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2020.09.22
毎日使いたくなる器に出会える。信楽「古谷製陶所」
愛嬌のあるたぬきの置物で知られる信楽焼ですが、暮らしになじむ食器もたくさん作られています。約200の窯元や製陶所があるなかで、あたたかみのある白い器が人気を集めているのが「古谷製陶所」。日常のさまざまな場面で心を和ませてくれる表情豊かな器が、手作りで生み出されています。
先代から受け継いだ、粉引きの白い器が代表作
白いポーチを抜けて、ショールームへ
信楽高原鐵道信楽駅から車で約10分。町の中心部から少し離れた住宅街に「古谷製陶所」があります。代表の古谷浩一さんと姉の香織さんを中心に、15名ほどのスタッフからなる製陶所。併設されているショールームには、古谷製陶所の種類豊富なアイテムのほとんどがそろっています。
ショールームは、家庭のダイニングをイメージしたあたたかな雰囲気
古谷さんの父・信男さんによって設立された製陶所。茶器として使われることが多かった粉引きの器を、ふだん使いできるようにしたいと考えた信男さんは、二度焼きする新たな手法を確立。汚れの付きやすさや強度不足が解消され、それ以降、粉引きの白い和食器は古谷製陶所の代表作になっています。
器づくりのテーマは〝暮らしに寄り添う〟
ろくろでの作陶を担当するほか、新しいデザインの考案も行う浩一さん
製陶所を受け継いだ浩一さんが器づくりで大切にしているのは、毎日使いたくなる器であること。そのために必要な、使いやすい大きさや軽さへの意識は、親子で作陶に励んだ時期に教えられたものだそうです。
脚付きのコンポート皿や八角プレートは人気のアイテム
伝えられた技や思いを守りながら、時代の流れに沿うように変化も加えています。「洋食が中心になってきた家庭料理に合わせて、和の風合いは残しながら、洋食を盛る形をイメージすることが多くなりました」と浩一さん。料理がおいしく見えると定評のある器をさらに進化させたいと、料理家とのコラボレーションによる器づくりにも取り組んでいます。
浩一さんがデザインした、かわいらしい形の「りんご鉢」(1430円~)。サイズや色違いで買いそろえる人も
色や形も豊富に。ますます広がるラインアップ
花入れとして使うのもいい、グレー釉とサビ釉のピッチャー(3300円~)
独自にブレンドした土を使う古谷製陶所の白い器には、やわらかさやあたたかさが感じられるのが魅力。白い表面のところどころに土の色や焼き色がのぞくのは、信楽焼らしい素朴な土味です。 型を使うタタラ成形とろくろ成形を併用しているので、それぞれの特徴を生かした多彩な器がそろう古谷製陶所のラインアップ。白い器になじむ色物も徐々に取り入れられ、さらに種類が豊富になっています。「手作業なので形が決まり過ぎず、表情に違いがあるのも信楽焼の魅力」なんだとか。それぞれに異なる表情に引かれるものを感じたら、長く付き合える大切な器との出会いかもしれません。
リム(縁)が花びらやフリルのように美しいお皿。輪花深皿(2420円~)とラッフルプレート(1870円~)
古谷製陶所
フルタニセイトウショ
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豊野 貴子 写真:山本 章貴
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