41
2015.08.21
映画『ロマンス』で箱根へプチトリップ ― 1日に起きた出会いと別れの物語
小田急電鉄の特急電車・ロマンスカーに乗ったことがありますか? 新宿を出発し、箱根まで1時間半弱で到着するロマンスカー。 今回、紹介する映画は、そのロマンスカーでアテンダントとして働く26歳の女性が、ある出会いをきっかけに過去を振り返り、少しだけ背中を押された気分になる、小さな旅の物語です。
特急ロマンスカーのアテンダントをしている北條鉢子(大島優子)は、仕事の成績は常にトップで、ミスばかりする後輩・久保(野嵜好美)のフォローも欠かさないしっかり者。 でも、彼氏の直樹(窪田正孝)からお金を貸してほしいと頼まれれば、つい断れずに貸してしまうという優柔不断な一面も。
ロマンスカーの乗客との出会いによって思いもよらない1日に
ある日、もう何年も会っていない母・頼子(西牟田恵)から1通の手紙が届きます。鉢子はそれを制服のポケットにしまい、ロマンスカーでの業務に臨みます。 車内販売をする鉢子は、乗客の中年男(大倉孝二)がワゴンからお菓子を抜き取るのを目撃。映画プロデューサーの桜庭と名乗るその男を箱根湯本駅の事務所に連れていきますが、「お金を払う意志はあった」と言い、あっさり解放されます。 気が晴れない鉢子は、駅のごみ箱に母・頼子からの手紙を投げ捨てます。ところが桜庭は、その手紙をごみ箱から拾って読み、頼子はきっと箱根にいるだろうから、一緒に捜そうと鉢子に提案。桜庭に怒りつつも迷う鉢子は、強引な桜庭によって、母を捜す旅をすることに。 桜庭自身も、何かを抱えている様子。彼はなぜ、出会ったばかりの鉢子を箱根の旅に誘ったのでしょうか……?
初対面の桜庭と母を捜す箱根の旅に出る鉢子
大涌谷名物の黒たまごをほおばる桜庭
小さな旅は、きっとあなたの背中を押してくれる
鉢子が子どもの頃に家族と乗った箱根登山ケーブルカー
箱根や、それほど遠くない場所に、小さな旅に出てみたくなる映画『ロマンス』。母との関係や恋愛に悩んだり、このままでいいのかなと迷ったりしている時、この映画を見ると、鉢子と同じように背中を押され、ちょっとだけ前向きな気持ちにきっとなれると思います。
『ロマンス』 (c)2015 東映ビデオ 8月29日(土)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開 配給:東京テアトル 公式サイト:http://movie-romance.com/
本連載「旅する映画手帖」のバックナンバーはこちら
※掲載の内容は、記事公開時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。
※画像・文章の無断転載、改変などはご遠慮ください。
清水久美子
の人気記事