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2025.01.05
信州・野沢温泉の豊かな自然がお酒に♪ 「野沢温泉蒸留所」の香り立つクラフトジン
100周年を迎えたスキー場がある長野県野沢温泉は、冬がオンシーズン。海外からのスキー客も増え、国際色豊かなお店が増えています。2022年にオープンしたのが、クラフトジンやシングルモルトウイスキーを製造する「野沢温泉蒸留所」。試飲ができるバーも併設しています。地元の自然をふんだんに取り入れた話題のジンを味わいに、にぎやかな冬の野沢温泉へ出かけてみませんか。
野沢温泉に新たに誕生したスタイリッシュな蒸留所
工場をリノベーションしたおしゃれな建物
信州の名湯として名高い野沢温泉。北陸新幹線飯山駅からバスに乗車し、25分ほどの場所に位置する温泉地です。村内には13か所の外湯が点在し、温泉情緒も楽しめます。ブナの原生林が広がる毛無山には良質なパウダースノーが評判の「野沢温泉スキー場」があり、近年、海外からの注目を集めているそう。そのスキー場からほど近い高台に、2022年12月、「野沢温泉蒸留所」がオープンしました。
野沢温泉の自然の豊かさに魅了されたお酒造りの仲間たち
ウイスキー樽が並んだ館内。赤い鉄骨が工場の面影を残している
「野沢温泉蒸留所」のオーナーはオーストラリア出身のデビッド・エルスワースさん。野沢温泉村の自然の豊かさに魅かれて移住してきたそうです。暮らしてみて村の水のおいしさに気づき、この地にウイスキーやクラフトジンの蒸留所を作りたいと、世界レベルのおいしいお酒を造ることに賛同してくれた仲間たちとともに開業しました。 元の建物は、かつて野沢温泉村の住民が山菜や根曲がり竹を加工していた缶詰工場でした。村の人たちにとっては親しみのある場所。蒸留所内には当時の鉄骨がそのまま残っています。館内にあるバーカウンターも、缶詰を作る際に使われていた機械だったとか。思い出を残ししつつ、新たな野沢温泉の魅力を発信する場所として生まれ変わりました。
缶詰工場で使われていた大きな機械をバーカウンターに
ブナ林が育むおいしい水で造る極上のジンとウイスキー
ショップの棚には4種類の定番ジンがずらり。500mlと200mlの2サイズある
ウイスキーやクラフトジンの蒸留酒は“水が命”だそう。クラフトジンは度数の調整で水を加えるため、おいしい水がかかせません。そのため蒸留所では野沢温泉の超軟水の湧き水「六軒清水」を使っています。野沢温泉の水は、ブナ林に蓄えられた雨や雪がろ過され、約50年かけて湧き出てくるおいしい水。野沢温泉のあちこちに流れている水路も山からの恵みです。 看板やジンのラベルに描かれている渦のようなロゴデザインは、水や季節の循環をイメージしたものだそう。ジンのラベルのロゴのまわりには、それぞれのジンにちなんだ山景色や木々などが描かれていて、少しずつ違いますよ。
野沢温泉生まれの個性的なクラフトジン
左から「NOZAWA GIN」「CLASSIC DRY GIN」「IWAI GIN」「SHISO GIN」。500ml各4850円
「野沢温泉蒸留所」では、定番として4種類のクラフトジンを造っています。とくに山野草を使うジンは地域を表現できるお酒といわれ、ここにも野沢温泉の自然の豊かさが発揮されています。また、世界に影響力のあるサンフランシスコのワールド・スピリッツ・コンペティションで早くも金賞を受賞するなど、どれも評価の高いジンです。 蒸留所を代表するのが、シグネチャードライジン「NOZAWA GIN」。杉やクロモジ、カキドオシといった地元のボタニカルを漬け込んでいる1本です。野沢温泉は杉林も多く、爽やかないい香りが森に漂います。ジンを飲んだ時に、野沢温泉の森を思い出すようなイメージで造ったそう。山野草はスタッフのお母さまが村内で育ているものも使ったりするなど、野沢の自然があふれています。
ボトルデザインもすてきなクラフトジン
山椒がアクセントになった和テイストの「CLASSIC DRY GIN」は、度数が高めでパンチのあるジン。レモンが加えられているため爽やかさがあり、さらに山椒でスッとする味わいです。フルーティーな「IWAI GIN」は、桜の葉を入れているので、風味が桜餅のように感じ、飲みやすいジンです。名前の通り、春のお祝いにぴったりですよ。 「SHISO GIN」は、地元の手作りジャム工房「ハウスサンアントン」が作る人気のしそジュースを使ったジン。ほんのりピンクで、やさしいしその香りがします。こちらは色合いが春らしさを感じさせる1本です。
野沢温泉のシングルモルトウイスキーは熟成中
ドイツのCARL社などの蒸留機を使っている。ウイスキーの蒸留の際は左右2つのポットスチルを使い、ジンはどちらか1つを使って蒸留する
ウイスキーやクラフトジンは、館内のガラス越しにも見えるポットスチルで蒸留しています。ジンはライススピリッツにボタニカルを漬け込み、蒸留と加水を経て、ボトリングで完成。2~3週間でできるそう。
館内に保管しているウイスキー樽。国内外のワイナリーで使用していたワイン樽やバーボン樽などを使っている
大麦麦芽を使い、伝統的な製法で造るモルトウイスキーはジンより工程が多く、さらに3年以上オーク樽で熟成させる必要があり、2022年から仕込んでいるウイスキーはまだ樽で熟成中。今は館内にウイスキー樽のいい香りが漂っています。野沢温泉のシングルモルトウイスキーが味わえる日が楽しみですね。
テイスティングやスペシャルカクテルでジンを堪能
バーからはガラス越しに製造風景も見える
併設のバーでは有料で試飲やカクテルも味わえます。4種類の定番ジンが試飲できる「テイスティング」は少しずつ飲み比べできるので、好みの味を探すのにぴったりです。「ジンはひと口飲んでもらうといい香りで、アロマテラピーのような感じなので、女性におすすめしたいです」とスタッフの市川さん。 まずはロックで、香りや素材を味わってみてはいかが。水やソーダも用意されているので、飲みやすい水割り、ソーダ割りも楽しんでみましょう。
ジン4種類の試飲セット1000円。各10ml
色もきれいな「IWAIアップルサワー」1600円
4種類のジンを使ったスペシャルカクテルも。カクテルにするとさらに飲みやすくなり、味の幅も広がります。甘め派はフルーティーな「IWAI GIN」とりんごジュースで作る「IWAIアップルサワー」がおすすめですよ。少し強めがいい方は、「SHISO GIN」とカンパリ、ベルモットなどを使った「紫蘇ネグローニ」を。しその甘さが鼻に抜け、カンパリのビター感も楽しめます。
試飲のあとはお気に入りのジンをおみやげに
ショップは入口に設けられている
ショップではクラフトジンとロゴマーク入りのオリジナルグッズを販売。季節限定のジンもあるので、チェックしてみましょう。「エコバッグ」と「温泉タオル」は、外湯めぐりができる野沢温泉ならではのグッズ。こちらを持って、温泉を楽しむのもいいですよ。 「野沢温泉蒸留所」と飯山市にある生チョコを生み出したシェフの店「奥信濃BUNZO」がコラボしたチョコレート「プラリネ・ショコラ」もおすすめ。4種類のジンの特徴が引き出されるように作られた、大人の味わいのチョコレートです。
「エコバッグ」600円、「温泉タオル」500円
コラボチョコレートの「プラリネ・ショコラ」1940円
野沢温泉の新たな名物となったクラフトジン。冬の温泉を楽しみながら、お酒でも野沢温泉の恵みを味わってみませんか。
野沢温泉蒸留所
ノザワオンセンジョウリュウジョ
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文:細江まゆみ 写真:加藤熊三
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