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2015.10.16
金曜夜出発で行く♪芸術の秋を満喫する現代アートスポットめぐり
※こちらの記事は2015年10月16日に公開されたものです 旅行に出たいけど休みが取りにくいという人に、時間を有効に使えておすすめなのが金曜夜出発の週末旅。テーマを立てて行き先を決めれば、さらに旅が充実します。そこで、旅行ライターの松岡絵里さんが、おすすめのテーマ別に、週末旅の行き先を提案。今回のテーマは、芸術の秋にアートを堪能できる旅です。
プラン1:金沢21世紀美術館と自然の中に溶け込む芸術作品
レアンドロ・エルリッヒ《スイミング・プール》2004
近ごろ、現代アートが楽しめる旬なスポットが各地に増えています。秋の気配が日に日に深まるこの季節、今年は芸術の秋を堪能すべく、金曜日夜発で2泊3日の現代アートをめぐる旅に出てはいかがでしょう。 現代アートが今日のように盛り上がるひとつのきっかけとなったのが金沢21世紀美術館です。北陸新幹線が開通し、金沢へのアクセスはぐっと楽になりました。金曜日夜に東京駅を出る場合、21時4分まで新幹線が出ています。 土曜日はさっそく、金沢21世紀美術館へ。レアンドロ・エルリッヒ「スイミング・プール」などダイナミックな作品が多く展示されています。建築ユニット・妹島和世+西沢立衛/SANAAデザインのイスなど、見るだけでなく、座ったり触ったりと体験できる作品も多いので、たっぷり遊びましょう。 現代アートの街・金沢には、ほかにも見どころが多数。ひがし茶屋街のお茶屋さん「懐華樓」では現代の作家の手による襖絵など、現代アートがお茶屋さんに溶け込む風景を見学できます。アートの香りが漂う個性派ショップやギャラリーなども数多く建ち並びます。
大地の芸術祭の里では自然と芸術の融合を堪能
草間彌生「花咲ける妻有」
金沢でアートを堪能したあとは、越後妻有「大地の芸術祭の里」を目指しましょう。北陸新幹線で上越妙高駅まで行き、直江津経由で十日町駅へ、所要約2時間半の列車旅です。大地の芸術祭自体は2015年9月13日までですが、常設されている作品が数多くあります。 越後妻有には、宿泊そのものがアート体験となっている施設もあります。「光の館」や「夢の家」などは人気のため、早めの予約は必須です。 越後妻有では越後妻有里山現代美術館[キナーレ]、まつだい「農舞台」といった見学施設のほか、イリヤ&エミリア・カバコフの「棚田」など、屋外の風景に溶け込んだダイナミックな作品が多数。「大地の芸術祭」という意味を、体で感じられるはずです。作品は点在しているので、まず見たい作品の優先順位をつけてからめぐりましょう。 首都圏への帰りは、十日町駅から30分ほどの越後湯沢駅を経由して、上越新幹線を利用しましょう。越後湯沢駅から東京駅までは、わずか1時間半ほどです。
イリヤ&エミリア・カバコフ「棚田」
ジェームズ・タレル「光の館」(Photo by Tsutomu Yamada)
プラン2:瀬戸内海のアート島、そしてユニークな美術館をはしごする
金沢が東の現代アートの拠点ならば、西の雄は瀬戸内海に浮かぶ直島でしょう。瀬戸内海の穏やかな気候・文化・潮風と、島の中に点在するアート作品が見事に調和していて、現代アートの楽しみが凝縮されています。 高松中心部、岡山中心部までは首都圏から夜行バスが出ているので、金曜日の夜のうちに移動しましょう。まず土曜日には高松市にあるイサム・ノグチ庭園美術館へ。ここは、20世紀を代表する彫刻家イサム・ノグチのかつてのアトリエ兼住居だった場所。瀬戸内海が望める自然あふれるロケーションの中で代表的な作品の数々を楽しめます。ただしここは10日前までに往復はがきでの予約が必要です。 そして翌日の日曜日に直島へ。香川の高松港、もしくは岡山の宇野港。土曜日の朝一番で直島を目指すのがいいでしょう。
見どころ満載の直島では見たい作品の優先順位をつけて
草間彌生「赤かぼちゃ」2006年 直島・宮浦港緑地 写真/青地 大輔
宮浦港には、草間彌生の「赤かぼちゃ」が展示されていて、フェリーの上からも作品を楽しめます。またフェリーターミナル・海の駅「なおしま」も金沢21世紀美術館の設計でも知られる建築家SANAAの作品。到着早々、気分が盛り上がりますね。 直島は「家プロジェクト」のほか、ベネッセハウス ミュージアム、地中美術館、李禹煥美術館、ANDO MUSEUMといった美術館で作品が楽しめます。主に宮ノ浦、本村、ベネッセハウス周辺と3エリアに分かれていて、それぞれのエリアは宮ノ浦−本村間で徒歩30分(バス10分)とそれなりに距離があります。 多くの作品を見ることに重点を置くよりも、まずは自分が見たい作品の優先順位をつけ、まわりかたを考えておいたほうが良さそうです。 帰りは高松まで戻り、作品の余韻に浸ったまま、高松空港からさっと飛行機で帰るのがいいでしょう。
家プロジェクト「角屋」 写真:上野則宏
プラン3:みちのくが誇る、独創的なアートスポットめぐり
続いてご紹介したいのが、青森が誇るアートスポット、十和田市現代美術館を中心にめぐる金曜日夜発の2泊3日のプランです。 まず向かいたいのが青森市。東北新幹線や飛行機を利用してスムーズに行ってもいいし、夜行バスを利用する方法もあります。青森市といえば、三内丸山遺跡に隣接する青森県立美術館が有名ですが、残念ながら平成27年9月14日から平成28年3月中旬にかけて長期休館中。ただしワークショップなどには参加できますし、三内丸山遺跡に着想を得たという青木淳の建築デザインだけでも見学する価値はあります。 続いて国際芸術センター青森へ。ここは国内外のアーティストを招聘し、一定期間滞在しながら創作活動を行うアーティスト・イン・レジデンスの施設。安藤忠雄が設計した建物は、季節によって光加減が変わる美しいものです。アーティストの創作活動を見学したり、最新作も鑑賞できます。
展示方法が独創的な十和田市現代美術館へ
ロン・ミュエク《スタンディング・ウーマン》 撮影:小山田邦哉 Courtesy Anthony d'Offay, London
翌日は街をあげてアートを推進している十和田市を目指します。 同市が実施しているのは、アートによる街づくり「Arts Towada(アーツ・トワダ)」というプロジェクト。その拠点施設となるのが、十和田市現代美術館です。この美術館はひとつの展示室にはひとつの作品だけが飾られ、それらが通路でつながっている独創的なもの。作品は屋外にもあり、大型のインスタレーションばかりなのも圧巻です。帰りは八戸経由で飛行機で帰るのがいいでしょう。 いつもと違った環境で自然とアートの一体感を体験できるのが、旅先でのアート鑑賞の醍醐味。刺激的な作品を堪能する週末は、心の栄養になりそうです。
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松岡絵里 構成:相馬由子
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