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2017.05.26
スイス・フランス・ドイツの国境の街、バーゼルで中世の街とアートめぐり
全5回にわたり、スイスのさまざまな街や文化を紹介する特集。 第2回目はスイス北部に位置し、ドイツとフランスの三国国境に位置する都市・バーゼルをご紹介します。
雄大なライン川の両側に広がるバーゼルには、中世の面影を残す美しい旧市街や、数多くのアートスポットがたっぷり。 夕暮れ時には川辺で若者が語り合い、地元の住人のゆったりとした生活が垣間見える街でもあります。

地元の人の生活がみえる、ライン川沿いをゆったりと散歩

旧市街をバックにライン川を渡る小舟
数百年前から残る古くて可愛らしい家々が軒を連ねるバーゼルの旧市街。 活気のある商店街や華やかなデザインの出窓は、歩いて回るだけでも、まるでおとぎ話の世界にいるような気分になります。 街角でチェロを奏でるストリートミュージシャンに耳を傾けてみるのもよいかも。

夕暮れ時は川がキラキラと輝きを増す
バーゼルに来たら、街の真ん中を流れるライン川沿いの散歩がおすすめ。 川を渡るのは橋でも良いですが、1.6フランで昔ながらの小舟に乗るのはいかがでしょう?ライン川の自然な流れと舵だけで動く船に乗れば、反対岸へ5分とせずに到着します。 対岸にはたくさんの若者が川辺で寝転んでおしゃべりしたり、早めの夕飯をたべたり、ワインを飲んだり。夕暮れ時に、ゆったりした時間を過ごすには最高です。 夏には泳ぐ人も多くいるそう!

荘厳な雰囲気の教会でカフェタイムを

ステンドグラス窓から神々しい光が差し込む厳かな教会
街並みを巡るついでにカフェはいかがでしょう? バーゼル駅から徒歩10分にある「エリザベート教会」は、クラブやコンサートなど、カルチャーセンターとして利用される開かれた教会です。

神聖な教会でのカフェは新鮮
併設のカフェでは美味しいコーヒーとスイーツを。 通常の1.5倍の大きさはありそうな「アプリコットタルト」(5フラン)は、甘酸っぱいアプリコットとタルト生地のコンビネーションが絶妙です。 コーヒーと合わせて、教会脇のテーブルでゆったりとした気分を楽しめますよ。 晴れていれば外のテラス席の利用も出来ますが、荘厳な雰囲気のステンドグラスを眺めながら教会内でコーヒーとスイーツをいただくという、他の教会ではまずできない貴重な体験をすることができます。


Cafe Bar Elisabethen
エリザベート教会のカフェ

一年中クリスマスグッズを販売している「ヨハン・ヴァンナー」

バーゼルの街歩きでぜひ立ち寄っておきたいお店がもう一つ。 毎年スイス最大規模のクリスマスマーケットが開催される事でも知られるバーゼルには、シーズンでなくてもクリスマスを楽しめるお店があります。 それが48年間毎日クリスマスのグッズを売リ続けている「ヨハン・ヴァンナー」。 こちらのお店にはスイスだけではなくヨーロッパ中、アメリカ、そして、日本のこけしまで、ありとあらゆるクリスマス用の飾りが所狭しと並びます。 店名にもなっている名物のおしゃべり店長に会えたらラッキー! クリスマスツリーの飾り付けで世界を廻り、「バーゼルを有名にした人」として店の前の道に名前刻まれるほどの店長は、今年流行のクリスマステーマカラーや各国の人気などを知り尽くしています。

所狭しと並ぶクリスマスオーナメントと店主 ヨハン・ヴァンナーさん
Johann Wanner
ヨハン・ヴァンナー

「ピカソ作品を守ろう!」市民が声を上げた、 バーゼル美術館

ピカソの絵の特徴である、複数の視点を一つのキャンバスに描く現代美術のキュビズム作品が並ぶ
街並みの美しさはもちろんですが、バーゼルは1㎢に1つ以上の美術館があるといわれるほど、美術館の密度がスイスで一番高いことでも有名です。 中でもバーゼル駅からバスで10分弱の場所にある「バーゼル美術館」は、世界最古の公立美術館であり、ピカソコレクションを含めた約3万点が所蔵されています。 バーゼル美術館を有名にしたのは、1967年の夏のこと。 破綻寸前の航空会社の社長が、バーゼル美術館に預けていたピカソ作品二点を売ろうとしたことから始まりました。ピカソ作品を守ろうと市民が立ち上がり、投票や寄付を集めた末、作品はバーゼル美術館に残ることに。 ピカソはその話を聞いて感動。館長に自分の持っている作品から好きな絵を持ち帰るようにと伝え、結局、ピカソは4作品をプレゼント。 最終的にはもう一作品別の持ち主から寄贈され、7つの作品が揃いました。 2018年は、ピカソ展示が始まって50周年の特別展を予定しています。

開催中の特別展「スイス山岳地方」展も見応えあり
館内には、ピカソに代表されるキュビズムの作品はもちろん、それ以外にも14世紀からの宗教画や印象派など、様々な芸術家の作品が揃います。 あなたのお気に入りの作品も、きっと見つかりますよ。 2018年1月までは特別展「スイス山岳地方」展も開催中。 山岳地帯にいく観光客が少なかった時代から現代の作品までを見ることができます。

Kunstmuseum Basel
バーゼル美術館
https://kunstmuseumbasel.ch/
・大人23フラン(スイストラベルパス利用可)
http://www.raileurope-japan.com/pass/スイスパス
・スイストラベルパスについてはこちら

本物の睡蓮とともにモネの『睡蓮』を観られる「バイエラー財団」美術館

窓が大きく、自然光が入る設計となっている
バーゼルには、日本人に特に人気の印象派の作品を数多く所蔵する美術館もあります。 バーゼル駅からバスを1本乗り継いで15分ほどにある「バイエラー財団」美術館は、まず広大な庭とそこに佇む、明るい光の入る建築が特徴的。 関西国際空港を手がけた世界的な建築家レンゾ・ピアノが手がけた作品です。 こちらには、常設コレクションとして、モネ、 セザンヌ、 ルソーなど、20世紀初頭の印象派をはじめとした作品が展示されています。

モネの「睡蓮」。ガラスの奥には実際に睡蓮の池がある

キュレーターとモネの「睡蓮」
特にモネの代表作である「睡蓮」は、夏になると3部屋ほどもある大きな絵とともに、実際に睡蓮の浮かんだ池を見ることができます。 バイエラー財団美術館は1997年に美術商であったバイエラーとその妻が作った美術館で、ちょうど今年20周年を向え、5月28日までモネ企画を開催中です。 この展示の特徴は、“反射”。キュレーターによると、モネの中期の作品を中心に、セーヌ川、朝の光、睡蓮などと7つのシーンに分けて展示しているのだそう。 特にモネ自身の家族、親戚の娘たちがボートに乗っている『睡蓮』は、多くの人の注目を集めています。
FONDATION BEYELER
バイエラー財団美術館

暮らすように過ごしたい、ライン川沿いのアートの街

いかがでしたか?バーゼルには、近郊を含めると30を超える美術館があり、絵画だけでなく彫刻作品なども観ることができます。 美術館巡りや、地元の人で賑わうライン川沿いの散歩など、何日もかけてじっくりと暮らすように過ごせば、この街の魅力を少しずつかみしめることができるかもしれません。 チューリヒからのアクセスは電車で1時間ほど。フランスやドイツとの横断旅もできるので、ぜひ足を伸ばしてみてくださいね。
-スイス政府観光局
http://www.myswiss.jp
-スイスインターナショナルエアラインズ
https://www.swiss.com
-スイストラベルシステム
http://www.raileurope.jp
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Ami M 写真:青柳喬
スイス政府観光局

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