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2021.10.29
【京都よりみちこみち】“家具の街”散策と、シンプルで上質な空間でひと休み。夷川通:後編
御所南を東西に走る夷川通(えびすがわどおり)は別名「家具の街」。 京都駅から地下鉄烏丸線で4つめの丸太町駅からすぐのこの通りは、暮らしを彩る上質なモノが集う大人のためのストリートです。丁寧に作られた美しい道具やアクセサリー、確かな審美眼で見いだされたモノがそろいます。
店主の確かな審美眼が光る、ハイセンスなショップめぐり

写真左:縦の通りと交差する場所にオリジナルの看板がある。写真右上:「アグレアーブル」の「パリブレスト」(500円)。写真右下:京町屋をリノベーションした「CUCINA ITALIANA 東洞」のカウンターから坪庭を望む
かつては家具屋や建具屋が軒を連ねてにぎわっていた夷川通。いまは家具の街として栄えたころの面影は少し薄れていますが、店舗の前を通ると往時の名残が見ることができます。 家具店の跡地には居ごこちのいいカフェやハイセンスなショップが誕生したり、移転してきたりと町並みがゆるやかに進化し続けていますが、お店に共通するのは、シンプルでいて上質な世界観。日々の暮らしを心豊かに過ごしてほしい、そんな気風がこの通りには根付いているのかもしれません。
フランス伝統の洋菓子がそろう「アグレアーブル」

写真左:「アグレアーブル」(500円)。写真右上:「タルト・オ・フランボワーズ」(500円)。写真右下:豊富な品揃えの生ケーキ
夷川通と高倉通の交差点近くにある「アグレアーブル」は、フランスや日本の名店で研鑽を積んだ加藤晃生さんがご夫婦で営むパティスリー。 材料、組み合わせ、飾りつけ、すべてにおいてシンプルなフランス菓子の伝統を大切にし、和素材を使わないのが信条です。上質な素材を選び抜きつつ、ふだんの生活のなかにおいしいものをとの想いからワンコインの価格が中心なのも嬉しいですね。

ゴッホの名作『夜のカフェテラス』に惹かれ、鮮やかな黄色を基調にした店内
お店のスペシャリテは、店名を冠した「アグレアーブル」。アールグレイ風味のチョコムースやプロヴァンスの「百花蜜」風味のキャラメルムースが折り重なります。 パン好きの京都人に欠かせないコンフィチュール(780円~)は約22種、生ケーキは常時15種以上、マカロンや焼き菓子と、ラインアップも豊富。情熱と誇りに裏打ちされた確かな味を求め、地元の常連客から本場フランスの味を知る人まで足しげく通います。
Agréable
アグレアーブル
コーヒーのある暮らしを提案する「クラスエビスガワ」

本日のコーヒー(500円)と梅園製「あんがさね」(2個・500円)。口あたりのいいカップは清水焼
「クラスエビスガワコーヒー」は、コーヒーの文化やコーヒー器具の魅力を発信する「KURASU」のアンテナショップ。西陣にある自家焙煎所でローストしたスペシャルティコーヒーが味わえます。

京都の日本茶専門店YUGENとコラボした、抹茶ラテ(600円)。最高級宇治抹茶のシングルオリジンを使用
カフェのメニューには定番が存在せず、時期ごとにベストな豆だけがスタンバイしています。オーダー時に、浅煎りか深煎りか、甘さや苦みの好みなどをバリスタに相談してみて。きっと思いもかけないおいしい出会いが待っています。 広いカウンターで使用している珈琲器具は、すべて購入可能。家でも使ってみたいお気に入りのグッズを見つけたらスタッフに声をかけてみてくださいね。
KURASU EBISUGAWA
クラスエビスガワ
個性豊かなビールと温かみのある和食「タカノヤ」

柑橘やコーヒー、チョコの風味などクラフトビールのもつ多彩さに驚く。「ビール Mサイズ」(350㎖・1100円~)
築80年の京町家を再生した輸入クラフトビールと和食の店「高野麦酒店 -TAKANOYA-」。常時10種そろう国内外のクラフトビールの樽は日変わりなので、行くたびに異なるビールを飲む楽しみがあります。

写真右上:「おばんざい3種盛り」(900円~)。この日は水菜ときのこのおひたし、冬瓜と海老の炊いたん、かぼちゃとカモのそぼろ。写真右下:「お造り盛り合わせ」 (1200円~)。酸味のあるサワーや日本でもなじみ深いピルスナーと好相性
京都や神戸で修業し、腕に磨きをかけた千葉シェフが作る和食の料理も評判です。「食べて、飲んで、スタッフや隣の人と話して輪を広げてほしい」と話す店長の玉本さんは、シニア・ビアジャッジとしてビール審査会にも参加したり、お店で毎月趣向を凝らしたイベントを開催。訪れるたびに新たな発見がありそうです。
高野麦酒店 -TAKANOYA-
タカノヤ
御所南の止まり木でひと休み「鳥の木珈琲」

甘味とコクのなかに果実味もあるバランスのよい味わいのコーヒー「ブレンド」(500円)、「キャロットケーキ」(350円)
自家焙煎の珈琲を味わう「鳥の木珈琲」は、店主の小林さんがひとりで営む喫茶店。どこか懐かしさを感じるこぢんまりとした空間に、珈琲の芳しい香りと湯気がほんわりと立ち上ります。

写真左:自家製の「プリン」(350円)。内装も小林さん自ら手がけた。店名は、そっと羽根を休めてほしいという思いから
フレッシュな飲み口を楽しめるように、コーヒーはこまめに焙煎した新鮮な豆をハンドドリップで丁寧に淹れてくれます。コーヒーの相棒には一度食べたらとりこになると噂のプリンをどうぞ。手づくりのプリンは、材料に生クリームを加えない素朴な味わい。焼く前にひと手間かけて、とびきりなめらかな食感を生み出しています。
鳥の木珈琲
トリノキコーヒー
気さくなトラットリアで自家製パスタに舌鼓「イタリアーナ東洞」

この日のランチフルコース(5500円)の前菜は、滋賀県産鮎のコンフィ 大葉のバーニャカウダソース
北イタリアの一つ星レストランで修業した谷亮佑さんが腕をふるう「CUCINA ITALIANA 東洞」では、常時6~7種をそろえるランチの自家製パスタが評判です。 野菜のピクルスは和食の甘酢に漬けたり、ソースに大葉を入れたりと和素材を巧みに活用。イタリアンの概念にとらわれずエッジを効かせた料理にはファンも多数います。

この日のプリモピアットは、海老とズッキーニのラグー カラスミ風味のパスタ。グラスワインは1000円~
メニューは季節替わり。「ランチフルコース」(5500円)では、前菜からメインのお肉料理まで旬のものが味わえます。 「大きな市場よりも、行きつけの八百屋で店主と会話し、最上の素材を見つけるのが性に合うんです」と語る谷さん。その時々の旬を取り入れ、確かな技術で丁寧に一皿を作りあげています。
CUCINA ITALIANA 東洞
クッチーナイタリアーナとうどう
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Rinako Sato(Rakutabi) photo:Yasutaka Ogawa 編集:ことりっぷ編集部
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