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2015.11.06
美術館好き必見!奪われた名画たちを取り戻すノンフィクション映画『ミケランジェロ・プロジェクト』
美術館巡りは好きですか? 世界各国の有名な美術館を巡って、素晴らしい芸術作品を鑑賞するのは、この上ない贅沢ですよね。私たちが世界の有名なアートを楽しめるのは、実はある特殊部隊のおかげだということを、ほとんどの人は知らないと思います。 今回紹介するのは、ナチスに奪われた世紀の美術品を奪還し、それらをあるべく場所に戻すために奮闘した、1943年に発足したチームの活躍を描いた作品です。実話を基にしたその映画『ミケランジェロ・プロジェクト』が本日公開されました。
次々と奪われたダ・ヴィンチやミケランジェロの名作の数々
第二次世界大戦の終戦間際。ドイツ軍はヒトラーの命により、侵攻したヨーロッパ各国の美術品を次々と略奪していました。その中には、 レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」や「モナ・リザ」、ファン・エイクの「ヘントの祭壇画」、ロダンの「ダヴィデ像」、ミケランジェロの「聖母子像」、そのほかレンブラント、ルノワール、ゴッホ、ピカソなどの数々の名作が含まれていました。 これらの歴史的財産の喪失を阻止するため、ハーバード大学付属美術館のストークス館長(ジョージ・クルーニー)はルーズベルト大統領を説得。ナチスから美術品を奪還するミッションを遂行するために、特殊部隊“モニュメンツ・メン”を結成します。ストークスはまず初めに、ニューヨークのメトロポリタン美術館を訪れ、学芸員のグレンジャー(マット・デイモン)をスカウト。
欧米から芸術のエキスパートたちが集められる
ストークスは次々とメンバーをスカウトしていく
グレンジャーのほかにモニュメンツ・メンのメンバーに選ばれたのは、イギリスの元歴史家・ジェフリーズ(ヒュー・ボネヴィル)、シカゴの建築家・キャンベル(ビル・マーレイ)、フランス人美術商・クレルモン(ジャン・デュジャルダン)ら芸術に精通した専門家たち。 彼らはアートのエキスパートですが、戦争経験はゼロ。それなのに、戦場の最前線に赴き、美術品の捜索に乗り出すことに。
最前線で奮闘するメンバーとは別の任務に就くグレンジャー
美術品奪還のカギを握るシモーヌに接触
そんな中、情報を収集するために、グレンジャーはパリのジュ・ド・ポーム国立美術館の学芸員・シモーヌ(ケイト・ブランシェット)を訪ねます。彼女は、ヒトラーの腹心であるゲーリングの下で働かされていましたが、美術品の行方を細かに記録し続けていたのです。 最初はグレンジャーを警戒するシモーヌでしたが、やがて芸術を愛する者同士、心を通わせていきます。 危険な目に遭いながら、奪還任務を遂行していくモニュメンツ・メン。美術品のために体を張った英雄たちがたどり着く結末とは…?
ジュ・ド・ポーム国立美術館はパリのコンコルド広場(上)の近くにある
監督・製作・脚本・主演を務めるジョージ・クルーニーのもと、実力派豪華俳優陣が集結した『ミケランジェロ・プロジェクト』。フランスのノルマンディーやパリ、ドイツのジーゲンなど、ヨーロッパ各地を舞台に描かれる本作は、私たちが知る世界の美術品を守ってくれた実在の人物たちの物語です。 芸術の秋。この映画を観て、名作がたどった数奇な道のりに思いを馳せみてはいかがでしょうか。
『ミケランジェロ・プロジェクト』 監督・脚本・製作:ジョージ・クルーニー 脚本・製作:グラント・ヘスロヴ 原作:「ミケランジェロ・プロジェクト」ロバート・M・エドゼル著(角川文庫、上下巻) 出演:ジョージ・クルーニー、マット・デイモン、ビル・マーレイ、ジョン・グッドマン、ジャン・デュジャルダン、ボブ・バラバン、ヒュー・ボネヴィル、ケイト・ブランシェット 提供:プレシディオ ビー・ブレーブ 三共プランニング 配給:プレシディオ 協力:松竹 2013年|アメリカ|カラー|5.1ch|DCP|シネスコ|118分|字幕翻訳:松浦美奈|原題:THE Monuments Men (C) 2014 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved. 2015年11月6日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー 公式サイト :http://miche-project.com/
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清水久美子
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