市民をはじめ多くの人々が閉店を寂しく思うなか、「大食堂を可能な限りそのまま残そう」と立ち上がったのが、地元のリノベーションまちづくり会社「花巻家守舎」でした。 費用を賄うための試算や経営計画を練る一方、「同じ思いの人たちにも主体的に関わってほしい」と、クラウドファンディングで資金を募集。たくさんの熱意が集まり、2017年2月に「マルカンビル大食堂」として復活を遂げました。
箸で食べるのが当たり前? 一番人気のソフトクリーム
「ソフトクリーム」(180 円)。広い食堂を見回すと「箸でつまんで」食べている姿があちこちに
復活した「マルカンビル大食堂」は、内装はもちろん、メニューもほぼ以前のまま。軽食からお寿司、ラーメン、ハンバーグなど幅広く、なんと110種類以上! 入り口のショーケースにはサンプルがずらりと並び、あれこれ目移りしてしまいます。
メニューのほとんどがサンプルとして飾られている
中でも「マルカンに来たらこれははずせない」という鉄板メニューがソフトクリーム。10段巻きの大迫力で、高さはなんと25cm以上。180円という値段の安さにも驚きます。
ソフトクリームを巻く係は2人。絶えず入ってくるオーダーに対応する姿はまさに職人
このソフトクリーム、あまりにボリュームがあるため、箸で食べるのが地元流。友達や親子でシェアする人も多いようです。
ボリューミーな「ナポリかつ」(780円)も売り切れ必至の人気メニュー。
赤ちゃん連れのファミリーからスーツ姿のサラリーマン、お年寄りのグループまで、あらゆる年代の人たちが思い思いに食事を楽しむ姿はとてもおおらか。 「この食堂は、地域のみんなのリビングルームなんです」。そう話してくれた、花巻家守舎代表・小友康広さんの言葉がぴったりとはまります。
地元の「いいもの」集めた1階フロアにも注目
地元で作られている民芸品や食器、郷土菓子などのほか、県内外から集めたインテリアや雑貨も並ぶ
復活したマルカンビルの魅力は、6階大食堂だけではありません。 1階フロアの「Marble+(マーブルプラス)」には、岩手・花巻を中心とした暮らしの良品を扱うセレクトショップ「5th SEASON」、オリジナルブレンドのコーヒーや地元食材を使ったサンドイッチ、スイーツを楽しめるカフェ「MarbleCoffeeStand」、キッズスペースなどが入居。
マルカン名物のソフトクリームをモチーフにした小さな人形など、オリジナルの民芸品や雑貨も。
地元食材を使ったメニューを提供する「Marble CoffeeStand」。バータイムには地ビールや地酒も
カフェスペースのテーブルや椅子は誰でも利用可能。ちょっとした休憩やサークルのミーティングに使われるほか、ライブやトークイベントなどに利用されることも。花巻の新しいコミュニティスペースになっています。 誰でも肩肘はらずにくつろげる「昭和の大食堂」と、地元の良品が並ぶショップやカフェ。 復活したマルカンビルは、観光地とはまた違う、花巻の等身大の魅力を発信するランドマークです。
マルカンビル大食堂
マルカンビルダイショクドウ
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鈴木いづみ
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