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2025.01.06
松本が誇るレトロ建築「国宝 旧開智学校校舎」。擬洋風建築の美しさと文明開化の息吹を感じて
豊かな自然環境と多彩な文化遺産に恵まれた長野県松本市。城下町の面影を残す街の中心部には国宝松本城をはじめ、いくつもの博物館や美術館などがあり、観光で訪れる人にとって見どころが尽きません。松本城のすぐ近くにある「国宝 旧開智学校校舎」も、松本観光では見逃せないスポットの一つ。耐震対策工事を経て、昨年11月から再び公開された「国宝 旧開智学校校舎」の魅力をご紹介します。
明治時代建築の小学校校舎で、現在は国宝に
レトロなたたずまいの門構えも素敵
1876(明治9)年に、小学校校舎として完成した旧開智学校校舎。90年近く使われ、現在は教育資料などを展示する博物館として公開されています。文明開化の時代に取り入れられた擬洋風建築の特徴を色濃く残す建造物で、2019年には近代学校建築では初めて国宝に指定されました。2021年から耐震対策工事のため3年半にわたって休館していましたが、2024年11月に再オープン。見学を心待ちにしていた人たちが続々と訪れています。
和風と洋風が混ざり合った明治時代を象徴する建物
雲の上に羽ばたく天使。その下には和風の彫刻があるので、現地で確かめてみて
和と洋の建築様式を組み合わせているのが擬洋風建築。旧開智学校校舎では、外観のあちこちにその特徴が見られます。まず目を引くのが、建物の中心部にある塔。擬洋風建築の特徴として、塔を設ける建物が多かったそうです。そして、その下にある車寄せには日本の城郭などに用いられる唐破風の屋根が付いています。屋根の下には、旧開智学校校舎のシンボルマークとしておなじみの天使。和風と洋風の組み合わせが、独特の魅力を醸し出しています。
近づいたり離れたり、さまざまな角度から眺めたくなる外観
こんなに素敵な建物が学校の校舎?と感じてしまう美しさ
正面から眺めると、とても整然と整っているように見える建物。実は左右均等ではありません。どこが違っているか、じっくり見比べてみてくださいね。“まるで絵みたいに美しい”と感じる人もいるかも。そう感じる理由が、ちゃんとありますよ。建物の両端にある石造りのような部分は、漆喰を使って描いた模様なのです。石造りの西洋建築をイメージして、工夫を凝らした当時の大工さんたちの熱意と努力が伝わってきますね。
貴重な展示内容も建築もじっくり味わって
木の廊下や漆喰の壁、照明周りの装飾など、どこを切り取っても絵になる空間
外観だけでなく、建物内もじっくり見学したい見どころが盛りだくさんです。建物に関する建設資料として、建設に携わった大工の棟梁によるスケッチなどが展示され、試行錯誤を重ねて造り上げた様子が伝わってきます。また、耐震対策工事に関する資料をまとめた特別展示室も。3年半をかけた工事の内容を通して、歴史的な建造物を守ることの大切さにもふれられます。
華麗な彫刻や、当時は貴重だった色ガラスを配した講堂(左、右下)。精巧に造られた校舎の模型など、見入ってしまう展示も多い(右上)
1階と2階からなる校舎内をめぐってみると、廊下をはさんで左右に教室が設けられた構造や、華やかな講堂など珍しく感じる特徴もあちらこちらに。それには理由があるので、ぜひ実際に訪れて確かめてみてくださいね。 また、近代的な建物を建てるための建設費を地域住民が負担したり、節約のために古材を再生したりといった工夫もあったとか。現在も文化や教育に力を注ぎ、豊かな街づくりを続ける松本の気風が感じられます。
艶やかな木材やなめらかな曲線など、随所に見られる建築美(左上、右)。お寺の扉を転用した桟唐戸。見事な装飾に注目して(左下)
年に数回、限られた時だけ公開される塔内部
ぐるりと見まわしたい、八角形の塔内部。公開時期は公式サイトなどでチェックして
耐震対策工事を行ったことで、限られた時だけですが、塔の内部も見学できるようになりました。普段は閉ざされている扉から狭い階段を上って、塔の内部へ。当時は高価なものだった輸入品の色ガラスを配した空間。中央にはチャイムの代わりに使われていたという鐘が残されています。現在の旧開智学校校舎の隣には松本市立開智小学校があり、時折そこからチャイムの音が。明治から現代へ、時が流れても変わらない、学び舎に流れる穏やかな時間を感じて心が和みます。
ほのぼのしたタッチのイラストがかわいいコンパクトミラー(660円)、メモ帳(280円、売り切れ次第販売終了)、ステンレスしおり(620円)、鉛筆3本セット(250円)
見学を終えたら、売店にもぜひ立ち寄ってみて。天使や建物を描いたオリジナルグッズが豊富にそろっていますよ。再オープンにあわせて市内のお店とコラボしたお菓子類も加わって、松本みやげにしたくなるアイテムがさらに充実しています。
「秘密結社 鷹の爪」とのコラボで、より楽しく♪
旧開智学校校舎に設けられた音声ガイドの案内
現在、松本市では、「秘密結社 鷹の爪」をキャラクターに起用した冬季観光シティプロモーションを展開中。魅力的な観光スポットを徒歩やバスでめぐれる松本の観光パフォーマンスの良さを、公式サイトで公開中のコラボ動画などでPRしています。 街なかのあちこちにも登場している鷹の爪団。旧開智学校校舎では、無料の音声ガイドが利用できるほか、売店ではコラボグッズも発売しています。見学の際はぜひ利用してみてくださいね。
限定のコラボグッズ。ステッカー(200円)やアクリルキーホルダー(400円)、缶バッジ(300円)
国宝 旧開智学校校舎
コクホウキュウカイチガッコウコウシャ
https://matsu-haku.com/kaichi/
入館料/400円 ※令和7年4月より、紙チケット700円、電子チケット600円
※掲載の内容は、記事公開時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。
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文:豊野 貴子、写真:山本 章貴
「松本市×鷹の爪団」 観パ良し まつもと
観パ(観光パフォーマンス)とは、観光に費やした時間やコストに対して、どれだけ満足できたかを示す言葉。 松本は、日本でも有数のハイ観パシティなのです。 「冬の松本市」を鷹の爪団がPR。コラボアニメはこちら!
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