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2015.10.09
ヴェルサイユ宮殿の庭園を造ったヒロインの愛と勇気の物語『ヴェルサイユの宮廷庭師』
世界一有名な宮殿ともいえる、フランスのヴェルサイユ宮殿。太陽王ルイ14世からマリー・アントワネットまで、ドラマティックな伝説が語り継がれているヴェルサイユ宮殿は17世紀に誕生しました。 国王ルイ14世は栄華のシンボルとして、ヴェルサイユ宮殿の増改築を計画。その庭園を国王の庭園建築家アンドレ・ル・ノートルが設計し、彼と共に庭園の一部となる「舞踏の間」の建設を、ある稀有な才能を持つ女性庭師が担当。 明日公開の『ヴェルサイユの宮廷庭師』は、ルイ14世やル・ノートルといった実在した人物が登場する中、架空のヒロインが生き生きと活躍する素敵な映画です。
女性造園家に思いがけず大きな仕事のオファーが舞い込む
サビーヌは造園業を天職だと思っていた
1682年、フランスの国王ルイ14世(アラン・リックマン)は、新たにヴェルサイユ王宮を建設中でした。その庭園建設を担当するアンドレ・ル・ノートル(マティアス・スーナールツ)は、「舞踏の間」の建築を任せる者を探します。 田園地方で、ある事情から心に傷を負い、独りで生きている造園家のサビーヌ・ド・バラ(ケイト・ウィンスレット)のもとにも、ル・ノートルから面接するという知らせが舞い込みます。
ル・ノートルに気に入られるサビーヌ
ル・ノートルはサビーヌから刺激を受ける
サビーヌが面接を受けに行くと、彼女以外の候補者は全員男性で、サビーヌは彼らから露骨な性差別を受けます。 設計の中に“ほんの少しの無秩序”を取り入れることを好むサビーヌと、伝統と調和を重んじるル・ノートルは意見が対立し、面接もあっという間に終了。サビーヌは落選を覚悟しますが、ル・ノートルは彼女の感性に新しさと可能性を見出し、サビーヌを採用します。
サビーヌは王をも魅了する感性の持ち主
自ら泥にまみれながら、ヴェルサイユの庭園造りに励むサビーヌ。彼女の自由な精神は、王をはじめ、王族や貴族たちを引きつけます。
サビーヌの自由な発想は王の心も動かす
惹かれ合ってしまうサビーヌとル・ノートル
そして、サビーヌとル・ノートルは一緒に仕事をするうちに、夢の庭を築くという目標を共有し、次第に惹かれ合っていきます。でも、2人の間には様々な障害がありました。 やがて、サビーヌが抱える心の傷が明らかになっていきます。果たして、サビーヌとル・ノートルは、数々の困難の中、どのような宮廷を造り上げるのでしょうか…?
2人の間にはどんな障害が…?
実在していたら素敵だったと思える魅力的なヒロイン
男性ばかりの職場で、女性が重要な仕事を任され、活躍するということはほとんどなかった時代。サビーヌの物語はフィクションですが、女性ならではの発想と感性があったからこそ、素敵なヴェルサイユの宮廷が設計されたのではないかと思えるようなストーリーです。
実際に訪れることができるヴェルサイユ宮殿の庭園
中央がアラン・リックマン
『ハリー・ポッター』シリーズで知られる名優アラン・リックマンが、ルイ14世を演じながら、本作の監督も担当。きらびやかな宮殿や衣装にも心を奪われる、女性が楽しめる1本です。 映画を観た後は、フランス旅行をして、ヴェルサイユ宮殿を見学し、ル・ノートルが造った実在の美しい庭園を訪れたくなることでしょう。
パリの南西約18kmのところにあるヴェルサイユ宮殿
サビーヌの女性ならではの新しい発想が美しい庭園を造る
『ヴェルサイユの宮廷庭師 』 10月10日(土)より角川シネマ有楽町、Bunkamura ル・シネマほか全国公開 © BRITISH BROADCASTING CORPORATION, LITTLE CHAOS LIMITED, 2014 出演: ケイト・ウィンスレット、マティアス・スーナールツ、アラン・リックマン、スタンリー・トゥッチ 監督・共同脚本:アラン・リックマン 原題:A Little Chaos/2015年/イギリス/117分/スコープ/5.1ch /PG-12/字幕翻訳:松浦美奈 後援:フランス観光開発機構/ブリティッシュ・カウンシル 配給:KADOKAWA 公式サイト:http://versailles-niwashi.jp/
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清水久美子
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