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2021.07.22
アートな気配が満ちる場所へ、とっておきを探しに 鞍馬口通:前編
どこか懐かしい下町の風情を感じさせる鞍馬口通は、織物のまち・西陣ならではのものづくりの文化が息づいています。昔ながらの京町家が続く風情のある通りで、愛おしい時間とモノに出会ってみませんか?
かつて京の都と外を結んだ鞍馬口通で、アートな出会いを
東は賀茂川あたりからはじまり、西へ西へと金閣寺まで続くのが、今回めぐる「鞍馬口通」。鞍馬口は、かつて京の都とほかの国々を結ぶ出入り口・京の七口のひとつとされていました。それだけに、鞍馬口の名ははるか500年以上前から登場していたとも伝わります。 そんな土地のちからに引き寄せられるかのごとく、近年では、おしゃれなショップやカフェが建ち並ぶようになりました。個性あふれるお店に共通するのは、店主や作り手の温かな思いがあること。出会ったらずっと大切にしたくなる、自分だけの「とっておき」を探しに、鞍馬口通を歩いてみませんか。
暑い夏にうれしいひんやり甘味「うめぞの茶房」
フランボワーズとレモンのかざり羹(各350円)
バス停大徳寺駅から徒歩5分の「うめぞの茶房」は、老舗甘味処「梅園」の姉妹店。看板商品は繊細さと華やかさを兼ね備えたかざり羹です。こしあんを寒天とわらび粉で流し固めた生地の上に、ナッツやドライフラワーをトッピングした、和洋をいいところ取りした新感覚スイーツです。定番6種のほかに季節限定の2種が並び、夏にはあんずやブルーベリーが登場。
「冷やし志るこ」(1200円・宇治茶の煎茶、お好みのかざり羹1個付き)写真はジューシーフルーツや甘夏を使った柑橘の味わい
1階が販売スペース、2階がカフェになっているので、一休みもできます。 暑い夏には、白玉と季節のフルーツとの組み合わせがさわやかな「冷やし志るこ」がおすすめ。毎年、春から初夏には柑橘、7月ごろには桃といった旬の味わいを楽しめます。すっきりとした甘さが夏にぴったりです。
うめぞの茶房
ウメゾノサボウ
ノスタルジックな銭湯カフェ「さらさ西陣」
築90年ほどのどっしりとした建物
おとぎ話に出てきそうな大きな唐破風屋根が目印の「さらさ西陣」は、元は銭湯だった建物をリノベーションしたカフェ。 カラフルなマジョリカタイルや、店の真ん中にある男湯と女湯を仕切る壁など、当時の思い出をそのまま残すレトロな空間。脱衣所や番台があった場所を想像しながらゆったりと過ごすのも楽しみのひとつです。
「さらさパフェ」(880円)はチョコアイスにチョコブラウニーを組み合わせたチョコ尽くしのパフェ
過去には映画のロケ地になったことがあるほか、元銭湯ならではの音響の良さから、ミュージシャンによるライブが行われることもあるのだそう。ぐんと高い天井は抜群の解放感は、まるで湯船に浸かった時のような心地よさの中で、甘いスイーツをのんびりいただきましょう。
さらさ西陣
サラサニシジン
築90年の京町家でアートな出会いを「藤森寮」
店主による紙もの雑貨や各地の作家もののうつわが並ぶ「アートスペースCASAne」
学生寮だった築90年の京町屋が生まれ変わり、作家が集うものづくりの舞台に変身。急な階段やレトロな流し台、手水鉢など、京町家ならではの風景を眺めていると、まるで古き良き時代にタイムスリップしたかのような気分に。
「glass studio may」ではフュージングという技法でアクセサリー作りができる。「一閑張 夢一人」で見つけた和紙を重ねて仕上げる一閑張のイヤリング
建物は緑いっぱいの中庭を挟んで北棟と南棟からなり、ガラス工芸や漆工芸、フェルト雑貨など7つのアトリエやギャラリーが入っています。なかには手作り体験ができるところもあるので、気になる方は事前に公式サイトからチェックしてみて。のんびりとした時間が流れる京町家で、世界でひとつだけの作品を手がけてみませんか。
藤森寮
フジノモリリョウ
タイ料理×民藝のうつわで旅行気分「コイコイ商店」
「本日のランチ」(1100円)は、なくなり次第終了。この日はパッタイ、ソムタムキャロット(人参サラダ)、カイトゥン(茶碗蒸し)、ドリンク、デザートのセット
元々、民藝品に関わる仕事をしていた渡部裕太さんが「全国の手仕事に関わる人たちを応援したい」との思いから開いた料理店。ランチのタイ料理は日替わりで、渡部さんが全国各地で選んできた民藝品の「本日のうつわ」で提供されます。メニューだけでなく食器まで日替わりなのがユニークです。
店内にはL字型のカウンターのほか、テーブル席もある
取り扱う器は質感ゆたかな陶器やガラスなど、個性がありながらもどれも普段使いしやすいもの。実際に使ってみて気に入ったものは購入することも可能なので、気軽に尋ねてみてくださいね。
民藝とタイ料理 コイコイ商店
ミンゲイトタイリョウリコイコイショウテン
約80種のパンから好みが見つかる「トム・ソーヤー」
「クロワッサン」(160円)と「チーズクロワッサン」(190円)。通常より折り目を少なくすることでザクッとした食感を生み出している
地元の常連さんを中心に愛され、30年近く続くベーカリー「Tom Sawyer(トム・ソーヤー)」。店内に並ぶのはバゲットやデニッシュ、総菜パンなど、その数なんと80種類ほど!これは店主・三矢義之さんの「どんな人にもお気に入りのパンを選んでもらえるように」との思いからだそう。
近くの船岡山公園での一休みのお供にしても◎
中でも、ざっくり食感のクロワッサンは、その口あたりの良さとバターの芳醇な香りに驚かされます。具材がたっぷり使ったサンドイッチ系も人気。商品の説明がていねいに手書きされたポップが、好みのパンを案内してくれますよ。
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text:Rei Tanaka(Rakutabi) photo:Yasutaka Ogawa 編集:ことりっぷ編集部 撮影:清水ちえみ
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