鹿児島・クラフトマンビレッジ美山的一日美山案内
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鹿児島・クラフトマンビレッジ美山的一日美山案内

連載「暮らしと、旅と...」鹿児島編vol.2は、前回訪ねた「美山窯元祭り」の翌日にまた美山へ。地図を広げると全て歩いて回れそうに見えるけど、祭りのときにずいぶんと歩かなければいけないような印象を受けた私。では、鹿児島市内から日帰りで訪れる旅人は、ふだんの美山をどんな風に歩いたら、面白いの? そこで、美山の情報発信をしている「クラフトマンビレッジ美山」のおふたりにガイドをお願いし、ふだんの美山をめぐってみました。美山の魅力は、どんなところにあるのでしょうか?

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鹿児島中央駅からJR鹿児島本線に乗って20分。美山の最寄り駅、今日も東市来駅まで出かけました。鹿児島県民に言わせると、「え〜、あそこまで電車で行くんですか」というコメント。鹿児島市内からとても近いのに電車やバスの本数が少ないからか、美山はとても遠いイメージのようです。私にとってみればとても便利な感覚なんだけどなあ。 美山へは東市来駅から900円くらい。美山のランドマークである「沈壽官窯」で降りて「tawaraya」まで歩いてみます。今日は美山の情報発信を行うクラフトマンビレッジ美山のみなさんに美山を案内してもらうのです。

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クラフトマンビレッジ美山は、tawarayaの若夫婦、俵積田寛志さんとまりこさんが、寛志さんの実家のある美山で呉服店を始めた際にまりこさんが美山の情報発信をブログで始めたことがきっかけで起こったプロジェクトです。 現在はまりこさんの学生時代からの友人である新富千恵美さんと清田思織さんが中心となり、それぞれ、仕事の合間や休日にライターとカメラマンとして美山のあちこちに取材に行ってその情報をホームページにアップしています。デザイナーを目指していた寛志さんと、以前はライターの仕事をしていた新富さん、大学で写真を学んだ思織さんが集まったことで、自分たちの好きな美山を盛り上げようと3年前からサイトを運営してきました。現在では、祭りの情報からふだんの美山案内まで網羅し、その内容は美山のサイトとしては最も濃いものになりました。でもこれ、みなさんがボランティアで運営しているものなんですよ。 美山への愛情たっぷりに彼女たちが情報発信をする“土地の魅力”って何だろう。窯元祭りは初回に書いた通り、体験と買い物に必死で彼女たちが発信したい本当の美山の魅力をつかみきれていなかった私であります。 「美山に来ると、窯をめぐるのが目的と思って点で移動したくなりますが、点と点の間にある花や自然を眺めるのが好きという方も多いんですよ」と清田さん。どおりで歩くためにここに訪れる人が多いのも納得。直線距離で1㎞くらいしかない街中を歩き回ればふとした発見が何かしらあるものです。 まずは、美山の中心地にあり、さまざまな窯元の陶器が置いてある「美山陶遊館」に行って好みの窯を見つけるのをみなさんはおすすめしていますが、祭りのときにのぞいたのでそれは今回はパス。新富さんと清田さんに連れられ、まずは玉山神社を目指します。朝鮮出兵の際に連れてこられた韓国人陶工たちの神を祀る鎮守の森へは、4つもの鳥居をくぐっていかなければいけません。そこで、ふたりの写った写真です。ここが3つ目の鳥居をくぐると見えるもの。ふたりは「バグダッドカフェの場所」と呼んでいます。確かに、さもありなん。さしずめ、ふたりはジャスミンとブレンダ?! 

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美山のパワースポットといわれているこの神社では、「参拝しているときに風が吹くと、願い事が叶うといわれているんです」と新富さん。手をあわせるときに思わず風を待ってしまった私は邪念でいっぱい。都合良く風は吹いてくれませんでしたが、微風が頬をなでたかも?  参拝を終え、緑に囲まれた参道や見晴らしのいいのどかな茶畑の合間を歩き、バグダッドカフェの場所を通りすぎたら、集落の中へ。ふたりが足しげく通うお気に入りの窯元「TOYBOX永吉」はすぐそばにありました。 「こんにちは」とのぞくと、これ、薩摩焼?というほど個性的な器がずらり。 「まあまあ、ゆっくりしていきなさいよ」と奥から永吉令子さんが顔を出し、奥のソファに座ってみると、永吉さんのご主人が焼いた素敵な器に黒砂糖が入っていました。 「このあたりはね、お茶請けに黒砂糖を食べるのよ」。 永吉さんがお茶と地元の銘菓「ふくれ菓子」を出してくださったのもあり、長居をしてしまいそうな気配。結局、1時間以上はいたでしょうか。ぽかぽかと日差しが入ってくるギャラリーで、私も、いつも足を運んでいるクラフトマンビレッジのおふたりもついつい買い物をしてしまったのでありました。週末まで陶芸祭りと同じ額で器が買える期間だったので、こんなに吟味できる機会はない、と、かなり迷った私たち。そうでなくても、ここには世界中の旅人たちが突然迷い込んだようにやって来るそうで、1日おしゃべりしてごはんまで食べて帰ったツワモノもいるのだとか。そんな旅人との交流も楽しいのよ、とにっこり笑う永吉さん。ん〜美山の魅力がちょっとわかってきた気がしました。

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TOYBOX永吉をあとにして、1kmほど離れたガラス工房「ウェルハンズ。」へ。商品を見せてもらうつもりが、ご主人の松岡晃司さんのご好意でそのままアトリエを見せてもらうことになりました。二人は取材に突入。時間があればこういったことが突然可能なのも美山の魅力のひとつです。また、ウェルハンズ。に行くまでの間にも、小さな竹やぶの小径や民家なのにたくさんの盆栽を見られるところなど、寄り道したい場所がたくさんありました。ですが、1日ではとうてい歩き回れません。加えて、工房のみなさんの話が面白いこと! モノ作りに真剣だから、どうしても、ひとりひとりに丁寧な接客になってしまいます。作り手の言葉に耳を傾けて真剣にモノを選んだり、美山ののどかな空気に和んだりしていると、あっという間に半日経っていました。ああ、時間よ、止まれ。 美山には、1000円で参加できるスタンプラリー「ぐるっと美山通行手形」という木札の手形があり、購入から1年間以内に参加店をめぐれば、スタンプの数に応じて記念品がもらえる仕組みがあります。窯元だけでなく、ギター工房や木工芸品のお店、カフェ、そしてウェルハンズ。もtawarayaも参加しており、加盟店で何も買わなくてもスタンプは押してもらえるのですが、個性豊かな美山の工房やお店を回っていると、もう何度も足を運びたくてたまらなくなってしまうでしょう。そしてその情報を誰かに伝えたい...となるのもうなづけます。 そう、それがまさにクラフトマンビレッジ美山の始まりなのでした。

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最後に、みんなのお気に入り空間である喫茶「風の丘」へ。ここで、クラフトマンビレッジ的1日美山案内は終了。最後にここに連れてきてくれた理由を語らずとも里山から吹いてくるささやかな風とゆったりとしたひとときが教えてくれました。こちらのご主人である三善三千代さんは、インスピレーションの導かれるままに、美山のこの場所にやってきたそうです。 「晴れている日も居心地がよくていいのですが、雨の休日、わざわざここに来て、窓辺に座ってガラスに雨だれが落ちて行くのを眺めるのもいいんですよ」と新富さん。 実は、クラフトマンビレッジ美山のメンバーは全員美山に住んでいません。4人のうち3人は職場は美山ですが、美山と少し距離を置いているからこそ、いつも旅人の目線で場所を眺められるのだといいます。お店もそうですが、歴史や自然、人との出会いなど、隠れた場所にある宝物を探すような楽しみが美山にはたくさんありそうです。それがこの活動を続けていくモチベーションのひとつにつながっているのでしょう。 「4年前にUターンで鹿児島に戻ってきたのですが、縁あって美山の窯元で働くことになり、初めてあちこちめぐるようになり、この土地の良さを実感しました。勝手に情報発信を始めた私たちのことを地域の方が受け入れてくださったのが嬉しかった」と清田さん。最近はホームページへのアクセス数も増え、問い合わせも多くなってきた彼女たち。それぞれ日中は仕事をしているので今後どのように活動を持続させていくか模索中です。 さて、今回は少しの時間、tawarayaのレンタル着物を着て歩いてみました。美山は着物で歩くのに楽しい小径があちこちにあり、記念写真撮影ポイントに事欠きません。センスよく着物を着こなすtawarayaのふたりは、鹿児島市内にも店舗を持ち、美山と市内を行ったりきたり。tawarayaセレクトの着物は肩の力を抜いてふだん着にできそう。ちょっと着て過ごしてみてすっかりと“暮らしの着物”に魅せられてしまいました。では、次回もお楽しみに。

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クラフトマンビレッジ美山

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