100年の時を超えて楽しむ名建築さんぽ♪ 自然豊かな「荻外荘公園」で昭和レトロな邸宅と杉並区のおいしいものを
heart

127

100年の時を超えて楽しむ名建築さんぽ♪ 自然豊かな「荻外荘公園」で昭和レトロな邸宅と杉並区のおいしいものを

長らく非公開だった、東京・荻窪の国の史跡「荻外荘(てきがいそう)」が、2024年12月、公園として一般公開。ノスタルジックな昭和初期の建築を眺めて、リフレッシュできる“癒やしのスポット”として注目を集めています。さらに、2025年7月からは、「荻外荘展示棟」もオープン。杉並区のおいしいものを片手に、ゆったりティータイムを楽しめます。

leaf

思わず深呼吸したくなる、緑に囲まれた邸宅「荻外荘」

image

門には「近衞」の表札が掲げられている

JR「荻窪駅」から歩いて15分ほど。商店街のにぎわいを抜け、高級住宅街を歩いていくと、石造りの門が見えてきます。 ここは、かつての総理大臣・近衞文麿(このえ ふみまろ)さんが暮らしていた家。今も変わらず、「近衞」の表札が訪れる人を出迎えます。

image

緑に囲まれた玄関先のアプローチ

玄関先には、緑あふれる庭が広がり、やわらかな木漏れ日が足元を照らします。聞こえてくるのは、小鳥のさえずりだけ。時間までゆっくり流れているようで、気づけば、歩くテンポも自然とゆるやかになっていきます。
image

「荻外荘」の入館料は300円

「荻外荘」が建てられたのは、1927年(昭和2年)。設計を手がけたのは、築地本願寺や平安神宮などで知られる、有名な建築家・伊東忠太さんです。 もともとは、大正天皇の待医頭・入澤達吉さんの別邸として建てられましたが、1937年(昭和12年)、近衞文麿さんが譲り受け、移り住みました。 ここは“瓦屋根に洋風の窓”といった、ノスタルジックな和洋折衷の意匠をじっくり眺められるのが魅力。建築好きの人にとっては、ワクワクせずにはいられません。

leaf

細部までこだわり抜いた空間

image

建物の中は、見飽きることのない、レトロな魅力にあふれています。なかでも見逃せないのが、「食堂」と「客間」の正面に設けられた広縁。壁一面がガラス窓になっていて、ゆらぎのある手づくりのガラスが、やわらかな陽射しを届けてくれます。 幾何学的な窓の桟は、落とす影さえも美しい。時間帯によって光の角度が移ろい、その表情を変えていきます。

image

南側に広がる芝生広場の昭和初期の風景が、VRで再現されている

さらにここでは、「バーチャル荻外荘」が楽しめます。これは専用のタブレットを使って、昭和初期の芝生広場の様子をVRで見比べられるというもの。春と秋、それぞれの季節に合わせてシーンが切り替わるので、チェックしてみてくださいね。
image

日本の歴史を動かす会談が行われた「客間」

こだわりっぷりに驚かされるのが、戦前期に「荻窪会談」が行われた「客間」。内装から家具、調度品に至るまで、当時の雰囲気を徹底的に復原しています。 その場にいたのは、近衞文麿さんや、後に総理大臣となる東條英機さん、外交を担った松岡洋右さんなど、歴史に名を残す人物たち。

image
そんな歴史の舞台に、ARでタイムスリップしてみましょう。タブレットをかざすと、会談のメンバーが出現。会談の様子がよみがえります。写真とは違って、体や顔の向きまで変わるのが楽しい。見ているうちに、どんどん引き込まれてしまいます。
image

さらに、テーブルの上の小物にも目を向けてみてください。レトロなメモ帳やペン、鉛筆、グラスなど、まるで時間が止まったかのように、丁寧に再現されています。

image

「客間」のユニークな壁紙

また、奇想天外な動物が描かれた壁紙も、見どころの一つ。「これはどんな動物かな?」そんな風に、想像をふくらませながら、楽しんでみてくださいね。
image

がらっと印象が変わるのが「応接室」。この部屋は、チャイニーズ風の意匠でまとめられ、異国情緒が漂います。龍が天井を舞い、キラキラと虹色に輝く螺鈿のテーブルセットが置かれ、床には龍の敷瓦が。「ここにも、こんなこだわりが……」という発見がたくさん。

image

「書斎」に飾られた書は定期的に変わる

「書斎」に展示されている書は、近衞文麿さんが自ら筆を執ったもの。ぜひ足を止めて、じっくり眺めてみてくださいね。

image

自由に座れる椅子が並ぶ「別棟」

主屋の北側には、日だまりが心地よい「別棟」もあります。中庭を眺めながら、ゆったりまったり。足を休ませて、疲れを癒やすのに最適です。

leaf

隈研吾さん設計の「荻外荘展示棟」でカフェタイム

image

新施設の「荻外荘展示棟」

歴史ある建築を味わったら、2025年7月オープンの新施設へどうぞ。「荻外荘展示棟」は、「荻外荘」の道を挟んだ向かいにあり、誰でも気軽に利用できます。 設計を手がけたのは、建築家の隈研吾さん。周囲の民家に溶け込むような、多角形に広がる屋根が印象的な落ち着いたデザインです。

image

休憩所を兼ねたカフェスペース

建物は2階建て。1階には休憩所を兼ねたカフェスペース&ショップが、2階には展示室を備えています。
image

「スイーツセット」大最中(1000円)

「荻外荘」がある杉並区といえば、こだわりの“おいしい”が集まる街。カフェでは、そんな地元の味を気軽に楽しめます。 人気メニューは、西荻窪にある「三原堂」の大最中とドリンクがセットになった「スイーツセット」。大最中は、たっぷりの餡が詰まった食べ応えのある一品。「ローストハウス ブラウンチップ」のコーヒーとの相性もバツグンです。

image

「スイーツセット」思い出はセピア色(1000円)

「えっ、これが羊羹⁉」と驚く、こちらは、阿佐ヶ谷北にある「菓人 結人」の「思い出はセピア色」。口に入れると、コーヒーの風味と餡が合わさって、不思議なおいしさ。見た目のスタイリッシュさもさることながら、2016年「コーヒーを用いた和菓子のコンテスト」で大賞を受賞した実力派です。
image

11月末までの限定販売「アイス抹茶ミルク」(750円)

また、阿佐谷南にお店を構える「繁田園」の有機抹茶を使った「アイス抹茶ミルク」も絶品。すっきりした抹茶の香りとほんのり甘いミルクが、じんわりと体にしみる一杯です。

leaf

センスが光る個性派グッズも充実

image

「便箋ミニ」(310円)、「オリジナルマスキングテープ」(各400円)

ショップでは、杉並区や「荻外荘」にちなんだグッズがそろいます。おすすめは、「客間」の荻窪会談時を再現した机に置かれていた便箋や、オリジナリティーあふれるマスキングテープ。使いやすくて見た目も楽しいので、性別や年代を問わず人気です。

荻外荘展示棟

テキガイソウ テンジトウ

clock-icon1階 ショップ 9:00~17:00 1階 カフェ 10:00~16:00 2階 展示室 9:00~17:00(最終入館 16:30)※展示入替などで2階展示室はご覧いただけない場合があります
pin-icon水曜、年末年始(12/29-1/1)
heart
1
leaf

芝生広場でピクニック気分を満喫

image

お天気の日は、「芝生広場」へ足を運んでみましょう。広々とした緑の中、ごろんと横になるのも気持ちいい。ふと見上げれば、緑に包まれた「荻外荘」がすぐそこに。歴史ある建物が、公園に溶け込むように佇んでいます。

image

テイクアウト用「おにぎりの弁当」(800円)

「荻外荘展示棟」でお弁当をテイクアウトし、ショップでレジャーシートを購入すれば、即席ピクニックセットの完成。芝生の上でランチを楽しんだり、名建築を眺めて贅沢な時間を過ごしたり。小さな旅を終えるころ、心の奥がやわらかくなっているのに気づくはず。

spot

荻外荘公園

テキガイソウコウエン

clock-icon荻外荘公園9:00〜17:00(最終入園16:30)
pin-icon水曜、年末年始(12/29-1/1)
heart
1
left

ことりっぷ編集部おすすめ

このエリアのホテル

right

※掲載の内容は、記事公開時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。
※画像・文章の無断転載、改変などはご遠慮ください。

Writer

安藤美紀

avatar

湘南を拠点に全国を旅するフリーライター。執筆した記事は1000以上。温泉の資格も複数保持。

sunshine

おすすめ記事

sunshine
pin東京都

× したいことから

他の記事を探す

旅プラン日帰り旅ひとり旅ご利益めぐり絶景旅街さんぽいやされる避暑地花さんぽニュースポット雨の日ランチ
sunshine

あわせて読みたい

onlinestore
onlinestore
magnifier
アプリでもっと便利に
おすすめスポット90,000件を掲載
あたらしい情報を毎日お届け
季節の景色や名所、おいしいスイーツやグルメ情報などこれからの旅、週末に行きたい素敵なスポットが見つかります♪
point
自分だけの旅行・おでかけ
情報がみつかる
map
気になるスポットを
お気に入り登録
これから行きたいスポット情報や記事投稿を
クリップしてあなただけのリストを作れます。
search
便利な検索機能で
行きたい場所が見つかる
旅行前の情報収集で使える観光エリア、
ジャンル、ハッシュタグ検索から、
今いる場所から周辺の見どころや
カフェを探せる現在地まで
役に立つ検索機能がたくさん。
passport
電子書籍が手軽に読める

ことりっぷガイドブック・マガジンの
電子書籍版の購入ができます。
旅行・お出かけ中にさくさく閲覧♪
月額500円で100冊以上が
読み放題になる「ことりっぷpassport」も。
point
旅の思い出を共有、
旅好きユーザーとつながる
photo
かんたんに
思い出の写真を投稿
旅先のとっておきの瞬間や、
お気に入りのスポットをアップすることができます
app
さぁ、あなただけの
小さな旅を
見つけましょう♪
ios_download