【京都よりみちこみち】歴史ある名店が連なる堺町通・高倉通 後編
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【京都よりみちこみち】歴史ある名店が連なる堺町通・高倉通 後編

大通りに囲まれた、街中を南北に走る歴史あるふたつの通り。喫茶店や甘味処、京菓子の老舗など、街に溶け込む名店を訪ね歩いてみませんか。烏丸駅や錦市場からも近く、観光でも立ち寄りやすいこのふたつの通りをめぐる旅の後編をお届けします。

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高倉通を歩いていると、IKARIYA BAIKA KYOTO からバームクーヘンを焼く甘くて香ばしい香りが漂ってくる

京都の通り名を覚えるための数え歌「丸竹夷」は、東西の通り名を連ねる歌ですが、南北の通りを連ねる歌もあります。「寺・御幸・麩屋・富・柳・堺・高・間・東・車屋町……」このなかで6番目に登場する堺町通と7番目の高倉通。

碁盤の目の洛中にある堺町通りが誕生したのは安土桃山時代。現在の京都の町並みの基盤となった豊臣秀吉の都市改造によって生まれた比較的新しい(といっても今から400年以上前のこと)通りなのです。一方、そのひと筋西側の高倉通は、十条通までのびる通り。平安京のはじまりとともに1200年の時を刻んでいます。隣り合う通りなのに、誕生した時代が800年近くも異なる。そんな小さな発見に出会えることが、長い歴史を紡ぐ京都を歩く楽しさなのかもしれません。
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クラシカルな空間にときめく京都の喫茶店の代名詞

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6種の果物が入った「フルーツサンド」(900円)。少し塩気のあるパンと生クリームの甘さが好バランス。定番の「アラビアの真珠」(650円)とともに

地下鉄烏丸御池駅から堺町通を歩くこと約5分、通りの顔ともいえる「イノダコーヒ」は、創業以来80余年にわたって愛されてきた、京都を代表する喫茶店です。一日のはじまりを彩ってくれるモーニング「京の朝食」からランチ、カフェタイムまで、どの時間に訪れてもゆったり過ごすことができます。

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左:ステンドグラスや暖簾、カップに描かれた獅子のエンブレムは画家だった先代によるデザイン。右:じっくり眺めたくなるメモリアルルーム。

おすすめメニューは、大丸京都店のお隣に四条支店をオープンする際に“ごはんものが主流だったデパートランチに新たな風を”と誕生した50年来のサンドイッチ。タマゴサンド、ハンバーグサンド、ビーフカツサンド、フルーツサンドなどバリエーションに富んでいます。

創業当時の面影を残すメモリアルルームには、創業者である先代のコレクションや記念写真が飾られています。ステンドグラスや暖簾、カップに描かれた獅子のエンブレムは、画家だった先代がデザイン。エンブレムや店のロゴをモチーフにしたオリジナルグッズも人気です。
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挽きたての米粉で焼き上げる絶品バームクーヘン

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ふんわりと軽やかでシフォンケーキのような看板商品「フワフワ」(1080円)

高倉通に面した「IKARIYA BEIKA KYOTO(イカリヤベイカキョウト) 」は、 京都に根差した「イカリヤ食堂」を代表とする「ikariya」ブランドの米粉バームクーヘン専門店。京町家特有の奥行ある「うなぎの寝床」の造りを生かした店内では、注文は手前のカウンターからどうぞ。

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右上:波状の型を当て、遠心力で生地を広げて焼き上げる「ザクザク」1080円。右下:「白あんマロン」(左)も定番商品

使用する米粉は、滋賀県産の農家米を新手法で自家製粉した挽きたてのフレッシュなもの。職人が気候や気温によってオーブンの温度を少しずつ調整し、焼き加減を見極めながら丁寧に層を重ねていきます。

食感を名前にした「フワフワ」は、挽きたての米粉ならではの、ふんわりと軽やかな口当たり。ザクザクとして香ばしく、中はしっとりした 「ザクザク」など定番のものと、季節限定商品をあわせ常時5種ほどが並びます。
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澄んだだしが香り立つ飽きのこないうどん

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右:旨味が染み込んだ椎茸や板麩、厚焼き玉子、生湯葉と三つ葉をのせたかやく(五目)うどん「しっぽくうどん」(680円)。左:「抹茶パフェ」(800円)は、抹茶の品質に定評がある宇治の老舗茶舗・丸久小山園の抹茶を贅沢に使った抹茶ゼリーや抹茶ソフトなど、盛りだくさんな一品

1946(昭和21)年、甘味処として錦市場で創業した「冨美家」は、市場の買い物客でにぎわい、次第にうどんやそばも評判となり、70年以上経った現在でも愛されているお店です。

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たくさんの具材がのった看板メニュー「冨美家鍋」や京名物「にしんそば」に使われているのは、天然の利尻昆布と3種の節をブレンドした削り節でとる透き通ったおだし。時代が変わっても味と値段の手ごろさを変えていないその味わいは、最後まで飲み干したくなるおいしさです。

広々とした和モダンな店内には、テーブル席のほか気軽に座れるカウンター席も。本店が混んでいる場合は、歩いてすぐの錦市場にある錦店をのぞいてみてみましょう。
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昭和で時が止まったようなノスタルジックな銭湯

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お湯の温度は熱め。浅めのお風呂、深めのお風呂のほか、ジェット風呂、電気風呂、水風呂も

錦市場のほど近くで、1927(昭和2)年から暖簾を掲げる銭湯「錦湯」。柳の枝で編んだ脱衣籠「柳行李」や、床に敷いた籐筵、タイル、招き猫など、昭和の時代をそのままとどめた空間は、映画に出てきそうな趣あるたたずまいです。

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浴場のホースのない固定式のシャワーや、水とお湯が独立したカランは創業から変わらぬスタイル

ニット帽がトレードマークの亭主・長谷川泰雄さんを慕って常連客が集い、いまや地域の社交場に。脱衣所にはジャズが流れ、音楽のライブや落語などのイベントも行われています(現在は休止中)。湯上りの一杯にはよく冷えた牛乳やラムネ、冷やしあめなどもスタンバイ。

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京都の伝統食材「湯葉」の魅力を教えてくれる専門店

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「湯葉鍋」(1980円)。事前予約がベター

1804(文化元)年に創業し、一筋に京湯葉づくりを続ける老舗「千丸屋」。5年前のリニューアル時に「湯葉鍋を通じて湯葉を身近に感じていただき、自宅でも湯葉を楽しんでほしい」との思いから、食事処を併設。

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「湯葉鍋」は、湯葉の炊き込みご飯と甘味付き。野菜、鶏肉つみれと3種の湯葉を昆布だしで煮て、2種のつけダレでいただきます。
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右:おみやげにおすすめの乾燥湯葉「徳用ゆば」(中・1728円)

湯葉の原料は、老舗問屋から仕入れる良質の大豆とまろやかな京都の地下水。豆乳を湯煎でゆっくりと温め、引き上げるタイミングを変えることで厚みや形、食感の異なる湯葉を作るのだそう。 お刺身として食べられる生湯葉や乾燥湯葉も販売 。乾燥湯葉は、卵と合わせてあんかけ仕立てにしたり、スープや煮込み料理にパッと入れたりするだけで簡単に食べられる便利な食材。おみやげにしてぜひ自宅でアレンジを楽しんでみて

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千丸屋 本店

センマルヤホンテン

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