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2017.08.11
【清】夜の清澄白河を楽しむ、清らかな和酒並ぶ隠れ家。「和酒 鴇鼠」
隅田川の東側に位置する、清澄白河。コーヒーとアートの街として、知名度が上がっていくとともに、新しいお店が生まれ、訪れる方も増えています。 川と運河に囲まれた静かな寺町。最近、住みたい街にも挙げられるようになった、清澄白河の居心地のよさはどこから生まれるのでしょうか。 涼しげな「清」「澄」「白」「河」という漢字をキーに、小さな街に点在する4つのスポットをめぐります。 今回は、「清」らかな和酒がそろう隠れ家のようなダイニングバーへ伺いました。
清澄白河の路地裏にある人気店「紺青」の姉妹店
清澄白河の路地裏にある人気和食店、「紺青(こんじょう)」。その左側のドアを開き、2階へと階段を上ると、姉妹店のダイニングバー「和酒 鴇鼠(ときねず)」が現れます。
奄美のラムや京都のジンなど、なかなか見かけない和酒が揃う
2017年3月にオープンしたばかりの、新しいお店。「和酒」と聞いてすぐに思い浮かぶ日本酒だけでなく、国産のラムやジンも味わうことができます。小笠原諸島や奄美大島でつくられたラム、京都や鹿児島で蒸留されたジン。意外な産地に驚きながら、飲んでみたくなります。
夏に飲みたい和酒を教えてもらいました
前薗さん:
「女性に人気なのは、高千代酒造(新潟県)の『たかちよ雄町』。フルーティな香りが特徴で、後味は爽やかです。タータンチェックのラベルも個性的ですよね。あと、常山酒造(福井県)の『香の栞』ですね。清涼感のある香りが立つので、グラスで飲むのがおすすめです」
店名にもなっている「鴇鼠色」で塗られた壁
前薗さん:
「スタンディングバーとして始めたのですが、女性のお客様の意見を取り入れ、一か月後には椅子を入れていましたね(笑)。『ごはんも、野菜も、スイーツも食べたい!』というワガママに応えているうちに、食事メニューもずいぶん増えました」
和食のベースが生きた、じんわり安らぐ料理
「彩り野菜のテリーヌ」(500円)
中でも人気は、「紺青」の料理長がとる出汁を使った「彩り野菜のテリーヌ」。お出汁を含ませるというひと手間をかけた野菜を、出汁のジュレで閉じ込めたテリーヌにお箸を入れ、色鮮やかな野菜を噛むと、じゅわっとやさしいお出汁がしみだします。
「伝説の出汁巻きサンド」(800円)
忘れてはいけないのが、「伝説の出汁巻きサンド」です。パンよりもずっと分厚く、ふっくら焼き上げられた出汁巻き卵の甘味と、粒マスタードの酸味が絶妙です。どちらも、きちんとした和食のベースが生きた、じんわり安らぐ味です。
自分を知ってくれている地元の人と、店をつくり上げたい
「鴇鼠」店長の浅野さん(左)と前薗さん(右)
前薗さん:
「実は『鴇鼠』の店長を務める浅野さんは、元々『紺青』のお客様だったんです。今、お店を支えてくれている従業員は、清澄白河の『ヒキダシカフェ(現 ヒキダシ)』の元スタッフ。できる限り、自分をよく知ってくれている清澄白河の方と一緒に、店をつくり上げたいという思いはありました」
コーヒーがほのかに香るオリジナルリキュールをロックで
前薗さん:
「こちらで提供しているコーヒーリキュールは、清澄白河の『アライズコーヒーロースターズ』の豆を使ってつくりました。もちろん、お酒だけではなく、コーヒーも飲めます。いい豆を台無しにしないために、淹れ方もアライズの林さんに教わってきました(笑)。
個人的には、「コーヒーの街」として昼間は比較的にぎやかな清澄白河が、夜来ても楽しい街になればいいと思っていますし、自分の店は、遅くまで働いて帰ってきた方がほっとできるような場でありたいですね」
ほどよい距離感が生む、「抜け感」と「心地よさ」
前薗さん:
「地元のつながりは強く感じますが、窮屈に感じないのは、お店同士も、お店とお客様も、適度な距離感を保っているからだと思います。
そして『この街が、暮らしても訪ねても心地よい街であれば』と、皆さんどこかで思っていて、それぞれができることを考えている。それが、清澄白河の抜け感や心地よさにつながっている気がします」
前薗さんの言葉には、この先の取材でも何度も出会うキーワードがちりばめられていました。
和酒 鴇鼠
ワシュ トキネズ
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岡島 梓/写真:小林 利穂
岡島 梓
東東京で暮らすフリーライター。 文章で、日々頑張る人の想いを伝えつつ、明日が楽しくなるサロン「旅する図書館」を開いています。
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