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2017.02.01
まるで絵画のような絶景。日常を忘れさせてくれる、湖畔のオーベルジュ「徳山鮓」
琵琶湖の北にある余呉(よご)湖。風のない日は鏡のように空を映す美しい湖のそばに、この地の恵みを味わえる料理店「徳山鮓(とくやまずし)」があります。滋賀名産の鮒鮓をはじめ店主の徳山さんが手掛ける一品を余呉湖周辺の穏やかな景色とともに堪能できるこちらは、食事の後そのまま宿泊できるオーベルジュとしても話題です。
風光明媚な湖の畔にたたずむ料理店

「徳山鮓」は、余呉湖の北東側、JR余呉駅から車で10分程の場所にあります。 湖沿いの道を進んだ先にある一軒家で、白い暖簾が目印です。 完全予約制で、予約時に伝えれば駅までの送迎もしてくれます。

暖簾をくぐり奥へ進むと、大きな窓の外に、まるで1枚の絵のような余呉湖の風景が広がっています。 四季折々、刻一刻と姿を変える景色は、どれだけ眺めていても飽きないほど。 琵琶湖の北に位置する余呉湖は、昔から「鏡湖」とも呼ばれ、風のない時には湖面に空や周辺の山々が映り込む、幻想的な様子をみることができます。
繊細で奥深い発酵食品を堪能

「鮒鮓」には自家採取の蜂蜜をお好みでつけて味わって。コースは昼1万800円~、夜1万5000円~
こちらで味わえるのは、季節ごとのおまかせコース。その中に必ず入るのが、店主の徳山さんが手掛ける鮒や鯖の熟鮓です。 発酵学者の小泉武夫さんとの出会いをきっかけに発酵食品の世界に足を踏み入れたという徳山さん。 熟鮓は、材料となる魚や米の状態、桶の材質、発酵期間中の保存方法など、ちょっとした違いで仕上がりが変わるため、本格的に取り組みはじめて10年以上経つ今も毎回試行錯誤を繰り返しているそうです。

「鯖の熟鮓」
嫌な臭みが一切なく、旨みと独特の酸味が口の中に広がる鮒鮓は、そのまま味わうのはもちろん、お好みで蜂蜜をつけると酸味が優しい甘さに包まれて、ひと味違うまろやかな風味が楽しめます。 鯖の熟鮓は、同じ発酵食品のチーズと合わせて、フルーティーなトマトソースを添えた一皿に。 長年、京料理店で修業を積んだ徳山さんですが、こちらでは、和食の枠に捉われず多彩な素材の組み合わせや調理法を取り入れる「徳山流」の料理が楽しめます。
この土地だからこその味覚を探求

猪の生ハム、熊と鹿と猪のテリーヌ、胡麻とビワマスの松風、焼ききのこなどを盛り合わせた一皿
徳山さんが使う食材は、余呉湖の湖魚、周辺の山々で採れる山菜やキノコ、鹿や猪など、余呉の自然に育まれたものばかり。 徳山さん自らも湖へ漁に出たり、山を歩いてキノコを探したりして、その時一番美味しい旬の食材をそろえているそうです。

地の食材と味わうなら、「冨田酒造」の七本鎗など、滋賀の地酒をぜひ一緒に。 夕食を楽しんでそのまま宿泊できるオーベルジュとしても利用できるので(1泊2食付2万5000円~)、車で訪れる人も心置きなく楽しめます。 日常を忘れて、この土地ならではの味覚、景色をじっくりと楽しむひととき。 自然豊かな余呉湖の畔で、この上ない贅沢な時間を過ごしてみませんか。

徳山鮓
とくやまずし
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岩永 茜 写真:夏見タカ
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