山の写真家･野川かさねさんのこと

写真家･野川かさねさん。写真集に『山と鹿』(ユトレヒト)、『ABOVE BELOW』(Gottlund Verlag)、『with THE MOUTAIN』(wood/water records)、著書に『山と写真』 (実業之日本社)、共著に『山と山小屋』(平凡社)、『山・音・色』(山と渓谷社)など多数。

野川かさねさんは、ファッションやカルチャー誌などの雑誌、書籍でフォトグラファーとして活躍するかたわら、ライフワークとして山や自然をテーマに撮り続けている写真家です。 “山の写真”というと、ダイナミックな山容や山頂からの絶景写真をイメージするかもしれませんが、野川さんの写真はそれらのイメージとは異なります。 雪や花、木の実、葉、鹿、動物の足あと。野川さんが実際に山を歩いて出会った美しいものやかわいらしいもの、少し影があるものなど、山の小さなかけらを集めるように撮影した一枚一枚を積み重ねて「山」全体を表現しています。

花と植物の店で開催される写真展「study works in progress oze」

GWの尾瀬。普段は木道しか歩けない尾瀬も、雪が残るこの季節はいつもとは違う風景を楽しめる ©kasane nogawa

今回の写真展の会場となるのは、仙台市青葉区にある花と植物の店「MUGUET （ミュゲ）」。野川さんが2011年から撮影し続けている群馬、福島、新潟、栃木の4県にまたがる尾瀬高原の写真がメインに展示されます。タイトルにある「study」は、“観察する、習作する、研究する”の意味を含んでおり、野川さんが尾瀬を歩き、じっと見て観察し、スケッチをするように切り取ったワンシーンが、正方形の世界に表現されています。 暗い沼にブローチのように咲くヒツジグサ、夏風に揺れるキンコウカの幻想的な一枚、静寂の世界が広がる早春の尾瀬と至仏山など、尾瀬の多彩な表情を見つめていると、心が引き込まれていくような心地で癒されます。

ヒツジグサ ©kasane nogawa

秋の尾瀬。湿原全体が金色に染まり、草紅葉と呼ばれている ©kasane nogawa

会場の「MUGUET」へは、仙台駅西口から青葉通を西公園方面へ徒歩20分ほど。ヤナセ自動車が見えたら、その前の路地を入ったビルの２階にあります。深い森の中にいるような気持ちになれる、グリーンが映える空間をコンセプトにした花と植物の店です。今回の写真展に合わせて、店主が飾る花や枝ものなどにも注目です。

山を感じるトーク＆スライドイベントも開催

展示初日の9月12日（土）には、会場の階下にある雑貨とブックカフェ「arrondissement+Cy(アロンディスモンプラスサイ)」で、野川かさねさんのトーク＆スライドイベントも開催されます。展示に合わせて作られた音楽、山の映像作品も上映されます。 秋の休日、コーヒーやワインを飲みながら、山を感じるアートイベントに参加するのもおすすめです。 ○トーク＆スライドイベント [日時] 9月12日(土)、14:30～15:30（受付14:00～） [入場料] 2000円（1ドリンク付）「arrondissement+Cy」に電話またはメールで要予約 [TEL] 022-281-9434 [MAIL] [email protected] ※写真展入場は無料 [ＨＰ] http://arrt90.blogspot.jp/ 街で暮らしていると、日常から少し遠い存在になりがちな自然や澄んだ空気。野川かさねさんの視点で表現された山や自然を、写真展で気軽に感じてみませんか？