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生産者の思いをのせたコーヒーで、九州の食を盛り上げて行きたい |福岡「STEREO COFFEE」松崎典成さん

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生産者の思いをのせたコーヒーで、九州の食を盛り上げて行きたい |福岡「STEREO COFFEE」松崎典成さん
東京暮らし10年目にして福岡へ移住した、ライター寺尾えりかによる“福岡に住み、町を盛り上げようとしている人たち”を数珠繋がりで取材する連載『よかひとのともだちはよかひとたい』。

第二回目は、九州の郷土玩具と民芸品のお店「山響屋」店主・瀬川さんのよかひと(友達)で、2015年に福岡の春吉にオープンしたコーヒースタンド「STEREO COFFEE」で店長・バリスタとして活躍している松崎典成さんです。

コーヒースタンド「STEREO COFFEE」

コーヒースタンド「STEREO COFFEE」 松崎さんご自身も、おしゃれな店内の雰囲気にマッチ
瀬川さんからバトンを受けられた松崎さんですが、松崎さんから見た瀬川さんはどういう方ですか?

松崎: 瀬川さんすごく期待している人の1人です。人とのつながりをすごく大切にする人なので、どんどんまわりの意見や知識を吸収していって、それをすぐに活かせる人。

この前まで夢だと語っていたことがもう実現していたり、とにかくいろんな意味で驚かされることが多いです。出勤前や帰りにフラッとお店に遊びに来てくれるので、それが実はすごくうれしかったりします(笑)

「STEREO COFFEE」をはじめるまで

「STEREO COFFEE」をはじめるまで 天神から少し離れた、静かな路地の一角に佇む「STEREO COFFEE」
とてもいい関係ですね!瀬川さんも松崎さんのコーヒーのファンだとおしゃっていましたが、「STEREO COFFEE」をはじめるきっかけを教えてください。

松崎:大学時代、有名チェーン店でのアルバイトが楽しくて。社員になるための採用試験を受けたのですが、落ちてしまって。

それからは頭を切り替えて「お金を貯めて、自分で店を持つしかない」と。すごく唐突ですが、当時はもうそれしかない!と思い込んで、比較的給料のよかった営業職に就いたんです。
ハンドドリップコーヒーと日替わりでのエスプレッソビバレッジが中心のメニュー
コーヒーへの愛ゆえの選択だったんですね。

松崎:そうですね。その時すでに、自分にはコーヒーしかないと思っていました。けれど、現実はそう甘くはなく、営業職は3ヶ月で見切りをつけ無職になってしまいました。「やっぱり現場で働こう」と、有名チェーン店のアルバイトにまた戻りつつ、当時から福岡のコーヒーシーンで存在感を放っていた『REC COFFEE』でも、アルバイトさせてもらうことになったんです。
この夏イチオシの水出しコーヒー。音に酔いしれながら、スタンディングでコーヒーをいただくのが通の楽しみ方
今や、2年連続バリスタ日本チャンピオンで、世界2位にも輝いた岩瀬由和さん、そして岩瀬さんとともにREC COFFEEの共同代表を務める北添修さんには、すごく刺激を受けました。“コーヒーに対する思い”という軸になるべき部分から覆された感じですね。「コーヒーってこういうことだったんだ」と…まさに晴天の霹靂でした。
インテリアはすべて、オーナーの児玉さんが趣味で集めたものだという
それまでは、ただコーヒーを入れることしか頭になかったんですが、豆の生産者さんがいて焙煎屋さんがいて…そして、抽出者である僕たちがいる。すべての人の思いがこの1杯に込められているんだな、と。REC COFFEE に出会ってなければ今の自分はないな、と思います。
レジ横で存在感を放っているのは、サックス型のビールサーバー
それから誘いをうけ、一旦は東京のカフェで働くことになったという松崎さん。 福岡へ戻って来るきっかけは何だったんですか?

松崎:料理・お酒・音楽を楽しめる空間として福岡の飲食業界を牽引してきた、STEREO のオーナー・児玉さんに「東京のコーヒー屋さんを案内してほしい」といわれて、案内させていただいたんです。その夜、渋谷のクラブで児玉さんに「福岡でコーヒー屋をやろうと思ってるから帰ってこないか」とお誘いを受け、「はい」と即答しました。児玉さんも僕も酔っ払ってフラフラだったんですが、そのやりとりだけは鮮明に覚えています(笑)
Tシャツやフリスビーなどのオリジナルグッズの販売も行っている
即決した理由は?

松崎:コーヒー屋をやりたいっていうのがひとつの夢だったので、立ち上げメンバーというところに魅力を感じました。そして、福岡をもっと盛り上げたいという気持ちからでした。それからお店を立ち上げる準備をすすめて、豆をどうするか、コンセプトをどうするか…と、考えた時、やっぱりコーヒーの本当の楽しさを伝えたいと思ったんです。
コーヒーの本当の楽しさとは?

松崎:食べることや飲むことは、自分の体と直結しています。そういう意味ではコーヒーも体の一部になる。だから、お客様にも原料となっている豆にも目をむけてもらえるようなご提供の仕方をしよう、と思ったんです。

生産者さんからロースターさんに“豆”というバトンが渡され、僕が最終ランナーになるわけですよね。だから、アンカーである僕たちが適当な仕事をしていたら、第一走者の顔なんて見えるわけがない。

コーヒー1杯の中には色んな人の思いがたくさんつまっていて、それをどういうふうにお客様に伝えたらいいんだろうって悩みましたね。
ちょっとしたフォトスポットになっている建物横。ロゴとベンチのブルーがリンク
まさに“初心忘るべからず”ですね。

松崎:そうですね、REC COFFEE にアルバイトとして勤務した時に自分自身もすごく感じたことだったので。だから、ロースターさんには自分なりにこだわりを持って選ばせてもらっています。
STEREO COFFEEといえばこれ!JBLのスピーカー。アンプはマッキントッシュという最強コンビ
実際にオープンしてからはどうでしたか?

松崎:物件的にはまさに理想の広さ、形だったのですが、天神からは少し離れた渡辺通りの路地ということもあり、最初はお客様がほとんど来ず、葛藤の日々でした。
1階がスタンディングのイートインスペースで、2階がギャラリースペースになっている
なんとかせねば…と、女子ウケのよさそうなフォトジェニックなメニューを作ってみたりもしましたが、それは自分たちの信念を曲げることになる…と初心に立ち返り、コーヒーと音楽で勝負することにしました。すると徐々にお客様が増え、今では多くの方がに訪れていただけるようになりました。
福岡のコーヒー屋さん業界、すごく盛り上がってますよね。

松崎:そうなんです。福岡ではずいぶん前からコーヒー屋さん同士で手を取り合って勉強会を開催したり、イベントを開催したり、一緒に盛り上げていこうという流れがありました。それは今でも続いていて、福岡らしいな〜と思うとこでもありますね。
築30年の民家を総リノベーションした建物。2階では様々な展示が行われている
松崎さんご自身、そして「STEREO COFFEE」としての今後の展望はありますか?

松崎:今やっと、自分たちが理想としている「STEREO COFFEE」が見えて来たところなので、常にお店主体でいられるよう“芯”の部分を大切にしながらやっていければ、と思っています。⼤衆がこうだから、僕らがこうなるじゃなくて、僕らがこうだから⼤衆もこうなるみたいな、ブームの仕掛け役になれたらと思います。
一部が吹き抜けになっているので、2階から1階を見下ろすことができる
福岡ってどんな町だと思いますか?

松崎:人とのつながりがすごく強い町だと思います。実際にこのSTEREO COFFEE も僕が上京する前からの知り合いが集まって作り上げたものですし“人との縁”って本当に不思議で、とても大切なものなんだな、と思いますね。

よかひと(松崎さん)が紹介する、よかひと(友達)とは?

よかひと(松崎さん)が紹介する、よかひと(友達)とは? 日が暮れるとネオンが灯り、昼間とは違った表情を見せる
ーそれでは、最後に、次にバトンタッチする⽅を教えてください!

松崎:福岡の数ある有名な酒屋の中でも一際異彩を放っている『とどろき酒店薬院Stand!』 の店長のかずさん(石田和也さん)です!

お店に訪れると、いつも生産者にフォーカスしたお酒の話をしてくれるんですが、その話を聞くと不思議なことにいつもの何倍もお酒がおいしく感じるんです。そして、 実はかずさん、元々バリスタだったんです。僕が影響を受けたREC COFFEE の店長を経てお酒の世界へ…。なぜそんな突拍子もないことをしたのか僕自身もすごく気になっています(笑)
【お話を伺った人】
STEREO COFFEE バリスタ・店長
松崎 典成
1989年生まれ。数々の有名コーヒー店での勤務を経て、STEREO COFFEE のオープニングメンバーとして参画。2015年12月に同店オープン。コーヒー業務全般を担当し、豆の選定やブレンドなどを行う。

STEREO COFFEE(ステレオコーヒー)

福岡県 福岡市中央区渡辺通3丁目8−3 MAP

092-231-8854

8:00~22:30

不定休

STEREO COFFEE

寺尾えりか

寺尾えりか

福岡市在住のフリーライター。東京から福岡への移住を機に、出版社を退社しフリーランスの道へ。ベレー帽をトレードマークに日々奮闘中。雑貨とアクセサリー、インスタグラムの中の猫(飼っていない)を愛でるのが至福の時。

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文:

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