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2023.03.07
2023年限定の記念御朱印めぐり&天空の聖地・高野山で、弘法大師御誕生1250年を体感する旅へ
山上の厳しい冬が明けた高野山(和歌山県)。凛とした空気の中、わずかに春の気配が漂っています。和歌山県北部にあり、大阪市内や関西国際空港から2時間あればアクセスできる世界遺産・高野山と、春らんまんの山麓の町を訪れます。 2023年は、高野山を開いた弘法大師空海の御誕生1250年の記念の年。期間限定で実施される、御誕生イヤーの特別企画も楽しみましょう。
聖地のはじまりは俗世と聖域をわける境界・南海電鉄極楽橋駅
極楽橋駅の天井を見上げると、極楽鳥や高野山ゆかりの動植物が描かれ、これから高野山を旅する人を迎えてくれる
約1200年前のこと。弘法大師空海は、急峻な八つの峰に囲まれた標高約850mの山上盆地に真言密教の修行の拠点を創りました。密教思想に基づき堂宇が配置された「壇上伽藍」、今もなお弘法大師が永遠の瞑想を続ける御廟がひそむ「奥之院」など、いにしえから続く聖地として、荘厳で静謐な雰囲気を漂わせています。
高野山駅まで全長0.8㎞、高低差328mを5分で上がるケーブルカー。片道500円
世界遺産・高野山へ向かう鉄道の玄関口は、南海電鉄極楽橋駅。この地には俗世と聖域をわける境界だという言い伝えがあります。今でこそケーブルカーで山上に行くことができますが、高野山へと続く道はつづら折りの急坂が続く難所。高野山駅まで約5分の短い道のりですが、車窓の険しい山道の様相を眺めれば、大変厳しい参詣であったことを伺い知ることができます。駅構内は色彩豊かな天井画やフォトスポットで彩られ、高野山を訪れる旅人の目を楽しませてくれます。
南海電鉄極楽橋駅
ナンカイデンテツゴクラクバシエキ
06-6643-1005
南海テレホンセンター
高野山を代表する寺院・総本山金剛峯寺と2大聖地を訪れる
左/弘法大師が今も祈り続ける御廟に続く奥之院の参道は神聖な聖域 右上/壇上伽藍のなかにそびえる高さ48.5mの根本大塔。堂内には真言密教の最も大切な教義・金胎不二を立体曼荼羅できらびやかに表現する 右下/金剛峯寺にある石庭・蟠龍庭
真言密教の聖地・高野山が開基されたのは平安時代の初期。高野山という名称の山はなく、山上盆地全体を指す地名で、東西5.5㎞、南北2.2㎞の中に117もの寺院がひしめくように建ち並んでいます。
金剛峯寺の「茶の間」に奉納された日本画家・千住博作の襖絵《断崖図》。「囲炉裏の間」に奉納された《瀧図》とともにともに千住博の画業40余年の集大成を位置づける大作
必ず訪れたいのは、総本山金剛峯寺と二大聖地とされる壇上伽藍、奥之院。金剛峯寺では高野山開創1200年を記念し、現代日本画家・千住博が描いて奉納された襖絵をはじめ、狩野派の襖絵、石庭・蟠龍庭など新旧の芸術と出会えます。主要な法会が行われる高野山の中心・壇上伽藍にあり、堂内に立体曼荼羅を擁する根本大塔は圧巻。奥之院の約2㎞におよぶ参道には、諸大名の供養塔をはじめとする20万基を超える墓標が立ち、参道の最奥にある御廟は弘法大師が今もなお瞑想を続けているとされる神聖な場所です。
弘法大師御誕生1250年記念の御朱印やスタンプラリーも実施
「金剛峯寺 御本尊御開帳」では、天和元(1681)年から伝わる弘法大師坐像を特別に公開
スタンプを集めると、記念品の日本手ぬぐいがもれなくいただける「3霊跡巡礼スタンプラリー」
金剛峯寺
コンゴウブジ
壇上伽藍
ダンジョウガラン
奥之院
オクノイン
ニューオープンした施設で、高野山をより深く知ろう
VRコンテンツは1日7回、1回約30分間の上演。高野山伝統の格子天井を用いた天井造作にも注目を
2022年8月3日(水)にオープンした、高野山の歴史・文化を五感で伝える「高野山デジタルミュージアム」は、VRシアターにカフェやショップを併設する文化複合施設。”心の解放の旅への入り口”のコンセプトのもと、高野山の歴史と文化、その魅力に触れることができます。 250インチの大スクリーンに高輝度プロジェクタ―で映し出されるのが、VRコンテンツ『高野山 壇上伽藍―地上の曼荼羅―』。コントローラーを操作しながら専属ナビゲーターが解説を加えます。高野山の持つ文化資源について知ることで、旅がいっそう楽しくなりますね。
「高野山 精進カレー」(1180円)は、野菜や穀物類がたっぷり入ったベジタリアンメニュー
VRシアター鑑賞後は、ミュージアムに併設されたカフェ「高野山 café雫」でひと休みを。東京・恵比寿のコーヒー専門店「猿田彦珈琲」が手掛けたオリジナルの「高野山ブレンド」コーヒーや、地域で生産された食材と特産品を使ったフード&スイーツをぜひオーダーしてみて。
高野山デジタルミュージアム
コウヤサンデジタルミュージアム
高野山内にある宿坊に泊まって、修行体験で心身を整える
左上/276文字の般若心経を写す写経体験 右上/朝のお勤めは凛とした空気が立ち込める本堂で朝の7時から行われている 左下/料理はごま豆腐や生麩田楽などが少しずつ味わえる精進懐石 右下/食事処として使われている旧書院は、安土桃山時代に創建された庫裏(台所)
山内には50以上もの宿坊があり、料理や部屋タイプなど趣向の異なる宿坊を選ぶことができるのも高野山ならではです。今回訪れたのは907(延喜7)年、済高大僧正が開創した寺院・不動院。本尊は空海が自ら彫ったと伝わる不動明王(秘仏)であることが寺名の由来となっています。
4月は桜、5月はシャクナゲが目を楽しませてくれるのびやかで美しい庭園・吉仙庭。野鳥の鳴く声や湧き出る水の音が聴こえてくるのも、谷間に位置する静かな寺院ならでは
不動院があるのは、宿坊が建ち並ぶ通りから少し奥まった場所。戦国時代に建造された建物もありながら、近代的な設備をそろえ、感染症対策にも配慮した宿坊で快適に過ごせます。朝のお勤めや真言密教の瞑想法のひとつ・阿字観(ともに要予約)も体験でき、“山内随一の静寂”と謳われる寺院で心静かに過ごすことができます。
不動院
フドウイン
ねっとりとした食感と上品な風味の生ごま豆腐を味わう
真言密教の「胎蔵界曼荼羅図」中央にある中台八葉院を模し、器にさまざまな味わいのごま豆腐を盛り付けた胎蔵懐石1900円
高野山のごま豆腐の特徴は白いこと。ごまの皮をむいて芯の部分のみをすりつぶし、吉野葛と高野山麓の石清水で極力シンプルに作られています。店内の食事処で味わえるのは、作りたてのもっちりとした生ごま豆腐。木の芽味噌やずんだなど季節の素材や調味料を変えた創作豆腐もあり、ひとつの膳でいろいろなごま豆腐と豆腐料理が堪能できます。スイーツも人気で、今まで味わったことのないごま豆腐の新たなおいしさと出会えます。
上品なゴマの風味とクリーミーな食感のごま豆腐に、黒蜜と香ばしいきな粉を添えたデザート「金ごまとうふ」490円
角濱ごまとうふ総本舗
カドハマゴマトウフソウホンポ
重森三玲の名庭を眺めながらひとやすみできる寺カフェへ
左/ドリンクは各500円。左はほんのり桜の味が楽しめるさくらソーダ、右はさくらミルク 右上/客殿の奥に広がる広大な石庭 右下/回廊にある椅子に腰かけて庭を眺める
弘法大師の弟子のなかでもとくに優秀だったと伝わる真然大徳が開基した宿坊・西南院。高野山参拝の入口にあたる大門のそばにあり、庭に面したカフェコーナーが人気です。見どころは昭和を代表する作庭家・重森三玲の庭。鶴と亀を表現した石組みと、季節によって趣を変える植栽が訪れる人の目を楽しませてくれます。宿泊しなくてもカフェのみの利用が可能でテイクアウトもできるので、高野山散策のお供にぜひ。
西南院
サイナンイン
神道と仏教が融合するきっかけとなった神社
古くは“神のみが鎮まる”と伝わる天野盆地に1700年以上前からある古社
高野山の縁起によると、真言密教の道場を開く場所を探し求める弘法大師空海の前に、黒と白の犬を連れた狩人が現れ、高野山の地へと導いたと伝わります。この狩人は丹生都比売大神(にうつひめのおおかみ)の御子・高野御子大神*(たかのみこのおおかみ)の化身。弘法大師は丹生都比売大神からご神領の高野山を借り受けて根本道場を開基したことに深く感謝し、山内の壇上伽藍にこの二神を守護神として祀る御社を建てました。
左上/鏡池にかかる反橋「輪橋」右上/弘法大師空海を高野山へと導いた黒と白のご神犬の伝説にちなんだおみくじ各500円 左下/本殿はGWや盆休み、秋の行楽期間の特定日などの特別拝観あり 右下/毎年4月第2日曜に行われる花盛祭の頃に満開を迎えることが多い天野の里のハナモモ
そのことから縁が深く、高野山に登る前に丹生都比売神社に参拝することが慣習とされ、修行の節目を迎えた僧侶たちは必ずこの神社を訪れます。日本古来の信仰である神道とインドから東アジアに伝わった仏教がこの地で融合し、その信仰は1200年経った今もなおこの地に息づいています。 *丹生都比売神社は丹生明神とも呼ばれる *高野御子大神は高野明神、狩場明神とも呼ばれる
丹生都比売神社
ニウツヒメジンジャ
古民家を再生したカフェで地元産の食材をじっくり味わう
「天野米のお食事セット」(1500円)。ごはんはおむすび、茶粥、卵かけごはんから選べる
世界遺産・丹生都比売神社からすぐの場所にある天野の古民家カフェ「café客殿」。こちらでは、総本山金剛峯寺御用達のブランド米「天野米」を使ったランチが好評です。 国産の飼料を与え育てた天野の地玉子は、ナチュラルな黄身の色が特長。ランチで選べる卵かけごはんでその新鮮な味わいを楽しめるほか、プリンやケーキといったスイーツにも使用しています。自然豊かな天野の恵みを食で堪能できますよ。
café客殿
カフェキャクデン
女将の気配りを感じる、1日1組限定のアットホームなお宿
伝統建築の良さを活かして再生した古民家
「café客殿」から道路を挟んで斜め向かいにある「南峰庵」は、古民家をリノベーションし、2021年に開業した1日1組限定の宿泊施設。最大8名まで宿泊可能なので、家族やグループでの利用も大丈夫です。 土鍋で炊いた「天野米」を使った朝夕の食事や、お宿の雰囲気に合わせてオーナーがセレクトしたインテリア、地元産の自然派化粧品のアメニティなど、細やかなおもてなしの心を感じられますよ。帰りがけには蔵を改修したショップで地元の名産品のチェックもお忘れなく。
お宿 南峰庵
オヤドナンポウアン
いちご狩りや桃の花見など春の体験を紹介する観光案内所
左:いちご狩りができる農家は紀の川市内に4軒ある 右:紀の川の左岸一帯に2㎞に渡って広がる桃畑「桃源郷」©公益社団法人 和歌山県観光連盟
貴志駅前にある観光案内所。春は和歌山県限定品種の「まりひめ」や「さちのか」など甘い大粒いちごが味わえるいちご狩りが予約できます(~5月中旬頃)。また、3月下旬から4月にかけては、紀の川沿いに「あら川の桃」ブランドとして全国に知られる桃の花が一斉に咲き誇る「桃源郷」が見ごろに。うららかな春の日差しのなか、川べりのさんぽやドライブを楽しんでみませんか。
紀の川フルーツ観光局
キノカワフルーツカンコウキョク
果物農家が発信する地場産フルーツのパフェ
左/和歌山県産旬フルーツの農園パフェ1690円 右/和歌山県産のもぎたていちごを使用した春いちごと紀州犬の農園パフェ2390円(4~5月頃)
果物農家「観音山フルーツガーデン」に併設するフルーツパーラー。和歌山産のフルーツの味や魅力を発信する場所として果樹園の一角にオープンし、完熟果物のおいしさとインパクトのあるビジュアルから瞬く間に人気に。看板メニュー「和歌山県産旬フルーツの農園パフェ」をはじめ、季節ごとに旬の果物パフェが登場し、春のイチゴや夏のモモ、ブドウ、イチジクなどフルーツ王国・紀の川ならではの実に多彩な味わいが楽しめます。
観音山フルーツパーラー
カンノンヤマフルーツパーラー
世界遺産・高野山と、さまざまな魅力あふれる山麓の町へ、春を感じる旅にでかけてみませんか?
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白桃澄江
和歌山県観光連盟/和歌山県公式観光サイト「わかやま観光」
世界遺産の高野山や熊野古道を代表とする文化・歴史に彩られる和歌山県は、海・山・川の豊かな自然にも恵まれた地。気持ちよく深呼吸できる癒やしの聖地で心身をリフレッシュしませんか。マスクや密にならないなどコロナ防止エチケットを守りながら、和歌山県の旅をお楽しみください。
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