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2026.05.28
歴史ある建物で鎌倉のノスタルジーに触れる。発酵文化と湘南の恵みを味わう「MOKICHI KAMAKURA」
鎌倉の大仏さまのそばに、ひっそりと佇む洋館があります。かつて「旧神奈川県鎌倉加圧ポンプ所」として地域の水を支えていたこの建物は、湘南唯一の蔵元「熊澤酒造」によってレストラン「MOKICHI KAMAKURA」へと生まれ変わりました。スクラッチタイルの壁、力強い梁、異国情緒あふれる庭など、昭和初期の記憶を大切に残しながら、蔵元ならではの発酵文化と湘南の旬の素材を使った料理を楽しめます。一歩踏み入れると、ふわっと空気が軽くなるような、不思議な解放感。心もお腹も満たされる、とっておきの時間が待っています。
昭和の記憶を宿すスクラッチタイルの洋館

江ノ電長谷駅から徒歩約15分
大仏トンネルを抜ける手前、味わいのあるレンガ調の建物が印象的なレストラン「MOKICHI KAMAKURA」。昭和の初めの頃、ここは水を運ぶために建てられたポンプ所でした。外壁を彩るのは、当時流行した「スクラッチタイル」。表面に細かな溝が刻まれた独特の質感は、光の角度によって柔らかな陰影をつくり出し、見るたびに少しちがう表情を見せてくれます。

ノスタルジックなひとときが過ごせる
明治5年創業の熊澤酒造が、この建物の魅力をそっくりそのまま活かしてレストランへと再生させました。ポンプ所を閉鎖した後は、地域の体育館としても長く愛されてきた歴史があり、当時の職人さんの丁寧な仕事ぶりが今も息づいています。周囲の木々の緑に溶け込む佇まいは、どこかなつかしくて、そっと迎え入れてくれるようです。
歴史が息づく開放的な空間の天井高は約7メートル

開放感にあふれる店内
扉を開けると、そこには外観からは想像もつかないほど広々とした大空間が広がっています。高さ約7メートルの天井は、かつてポンプ所だった時代の力強い梁がそのまま活かされ、圧倒的な開放感。

貸し切りも対応の2階席
店内に使われている建具や古材の多くは、材木座にあった昭和初期の洋館から譲り受けたもの。テーブルもその古材で仕立てられていて、手に触れると木肌のぬくもりがじんわりと伝わってきます。頭上には、当時のポンプ設備のクレーンが一部残り、北欧のヴィンテージランプがやさしく照らしています。遺構と繊細なアンティークが溶け合い、窓から差し込む光と相まって、深呼吸したくなるような心地よさに包まれています。
パチパチと薪火が焼き上げる湘南の恵み

約400度にもなる高温の石窯
テーブルに運ばれてくる料理には、酒造りの過程で生まれる酒粕やモルト麹が巧みに取り入れられています。コース料理やアラカルトで、地元の食材とともに楽しめます。 石窯で薪をくべて一気に焼き上げるピザも、この店の自慢のひとつ。全粒粉を配合した生地は、その日の湿度に合わせて水分を微調整し、薪の弾ける音とともにモチモチとした食感に仕上げられます。

「チチニエッリ」(1950円)
地元のシラスをふんだんに使用した「チチニエッリ」は、海の香りと薪の芳ばしさが重なります。また、4種類のチーズに酒粕クリームチーズを合わせた「フロマッジオ」は、発酵食材同士が引き立て合う奥深い味わいが魅力。蔵元が大切にしてきた醸造の伝統と、地元の旬の素材が融合した独創的な一皿一皿が、五感を優しく刺激します。
ハーブと酒粕、ふたつの香りに包まれて

「酒粕チーズケーキ」(830円)「モキチのハーブティー ヘルシー」(880円)
レストランの背後に広がる山の斜面には、専属の庭師が手掛けるガーデンが広がり、料理やドリンクにも使われます。 ハーブティーは、リラックスやビューティといったテーマに合わせてブレンドされます。デザートには、酒粕の風味をぎゅっと閉じ込めたしっとりとしたチーズケーキを。ハーブの清涼感と発酵スイーツの優しい余韻に包まれて、穏やかなひとときが過ごせます。

「バタフライピー氷とミントソーダ」(830円)
涼やかな色合いの「バタフライピー氷とミントソーダ」は、バタフライピーで色付けた氷にソーダを注ぎ、たっぷりのミントを添えた一杯。添えられたレモンを絞ると、青から鮮やかな紫色へと魔法のように色が変化し、目でも楽しませてくれます。
古きものを慈しむ鎌倉らしさに触れる場所

歴史を刻んだ建物の重厚さと、蔵元の真摯なものづくりが調和する「MOKICHI KAMAKURA」。地下には蔵元直売所がオープンしていて、熊澤酒造で醸造・蒸留された日本酒、ビール、クラフト・ジンをラインナップ。こちらもぜひ立ち寄ってくださいね。
MOKICHI KAMAKURA
モキチ カマクラ
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文:高橋茉弓、写真:依田佳子
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