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2015.11.10
一度は泊まってみたい!「宿坊」ってどんなところ?
※こちらの記事は2015年11月10日に公開されたものです。 神社仏閣好きなら一度は泊まってみたい宿坊。宿坊によっては、座禅や写経などの修行ができたり精進料理も味わえるとあって、非日常的な体験をしたい女性客にも人気があるようです。そこで今回は、神社、寺旅研究家の吉田さらささんに、宿坊の選び方や宿泊時の注意点を教えてもらいました。
宿坊の成り立ちは様々、でも参拝者なら誰でも泊まれる
(c)吉田さらさ (高野山・蓮華定院)
まず、宿坊とはどんなところでしょうか? 成り立ちや特徴を教えてもらいました。 「宿坊とは、お寺や神社の参拝者が泊まることのできる宿泊施設ですが、成り立ちは様々です。1つは、江戸時代に、信仰者同士で費用を出し合ってお参りに行く『講(こう)』が盛んでしたが、講の人々を案内する『御師(おし/おんし)』と呼ばれる人が、自宅に泊めたことから宿坊に発展したケース。他には、各藩の武家の人々がお墓参りに行った時に泊まる宿として営まれていた高野山の宿坊も有名です。もちろん今では一般の観光客も宿泊することができますが、運営方針は様々で、簡素さをウリにしているところもあれば、上質さを追求した豪華な宿坊もあります」(吉田さん)。 予約をすれば、参拝客は誰でも泊まることができるそう。宿泊のハードルは意外と高くないようですね。
(c)吉田さらさ (高野山・蓮華定院)
座禅、写経、滝修行…目的に合わせて宿坊を選ぼう
(c)吉田さらさ (高野山・蓮華定院)
一度は体験してみたいと思っても、ホテルや旅館と違って気軽に宿泊していいものか、身構えてしまう人も多いと思います。実際、日常とはかけ離れた質素な暮らしや厳しい修行が待ち受けてるのでしょうか? 「そんなことはありませんよ。最近は、いわゆる宿坊らしい簡素なところは案外少ないです。有名なところでは、高野山の宿坊の場合、どこも非常にクオリティが高く、豪華な精進料理が付いていたりしてまるで高級旅館のようです。ひと言で宿坊といっても本当にいろいろなところがあり、目的によって選び方も変わってくるので、まずはガイドブックやネットで宿坊の雰囲気を調べてみて下さい。 そして、座禅や写経がしたいのか、精進料理が食べたいのかなど、宿坊で何を体験したいのか明確にしましょう。禅宗のお寺なら座禅を体験できますし、真言宗のお寺だと『阿字観(あじかん)』といって、瞑想の体験ができるところもあります。他にも、写経や滝修行などの体験ができる宿坊もあります」(同)。 自分がそこで何をしたいのか明確にしてから宿坊探しをすれば、イメージと違うなんてことも避けられそうですね。修行体験は予約が必要な場合もあるので、事前にチェックしておくといいそうです。
早起きして朝のお勤めに参加しましょう
どんなタイプの宿坊に泊まっても、朝のお勤めは必ず出るようにするといいそうです。お勤めとは法要のこと。仏様の前で、お寺の住職によってお経が唱えられます。 「住職の講話が聞けたり、宿泊者だけが特別に見せてもらえる仏像などがある場合もあります。普段より早起きかもしれませんが、まだ他の参拝客が来ていない静寂に包まれた境内で過ごせるなんて、とても贅沢ですよね」(同)。 普段はなかなか接点の少ないお寺の方と直接いろいろなお話ができるのも貴重ですよね。では、初めて宿泊する女性にもおすすめの宿坊とは? 「初心者の場合は、旅館と変わりないホスピタリティでおもてなししてくれる高野山の宿坊がおすすめです」(同)。 高野山には50以上の宿坊があるので、ホームページなどを見ながら、どの宿坊に泊まるか考えるのも楽しそうです。 宿坊で心を落ち着かせる特別な体験をして、自分自身を見つめ直すきっかけにしたいものですね。 ※取材協力:蓮華定院
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宇都宮薫 構成:相馬由子
取材協力/吉田さらささん
岐阜県出身。大手出版社で編集者として勤務後退社。京都・奈良で宿坊に泊まりながらお寺を巡った経験から、テラタビスト(寺旅研究家)として執筆活動を開始。その後神社の魅力にも魅せられ、現在は、寺と神社の旅研究家として、執筆、講演、ツアーの企画などを行っている。
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