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2015.11.20
【神奈川・鎌倉】メニューは1種類のカレーのみ!3ヶ月毎日通う人もいる「ゴクラクカリー」
鎌倉駅から長谷へと向かう由比ヶ浜通り沿いに、ひときわ異彩を放つお店があります。外壁には複数の仏さまが描かれ「恋でもなく 愛でもないのに 何故か忘れられない極楽カリー」の文字。怪しさにひかれてドアを開けてみると……。
店内は明るくて居心地のいい空間
お店の外観はかなり個性的
お店の中に足を踏み入れると、外観からは想像しがたい居心地のよさそうな空間。大きな窓のある明るい店内には、ゆったり配置されたテーブル席が4卓と、居心地のよさそうな小上がり席が2卓。天井からは美しいモザイクランプが吊り下げられています。
ランプの明かりを目で追っていくと、天井にはありがたい天女の画。ところがなんと、手にはお皿とスプーンを持っているではありませんか! う〜ん、やっぱりちょっと怪しいかも……。 ここ「ゴクラクカリー」は、地元ではちょっと有名なカレー専門店。なぜかというと、シュールな外観とキャッチーな宣伝文句につられてお店に入れば、一種類しかないメニューの「ゴクラクカリー」をオーダーすることになり、その深い味わいに虜になる……と評判だからです。
リピーターが多いそのワケは?
3日間煮込んだチキンは小骨も食べられるやわらかさ
店主の竹迫順平さんがお店をオープンしたのは、2014年2月のこと。知る人ぞ知る横浜のカレー専門店で修行をした後、この地で開業しました。メニューは、野菜とスパイスで3日間かけて煮込んだチキンカリーにサラダ、チャイがセットになった「ゴクラクカリーセット」(1300円)のみ。それでも足繁く通うリピーターが後を絶ちません。 パキスタンのおもてなし料理がルーツだというこの「ゴクラクカリー」。鶏肉をトマトやタマネギなどの野菜と、ウコン、グローブ、クミン、カルダモン、コリアンダーなど10種類以上のスパイスで長時間煮込み、塩だけで味を調えたもので、水を一切使っていないのが特徴です。現地ではお祝いの席などで食べられる特別な料理のため、本国パキスタンでもめったに食べられない、貴重なカレーなのです。 鶏肉はホロホロとやわらかく、野菜の甘みと旨み、スパイスの複雑な味わいが後を引くおいしさ。辛すぎず、スパイスが主張しすぎることもないのに、家で作るのとは明らかに違う独特の風味。まさに“なぜか忘れられない”クセになる味です。
3食続けて食べに来たお客さんも
さまざまな効用がある各種スパイス
「開店から3カ月間、毎日ランチを食べに来たグループのお客さまや、『夢に出てきたのでまた来ました』というお客様もいました。なぜか妊婦さんにも人気があります。僕自身が一番びっくりしたのは、昼・夜・翌日の昼と3回続けて来店されたお客さまがいたことでしょうか」 そう話す竹迫さんに味の秘密を聞いてみると「加えるスパイスの量などは目分量でやっています。だいたい同じですが、まったく同じにはならないので、作るごとに味も少しずつ違うと思います。それが飽きないポイントかもしれませんね」という答え。 ひょうひょうとした店主の人柄も、カレー同様に味わい深く、不思議な居心地のよさを漂わせています。リピーターの心を掴んでいるのは、カレーの味だけではないのかもしれません。
店内装飾はユーモアたっぷり
ゴクラクカリーを持つ七福神
「ゴクラクカリー」に来たら、店内の装飾もじっくり眺めてみましょう。効用の書かれたスパイスの瓶、さまざまなジャンルの本、伝説のシンガーが描いたイラストなど、ユニークなディスプレーがあちらこちらに散りばめられています。 壁や天井に描かれた奇想天外な仏画はすべて竹迫さんの手によるもの。いずれも鎌倉に由来のある仏さまなのだそうですよ。
虫眼鏡を使うと仏画の中に言葉が見える
「メニューは変わりませんが、装飾は変わります」と笑う竹迫さん。古都鎌倉に出現した、ちょっと怪しいカレー専門店。仏さまも虜にする「ゴクラクカリー」を一度味わってみてください。冷凍ルウは通信販売もしているので、クセになったらこちらもどうぞ。
ゴクラクカリー
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写真 にしともこ
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