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2024.10.03
築120年の時を紡ぐフォトジェニックな近代建築「京都府庁旧本館」へ
京都府の行政を担う京都府庁のメイン棟として、1904(明治37)年から67年間にわたって活用された「京都府庁旧本館」。創建当時の姿をとどめる現役の官公庁建築として日本でもっとも古く、現在は国の重要文化財に指定されています。旧本館を象徴する正庁をはじめ、旧知事室、旧議場の内部を曜日限定で見学することができます。欧州のお屋敷を思わせるクラシカルな空間で、自分だけのフォトジェニックスポットを探してみませんか。
京都御所の西側、政の中心部へ
1904(明治37)年、幕末期の京都守護職屋敷跡地に建てられた
地下鉄丸太町駅から北西方面へ10分ほど。釜座通の正門の先に現れるシンメトリーな洋館が「京都府庁旧本館」です。その周りを囲むように議会棟と1~4号館が建っています。毎週火曜日から金曜日までの平日と、第1・3・5土曜日には、事前予約不要で旧本館の正庁、旧知事室、旧議場の内部が見学できます(10名以上の場合は要予約)。 外観はルネサンス様式の洋館ですが、内部には和の意匠を取り入れており、和洋折衷の造りとなっています。設計を担当したのは、京都府技師の松室重光。本務は神社仏閣の修復でしたが、中京区の京都ハリストス正教会など京都に残る名建築も多く手がけた人物です。
移ろう季節を窓に映す白亜の大階段
フォトウェディングの撮影場所としても人気
正面玄関から中へ入ると、エレガントな大理石の手すりを備えた大階段が目の前に! 映画に登場しそうな美しい空間に、胸が高鳴ります。光が差し込む大きな窓は、春は薄紅、夏は緑、秋は紅へ、中庭の樹々の色を映します。
ゆらぎが見られるレトロガラス越しに中庭を望む
細部に施されたデコラティブな彫刻も見逃せない
階段を上がって2階へ。一般公開されていない各部屋では今も府庁の職員たちが働いている
京都府庁旧本館の顔となる正庁
設置されたピアノは、開室時間中なら自由に弾いてOK
外から見たとき、2階にバルコニーと3つの丸窓を備える部屋が、正庁。大正天皇と昭和天皇の即位の礼の際にここで閣議が開かれるなど、時代を超えてさまざまな公式行事や式典が行われてきた、京都府庁旧本館を象徴する部屋です。深紅の絨毯に立ち、視線を上に移すと、和風建築のなかでも格式の高い折上小組格天井が目に留まります。
歴代知事が使用した旧知事室
重厚な雰囲気の旧知事室。東側の窓からは比叡山が一望できた
建物2階の南東角にあるのが、67年にわたり24人の知事が使用した旧知事室です。 旧知事室、旧食堂、旧応接室の3つの部屋は、それぞれ異なる暖炉のデザインにも注目を。とくに旧知事室の暖炉は、大理石にタイルを組み合わせ、上部に大きな鏡を取り付けたもので、知事室にふさわしい華やかなデザインになっています。
暖炉をはじめとした調度品の意匠にうっとり
知事と部長の登退庁を各課に知らせるための表示灯が残る
府議会の議場として使われた旧議場
議長席と向き合う議員席は階段状になっている
建物の北側に突き出した部屋が、1905(明治38)年から64年間、府議会で使われた旧議場。館の竣工110周年を機に、建築当初の姿に復元されました。 吹き抜けとなった1階は、中央の議長席、左右の理事者席、半円状に60の議員席が並んでいて、2階は傍聴席です。カーテンは、当初の図面をもとに京都発祥の川島織物によって再現。シャンデリアも建築当初の写真をもとによみがえりました。
天井やジャバラ型の装飾が施された漆喰壁を見上げてみて
館内をゆるりとめぐる
中庭からの心地いい風が吹き抜ける回廊
中庭の中央には、京都の「桜守」こと16代佐野藤右衛門が植えたしだれ桜が。名桜と誉れ高い祇園のしだれ桜の孫にあたることから、こちらも「祇園しだれ桜」と呼ばれているそうです。 かつて人事委員会の執務室として使われていた部屋は、2023年夏、京都の老舗珈琲店・前田珈琲による喫茶室「salon de 1904」に。香り高い珈琲や、ここだけの限定メニューが楽しめますよ。
「salon de 1904」の入り口はこちら
人気メニュー「ぷるぷる抹茶パフェ」1420円
salon de 1904の記事はこちら
京都府庁旧本館
キョウトフチョウキュウホンカン
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文:佐藤理菜子 写真:マツダナオキ
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