長い歴史に個性あるドーナツたち。必ず行ってほしいダブリンのドーナツ屋さん6選
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長い歴史に個性あるドーナツたち。必ず行ってほしいダブリンのドーナツ屋さん6選

「ドーナツ」って見ているだけでも幸せになりませんか? 僕にとってのドーナツとは、贅沢なものであり身近な存在でもある不思議なお菓子です。幼少期にその魅力に取りつかれてからというもの、なにか頑張りたいときに頬張るのはいつもドーナツ。 嬉しいことにアイルランドのダブリンには、美味しいドーナツを売るお店がたくさんあります。いつもダブリンの建築についてご紹介するこの連載ですが、今回は番外編。選りすぐりの6店をご紹介します。

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アイルランド・ダブリンのドーナツの特徴とは?

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友達の家に遊びに行くときやお見舞いに行くときなど、嬉しいときなんだか特別なときに買ってもらえるお菓子。それがドーナツとの出会い

今日ではドーナツの本場というとアメリカが連想されますが、アイルランドも負けてはいません。特にダブリンでは街を歩くと多くのドーナツ屋さんを見ることができます。 輪っか状のドーナツよりも、コロンとした丸い形状のものが多いダブリンのドーナツ。生地のこだわりだけでなく、生地の上に乗せるトッピングと中のクリームの組み合わせで各店舗の持ち味を表現しています。通りから覗いたときに思わず立ち止まってしまうデザインのドーナツが多いのですが食べてみると、主張の強さに比べて甘さは控えめであるのが特徴です。 こちらのドーナツの平均価格は1個あたり2〜3ユーロなので日本よりもお値段が張るけれど、それに見合った満足感が得られる贅沢なものが多いのも特筆すべきところ。

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1978年創業、チョコレート系のドーナツには風格さえ漂う「ローリング・ドーナツ・ストア」

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通りを歩く人たちを呼び込むガラス張りの建物正面

ダブリン市内でもっとも栄えるグラフトンストリートや、市内を流れるリフィー川沿いにある「The Rolling Donut Store」(ローリング・ドーナツ・ストア)は、老舗のドーナツ屋さん。創業は1978年と歴史は長く、ダブリンの街の発展とともにあるお店と言っても過言ではありません。

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ドーナツの種類が豊富で、現地の人にも人気のお店

持ち帰りのお客さんが圧倒的に多いため店内は広くないのですが、軽く腰掛けられるスペ ースがありその場でドーナツとコーヒーでさくっと休憩できるお手軽さがあります。レジ カウンターとの距離が近いので、店員さんとの会話が生まれることも。

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この日の店員さんも一番好きだと言っていた「ピーナッツバター・アンド・チョコレートクランチ」

なかでもチョコレート系のドーナツの種類が非常に多く、「甘すぎ感」のある派手な原色を使ったドーナツが少ないので、海外で多く見られる甘すぎ系お菓子が嫌いな方でも安心して楽しめます。 個人的に好きなのは、「ピーナッツバター・アンド・チョコレートクランチ」。ふかふか生地の上には濃厚なチョコレートソースとトーストされたピーナッツ、そして生地の中にはピーナッツバターが控えています。 これ一個で十分満たされるボリュームがあり、ブラックコーヒーとの相性は抜群です。

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贅沢もシンプルも味わえる、新進気鋭の一店「ヤンキー・ドーナツ」

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集合住宅の一部に入居。この家に住みたかった

長い歴史をもつ一店目から打って変わり、「Yankee Dotuts」(ヤンキー・ドーナツ)は、2017年6月にオープンしたダブリンで最も新しいドーナツ屋さん。 場所は中心地から歩いて約20分ほど南に下った落ち着いたエリア。ダブリンでは3〜4階建ての集合住宅が多いのですが、その建物の半地下部分に入居するという珍しい造りが特徴です。

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店名のとおり店内はアメリカを感じさせる雰囲気

ちなみに、ダブリンでは某ハンバーガーチェーンや、某コーヒーチェーンなどアメリカ生まれ企業が多く根付いています。 アメリカナイズされてゆく一面と、伝統的な民族文化で観光を盛り上げたい一面とがせめぎ合う様子がダブリンの愛おしさのひとつであるのですが、伝統的な建築様式をもつ住宅街にストレートにアメリカの文化を表現した店舗デザインを持ち込む「Yankee Donuts」には潔さすら感じます。

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持ち帰り用の箱も可愛らしく、手土産にもぴったり

少し話が逸れましたが、このお店では、トッピングやクリームにこだわった贅沢なタイプと、生地の美味しさを味わうシンプルなタイプ、両方のドーナツを楽しむことができます。 贅沢部門でのおすすめは「ストロベリーシュプリーム」。果肉ごろごろのイチゴジャム入りドーナツを、いちごの果肉とチョコレートソースでコーティングした唯一無二の贅沢ドーナツです。 シンプル部門のおすすめ「シュガードーナツ」は、リングドーナツにパウダーシュガーをかけた極めてシンプルなドーナツ。生地の硬さと柔らかさのバランスが絶妙で、もしも僕がこの近くの高校に通う学生だったら毎日食べ歩きしている一品です。

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Yankee Donut

ヤンキー・ドーナツ

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ふわふわ生地とたっぷりクリーム。ダブリンの天使が作るドーナツ「ダブリン・ドーナツ・カンパニー」

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大きすぎない箱の中に並べられたドーナツ

ダブリンの天使と勝手に読んでいるひとりの女性がいます。その名はHilary Quinn。アイルランドのコーク州というエリアの名門レストランやロンドンでの修行を経て、ダブリンでドーナツを作る小さな会社「Dublin Doughnut Company」(ダブリン・ドーナツ・カンパニー)の創業者でもあります。 「ダブリン・ドーナツ・カンパニー」はお店を持たず、毎週後半に手作りでドーナツを作っては限られたカフェの一角にドーナツを届けています。ひっそりとドーナツだけをお店に置いていくなんて…天使のようです。 ドーナツの特徴は、シンプルなふかふか生地をベースにそれぞれのフレーバーのクリームやトッピングがなされたもの。フレーバーは毎週違っていて、今週はどんなドーナツが来るのだろうかとワクワクさせてくれます。

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夜はバーとしても賑わうカウンターにドーナツが置かれてゆく

こちらのカフェ「Vice Cofee」(ヴァイス・コーヒー)では木・金・土曜のみの限定で「ダブリン・ドーナツ・カンパニー」のドーナツを食べることができます。 カウンターから奥に進んだカフェ空間はゆったり滞在するのに困らない広さがあり、天窓から光が注いでいるので心地よくドーナツを堪能することができるのも魅力。

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この日はチョコレートとフランボワーズのフレーバーをいただきました。 チョコレートについては今までご紹介してきたドーナツとは異なり、あっさりした甘さのチョコレートソースが特徴で何個でも食べられてしまう美味しさ。 フランボワーズについてはトップに乗っている果実に高揚しながら頬張ってみるとびっくり。ピンク色のクリームには、フランボワーズつぶつぶ感が分かるほど贅沢に果肉が練りこまれていて、小ぶりで柔らかな生地と見事にマッチしていました。

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Vice Coffee

ヴァイス・コーヒー

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旅行のお供にドーナツを、駅の一角にある「オフ・ビート・ドーナツ」

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駅から直接お店につながる入口

ダブリンとアイルランド内の街をつなぐDARTという電車があります。ダブリン市内にあるPearse StationというDARTの駅にあるのが「Off Beat Donut」(オフ・ビート・ドーナツ)。 これから電車でどこかへ向かう人たちが出発の前にドーナツを購入されてゆく光景が印象的なドーナツ屋さんです。 店員さんも優しく、どれを頼もうか悩んでしまった初めての入店時にはそれぞれのドーナツについて丁寧に説明してくれたのが印象的な思い出。

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シュガーやカスタード、チョコレートなどといった定番のドーナツも用意

「オフ・ビート・ドーナツ」の特徴は変わり種ドーナツが多く、話題性を狙っただけで味は全く美味しくないことが多い変わり種も定番のドーナツどちらも、ちゃんと美味しいということ。 シュガーやカスタード、チョコレートなどといった定番のドーナツに加えてマシュマロを乗せたものやレモンクリームが詰まったものまであり、他のお店では見かけることのない珍しいドーナツたちに出会うことができます。

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断トツでおすすめなのは「クレームブリュレドーナツ」。 カスタードの上を焦がしたカラメルが覆うフランス発祥のお菓子であるクレームブリュレをモチーフにしたドーナツは、普段からあまり変わり種に挑戦しない「やっぱり定番派」の僕でさえも毎回頼んでしまう美味しさです。 ドーナツを頬張ったときに表面のカラメルがパリッと割れる食感と柔らかい生地、そしてバニラ風味が強いカスタードクリームの組み合わせはまさに贅沢の極み。

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このドーナツと共にゆく旅は、きっと最高の思い出

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Off Beat Donut

オフ・ビート・ドーナツ

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地元の人たちに愛されるカフェ「スライス・オブ・ケイク・カフェ」の希少なドーナツ

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うっかり通り過ぎてしまいそうになるシンプルなお店

ダブリン中心部から歩いて約20分ほど、閑静な住宅街の一角にあるのが「A Slice of Cake Cafe」(スライス・オブ・ケイク・カフェ)です。 休日の朝からおじいさんが新聞を読みふけっていたり、地元の奥さま方がゆっくりお喋りを楽しんでいる店内の様子は日本の小さな喫茶店を思い出します。

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今回取り上げたいのは、毎週木曜日限定で販売される自家製ドーナツです。 店内で生地から手作りしており、ベイクドチーズケーキのような重めのケーキ生地のようにどっしりとした食べごたえがあります。

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毎週フレーバーは異なり、この日のフレーバーはブルーベリーチーズクリーム。 濃厚なクリームチーズと重めの生地は相性が良く、大きさは小ぶりながらも生地がしっかりしているので1個でちゃんと満足できます。 ダブリン中心部から距離があるのですが、小さくてアットホームなこのカフェでドーナツを食べる時間は中心部から少し離れたエリアだからこそ。地元のお客さんに愛される空間でゆったりとした時間を楽しんでみてください。

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A Slice of Cake Cafe

スライス・オブ・ケイク・カフェ

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ダブリンのドーナツ文化はここから始まった。「ローリング・ドーナツ・キオスク」

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通りを歩く人たちが足を止めるドーナツスタンドは「The Rolling Donut Kiosk」とも呼ばれている

今回記事の1店目として紹介した1978年創業の歴史をもつ「ローリング・ドーナツ・ストア」の本店がこちら。 沢山のドーナツが並ぶ店内が特徴の「ローリング・ドーナツ・ストア」の支店と異なる、小さなドーナツスタンドです。 かつて創業者が「The Rolling Donut Kiosk」(ローリング・ドーナツ・キオスク)と呼ばれるこの小さなお店を始めたのが全てのはじまりでした。お店の佇まいは創業当時のまま、そして同じ場所で今もなお営業を続けています。 今回記事の1店目として紹介した「The Rolling Donut Store」の本店がこちら。 1978年の創業から、お店の佇まいも場所も変わらず今なお営業を続けています。

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フレーバーがつけられる前の揚がりたてドーナツたち

カラフルなドーナツが並ぶ支店とは異なり、ここで販売されているドーナツはシュガー・シナモン・チョコレートの3種類のみ。 ドーナツはその場で揚げられ、通りを行き交う沢山の人たちが歩みを止めては買っていくため、常に揚げたて新鮮なドーナツが食べられます。

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ドーナツ1個あたりの価格は80セント。ドーナツを片手にそのまま街歩きに繰り出してみては?

個人的には、表面がさくっと中はしっとりとした生地とやさしい甘さが堪能できるシュガーをおすすめします。 やっぱりできたての美味しさには敵わない、ということを改めて実感させてくれるのが「ローリング・ドーナツ・キオスク」のドーナツです。

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テーマを決めて街を歩くということ

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以上、連載の番外編としてとっておきのドーナツ屋さん6店をご紹介させていただきました。 今回は僕がこよなく愛するお菓子「ドーナツ」がテーマでしたが、どこか新しい場所に行ったとき何かひとつのテーマを決めて街を巡ってみると面白い発見があるかもしれません。 たとえば地元の人しか知らないローカルカフェであったり、思わぬところで土地の歴史が見えてきたり…そんな素敵な出会いのきっかけになるはずです。

※掲載の内容は、記事公開時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。
※画像・文章の無断転載、改変などはご遠慮ください。

タナカユウキ

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おなかの弱い一級建築士。ライター、建築写真家。1988年岐阜生まれ。現在はアイルランドのダブリンという街に住んでいます。好きな食べ物はドーナツと、カレーライス。

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