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2018.11.16
【特集|旅とカメラと】北海道・東川&美瑛 深まる秋色をつかまえて
晩秋の北海道を訪れるとあまりにも美しい季節の移ろいに、ふと立ち止まってしまいます。木々の緑は鮮やかな黄や目の覚めるような赤、そして暖かなショコラへと刻々と色は変化をし、広い空や神秘の湖の青も、朝に夕にとさまざまな色彩の表情を見せています。そんな深まる秋の色彩の一瞬をカメラに捉えるため、第三回目は、写真家・山岸代里子さんと北海道の大雪山の懐にある東川と美瑛を訪れました。
旅のおともは、EOS Kiss M

EOS Kiss Mは、EOS Kissシリーズで初のミラーレス一眼カメラ。本格的な撮影性能をもちながらも、小型で軽く携帯性にもとっても優れていて旅カメラにぴったりです。今回の北海道では、ミラーレス一眼ならではの性能をフル活用し、天候の変化などそのときの自然環境を生かした撮影ができることに挑戦してみました。
EOS Kiss Mの詳細はこちらから
大雪山の懐で、大地の営みをカメラに収めて

[PHOTO POINT]ロープウェイでは、いいなと思った瞬間にシャッターを切らないとあっという間に景色が遠のいていきます。そんな時はファインダーをのぞくのではなく、ライブビューにすると景色を素早く切り取ることができます。
晩秋の北海道、旭川空港に降り立って向かったのは、大雪山旭岳ロープウェイ。標高2,291m、北海道最高峰の旭岳の玄関口です。 多くの登山家を魅了する大雪山系は、アイヌ語でカムイミンタラといい、神々の遊ぶ庭を意味します。 神秘的な自然の姿を写真に収めるべく、姿見駅から散策コースを歩いてみました。訪れたのは、ちょうど雪の降る直前。秋から冬に様変わりする様子を捉えます。

[PHOTO POINT]曇り空でコントラストの低い日は、植物に寄ったり、印象に残るシーンを切り取ったりしてみましょう。小さな高山植物ならマクロレンズでクローズアップ。ぼけを生かして撮影をするためには、望遠レンズが役立ちます。

[PHOTO POINT]旭岳の麓に湧く、大雪旭岳源水を撮影。雨が降り出し、苔むした岩肌はしっとりとした佇まいで濃い緑色が美しく、苔の岩の間に流れる水の様子を撮りました。シャッタースピードを速くすれば、目では見えない流れる水の繊細な動きを撮ることで水の表情が写せます。
ポップでカラフルな、東川のliko organic cafe

[PHOTO POINT]ナチュラルカラーの可愛らしいカフェ。見た瞬間に心惹かれ、お店を覗いてみたくなりました。笑顔溢れるオーナーの桐原さんと可愛らしい雑貨や小物に満ち溢れたステキな店内にほっこりとした気分になり、旅の疲れが癒されます。
大雪山国立公園の麓にある東川町は、水の豊かな町として知られています。 大雪山系からの雪解け水のめぐみを受けて、町には上水道がありません。3年前、そんな清らかな水のある住環境を求めて移住をしてきたのは、「liko organic cafe」オーナーの桐原さん一家でした。 東京でアートディレクターをしていたという桐原紘太郎さんとヘアメイクの仕事をしていた桐原まどかさん夫妻。そんな二人が、北海道にたどり着き、自分たち手で古民家を改修した店内は、旅人らしいセンスが光ります。 自家製のオーガニック野菜や果物をつかったスムージーやアイスはポップでカラフル♪ 棚に飾られた人気のハーバリウムも秋色がアクセントに。

[PHOTO POINT]店内を彩るカラフルな雑貨に心躍ります。被写体全部を入れずに、単焦点レンズでカラフルな部分に寄って切り取れば、ふんわりとしたボケが色と可愛さを引き立ててくれます。
お隣の美瑛まで足を伸ばして、秋色探し

[PHOTO POINT]車窓からみた景色にときめくたびに車を降りて撮影することになりますが、そんな時、軽量なミラーレスカメラに高倍率ズームレンズ1つつけておけばパッと取り出してサッと撮り、また車にすぐに戻れるので気楽な撮影が楽しめます。人気の撮影地、青い池ではじっくりと三脚を立てて静かな水を表現する。見つけた景色の見せたい部分を強調すれば、見た人にも気持ちが伝わるでしょう。
朝一番に宿を出て美瑛へ。空模様はあいにくの雨。諦め半分で訪れた「青い池」は、想像以上に神秘的で、フォトジェニックでした。雨の日には、雨の日の良さがあり、写真を撮る楽しさ、工夫することの面白さを再発見した瞬間でした。 「青い池」が見せた雨の朝だけの幻想的な世界は一瞬だけ。 しだいに雲が流れ、青空が顔をのぞかせると、水面がキラキラと光りはじめました。それからは、からりと晴れた秋の美瑛らしい色とりどりの田園風景が出迎えてくれました。

[PHOTO POINT]果てしなく広がる景色の遠近感を見せるために、広めに写るレンズを選択しました。秋に咲くひまわりが印象的で、背景に写る秋色に色付いた風景と遠くまで見渡せる風景、陰影を帯びて美しい雲と青空……あまりに雄大すぎて欲張りたくなります。
豊饒の恵みをまるごと味わい尽くして

[PHOTO POINT]切れることのないお客の注文を手際よく一人で切り盛りするシェフのスマートな動きと丁寧な仕事に見とれました。人物の動きを見せたいときには、あえてスローシャッターでぶらすのもおすすめです。カメラはブレないようにテーブルに固定しました。
美瑛の広大な田園を抜け、丘陵地にたたずむ「Café BIEI -good day- カフェ美瑛~ランドマンたちの空庭。~」を訪れました。 2年がかりで建てたという建物の外にはワラが干され、薪が積み上げられ、開拓時代の雰囲気がたっぷり。重い木の扉を開けると、フレンチカントリー調のインテリアから広大な丘陵地の畑が見え、なんとも牧歌的な気持ちに。 ちなみに、ランドマンは農夫という意味。3名のランドマンたちが丹精込めてつくった野菜や地元の牧場で大切に育てれたお肉やチーズなどをふんだんにつかったボリュームのあるランチには大満足。ほら、盛り付けも素敵でしょう?

[PHOTO POINT]ナチュラルな木のお皿に並べられた盛りだくさんの料理は、食べる人の気持ちを豊かにしてくれるランチでした。店の外に吊るされた麦や積み上がった薪などを見つけ、自然と共存しながら生活するランドマンの暮らしが伺えます。
白樺のかごに宿る物語をお土産に

[PHOTO POINT]グレーの壁がディスプレイされた自然の温もりを感じるクラフト雑貨たちを引き立てています。壁とカメラを真っすぐ垂直に向けることで店内に飾られた小物たちがバランスよく落ち着いた雰囲気に写り、センスの良い空間の様子が伝わりました。
旅もそろそろ終わりに近づいてくると、おみやげが気になります。せっかくだから出会った土地の息吹を感じさせるものを持ち帰りたいですよね。 道の駅びえい〈丘のくら〉からすぐの駅前商店街にある「スイノカゴ」を訪れました。 店内には、ライ麦のヒンメリや木工の器など道内の作家さんの手がけたクラフト製品のほか、革バッグや洋服、アクセサリーなど全国各地から丁寧につくられた品々がさりげなくディスプレイされ、研ぎ澄まされた空間をつくりあげています。 なかでも、オーナーの崎山雅恵さんが編む白樺の樹皮のかごはここにしかない1点もの。初夏にお父様と一緒に美瑛の森に入り、間伐材の樹皮をとりにいくという崎山さん。お父様の編むワッパも味わい深く、ぬくもりを感じる一品です。

[PHOTO POINT]窓から差し込む柔らかい光を受けて編み込んだかごの編目や曲げわっぱの幾何学的な模様が浮き上がり、自然が育んだ美しさとゆっくりとした時間の流れを感じます。自然の素材には自然光が似合います。
スペシャリストが選んだロケーションで佇めば

[PHOTO POINT]思わず「わあ!!」と声が出てしまうくらい、目の前に広がる絶景が美しすぎます。椅子に座って見える季節ごとに違う表情の情景を想像しました。雨が上がり霧が立ち昇る山と紅葉した木々の美しさは圧巻です。
美瑛を訪れたなら行っておきたいのが、写真家・中西敏貴さんのギャラリー「atelier nipek café & gallery」。 北海道の風景に惚れ込み、移住をして日々フィールド撮影に勤しむ中西さんの写真をじっくりと眺めながら、スペシャルティコーヒーやカフェオレ、旬の素材をつかったケーキをいただくひとときは北海道の旅を振り返るいい時間になります。 何よりも、美瑛の自然の美しさ、移ろいをよく知るスペシャリストが選んだこのロケーションは唯一無二の美しさ。目の前には大雪山連峰がそびえ、裾野の森は季節によって色が移り変わるのだそうです。雄大な景色に、ただただ圧倒されます。

[PHOTO POINT]カフェの窓から見える深まる秋を、まるでその場で見ているかのように表現するために机と窓枠を入れて臨場感を出しました。窓の外の雨にうたれて一層色鮮やかな木々の色合いを表現するのに望遠レンズを選択して、色彩のコントラストを表現しました。
旅のおともは、EOS Kiss M。旅の途中で出会った風景をさっと切りとる携帯性はもちろん、自然を生かした撮影にも効果を発揮します。スマートフォンとの接続も簡単。絶景に出会ってすぐの感動を、すてきな一枚とともに、SNSでシェアしたいですね。 雄大な自然風景を求めた「北海道・東川&美瑛の旅」。今回は幸運にも、土地の雨の顔、晴れの顔、二つの景色に出会うことができました。刻々と変わる大地の色を、その瞬間、瞬間切り取って捉えていくのが風景撮影の醍醐味。美瑛は、そんな魅力にあふれています。 この続きは、美瑛の自然の魅力を語り尽くした動画に、バトンタッチ。 ぜひ、ご覧くださいね。

- 大雪山旭岳ロープウェイ(北海道上川郡東川町旭岳温泉 tel. 0166-68-9111 冬季9:00~16:00(無休 11月11日〜12月10日は設備点検のため運休)
- 大雪旭岳原水公園(北海道上川郡東川町ノカナン)
- liko organic cafe( 北海道上川郡東川町キトウシ南1丁目1-11 tel. 070-3841-5165/13:00〜16:00/不定休、11月~2月は冬季休業)
- 青い池( 北海道上川郡美瑛町白金)
- Café BIEI -good day- カフェ美瑛~ランドマンたちの空庭。~(上川郡美瑛町大村大久保協生/tel.0166-74-8307/11:00~16:00 L.O.15:00 /火曜定休、冬季は火・水曜定休、荒天時など不定休あり)
- スイノカゴ(北海道上川郡美瑛町中町1丁目4-34/tel.090-6260-1701/11:00〜16:00/日・月・火曜休 )
- atelier nipek café&gallery(北海道上川郡美瑛町美沢希望/tel.0166-74-8169/10:00~14:00/火・木・日曜休 11月〜4月末まで土曜休)
<旅人の横顔>

写真家・山岸代里子(やまぎしよりこ)さん アメリカ滞在中に写真に興味を持ち、その後、本格的に学びプロの道へ。ポートレートスナップや、クローズアップネイチャーを得意とし、現在、EOS学園名古屋校講師も勤めている。
北海道・美瑛の雄大な風景をカメラに
今回の特集を気に入っていただけたなら、本文にも登場した美瑛に惚れ込み、「atelier nipek café&gallery」を営む写真家・中西敏貴さんが、美瑛の作品を紹介しながら写真の魅力にせまる動画をぜひご覧ください。きっと、美瑛に行きたくなりますよ。
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もりことり 写真コメント:山岸代里子 編集:ことりっぷ編集部
キヤノン EOS学園オンライン

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