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2015.09.30
お気に入りの手仕事雑貨が見つかる「ツグミ工芸舎・百果店ひぐらしストア」
埼玉県の西の端に位置する秩父市。かつて織物産業で栄えた古い街並みの中に、全国各地の工芸作家の作品を扱う雑貨店があります。カトラリーや食器、ファッション小物、子どものおもちゃまで、扱う商品はどれも店主自身が実際に手に取って、気に入ったものばかり。自分のための旅のおみやげにも最適です。
昭和初期の建物をリノベーションしたレトロな店構え
都心から電車で約1時間半という場所にありながら、豊かな自然に囲まれ、現在は多くの観光客が訪れる秩父地域。その中心部、秩父神社の周辺は、かつて織物産業で栄えた街の面影を感じながら散策ができるエリアです。 なかでも、織物工場が商品を取引するための出張所が集まっていた買継商通りと黒門通りには、今もそれら昭和初期の建物がそのまま残されており、国の登録有形文化財に指定されているものも。 この一角に「ツグミ工芸舎・百果店ひぐらしストア」があります。 古い木造の建物が立ち並ぶ通りを歩いていくと、入り口にかわいらしいのれんがかかった一軒が。中に入ると12畳ほどの土間と、奥には6畳ほどの和室があり、食器からおもちゃまで、さまざまな工芸品が美しくディスプレイされています。その様子は、まるで小さな百貨店のようです。
絵本の原画を中心とした企画展を開催中の店内
実用的で温かみのあるツグミ工芸舎のオリジナル木工雑貨
木製のカトラリーは1600円〜、お皿は17000円
工芸品を中心に扱う「ツグミ工芸舎・百果店ひぐらしストア」は、木工作家でツグミ工芸舎を主宰する足立志次磨さんと妻の由美子さんが営むお店です。ツグミ工芸舎が手がけるのは、秩父の木材を使ったカトラリーや食器などの生活雑貨や家具。その時に手に入った古材や間伐材などを使って、ひとつひとつ手作業で作られていることから、形や風合いがそれぞれ違います。お箸やスプーンなどは手にしっくりと馴染み、使い心地の良さは格別。握りやすいように微妙なカーブがつけられた離乳食用のスプーンもあり、名入れもしてもらえることから、出産祝いとしても人気だそうです。
インテリアとして飾りたい木製の人形は一体10000円
秩父ではここだけでしか手に入らない「秩父太織」の小物
秩父太織のストールは39000円、椅子は35000円
そのほか、こちらでは全国各地の作家作品がそろいます。どれも、足立夫妻が偶然出会ったり、知人から紹介されて作品にふれ、気に入ったものばかり。例えば、絹織物・銘仙の古布を使ったアイテムを製作している「Que-Meisen(キメイセン)」の日傘や洋服、つるかご作家・石黒綾子さんのかご、「てしごと足靴工房」の手作りの靴など。時期により扱う商品は替わるそうです。 なかでも、秩父銘仙の源流といわれる織物「秩父太織(ちちぶふとり)」の商品は、他ではあまり手に入らない珍しいもの。かつて、製糸農家が商品化できない繭を使って野良着を作ったことが秩父太織の始まりだそうですが、今これを織ることができる作り手は秩父でも2人しかいないとのこと。綿や麻のような自然な風合いで着やすく、丈夫で自宅で洗濯できるのが特徴です。こちらでは、作り手の一人、北村久美子さんが立ち上げた工房「Handweaver Magnetic pole(ハンドウィーバー・マグネティック・ポール)」で作られたストールなどの小物を買うことができます。
ワークショップやミニコンサートなどイベントも開催
開催中のイベント限定で、北海道にある「菓子美呆」のお菓子の販売も
現在、「ツグミ工芸舎・百果店ひぐらしストア」は、週末を中心に開催されるイベントの期間中のみ不定期でオープンしており、イベントごとにさまざまな商品が展示販売されます。この日は、絵本の原画などを展示する企画展「常夏ピアノ」が開催中で、夕方からはライブも行われました。 また、イベントごとにワークショップなども開かれており、作家と交流しながら、ものづくりを楽しむことができます。今後のイベントやワークショップの予定はお店のHPやFacebookに掲載されるので、出かける前に確認を。 旅のおみやげに、自分だけのお気に入りを探しに訪れてみてくださいね。
ツグミ工芸舎・百果店ひぐらしストア
ツグミこうげいしゃひゃっかてんひぐらしストア
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相馬由子 写真:斉藤美春
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