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2020.08.01
坂の上に建つ尾道カルチャー発信地「LOG」へ
瀬戸内海を一望する山の手に、まるで迷路のように細い路地や石段がのびる尾道。「坂の町」として知られるこの場所に、尾道の人や暮らし・文化が交差する複合施設「LOG」が誕生しました。カフェで瀬戸内素材のスイーツを味わったり、ホテルで暮らすように過ごしたり。世界から注目を集める「LOG」の魅力を紹介します。
坂の上に建つアパートメントを複合施設に再生
風格ある門をくぐって敷地内へ
尾道のシンボル・千光寺へと続く石段の途中。坂と町と海を見渡す山の手に、「LOG」はあります。デザインを手がけたのは、インドの建築家であるビジョイ・ジェイン氏率いる「スタジオ・ムンバイ・アーキテクツ」。その土地の歴史や文化を理解し、天然素材、伝統的な技術、手仕事を活かす建築手法を用いて、役目を終えた築約60年のレトロなアパートメント1棟を丸ごと再生させました。
(左上)3階建てのアパートメントを複合施設に再生 (左下)塗料のサンプルをディスプレイ (右上)中庭を囲むオープンスペース (右下)ギャラリーでは「LOG」ができるまでのプロジェクトの軌跡を展示
中庭をかこむように建つL字型の建物は、カフェ&バー、ダイニング、ギャラリー、ショップ、客室、ライブラリーで構成されています。光が降り注ぎ、風が通り抜ける開放的な空間では、観光客だけでなく、地元の人がピロティでくつろいだり、庭を散歩したりする光景も。尾道の新たな風景を「LOG」が作り出しているのを感じます。
瀬戸内の食材を主役にした「カフェ&バー」と「ダイニング」
(左)ある日のカフェメニューは、瀬戸内の柑橘を使った「クレームシトラスパフェ」1100円 (右上・右下)漆の朱色で統一したインテリアがピンク色の壁とマッチし、温かみのある空間に
「LOG」では、カフェ&バーとダイニングの2つの飲食スペースを用意しています。ピンクの壁に囲まれた異国情緒あふれる空間が、カフェ&バー「Atmosphere」です。ここでいただけるのは、瀬戸内の食材を主役にしたスイーツやドリンク。現在は11:00〜19:00までの営業で、日本ワインやウィスキーなどのアルコールも楽しめます。窓の外に広がる港町のパノラマビューにも酔いしれそうです。
(左上・右上)1階にあるダイニング。空間の随所に上質さが漂う (左下・右下)ある日のランチの一例。2200円で予約制。
一方ダイニングは、グリーンを基調にした空間が印象的。窓の外に茂る木々の木漏れ日がキラキラとで差し込み、まるで木陰のような心地よさに包まれています。こちらでは、宿泊者限定の朝食ほか、ビジターも利用できる昼食・夕食を提供。料理の監修を行うのは、料理家の細川亜衣さん。近隣の契約農家が大切に育てった野菜を使い、素材の滋味をぐんと引き出した一皿に魅了されます。
作り手の物語が詰まった逸品を集めた「ショップ」
まるでギャラリーのように、美しく商品をディスプレイ
ホテルのレセプション機能を備えたショップにも、ぜひ立ち寄ってくださいね。尾道メイドの調味料、瀬戸内生まれの雑貨や衣類などを美しくディスプレイ。そのひとつひとつに宿るストーリーまでもしっかりと見つめ、セレクトした逸品は、暮らしを上質にしてくれるものばかりです。またショップでは、オリジナル商品も多数展開しています。地元の店や生産者と開発した「新しい尾道みやげ」にも注目です。
心地良さと優しい光に包まれる「ホテル」
(左上)大きな窓を開けると、尾道の風景が広がる (右上)セージグリーンの壁に包まれたライブラリー (左下・右下)和紙職人ハタノワタル氏による手漉き和紙が全面に張られた客室
建物3階に6部屋ある客室は、壁から天井、床まで、上質な手漉き和紙を張り、まるで繭のように人を包み込む空間に。縁側にはインドの職人が手がけたスツールが置かれ、和とインドの要素が不思議とマッチしています。ビジョイ氏の書斎をイメージしたライブラリーは、宿泊者限定の空間。本を読んだり、窓から望む尾道水道を眺めたり、暮らすようにゆっくり過ごす尾道時間を体感してください。
「ことりっぷマガジン夏号 VOL.25」では、今回紹介している「LOG」のほかに、女性オーナーが営む素敵なお店や路地裏の本屋さんなども掲載。暮らすように尾道をめぐる、そんなヒントがいっぱいですよ。
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井手口陽子 写真:森昌史
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