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2018.12.23
北欧っぽい雰囲気が人気!こぎん刺しでかわいい幾何学模様のしおり作り
ことりっぷの創刊10周年を記念して開催されたイベント「旅するマルシェ」。こちらの会場にて、青森・津軽の伝統工芸「こぎん刺し」のワークショップが行われました。北欧っぽい雰囲気がおしゃれと、ひそかなブームになりつつあるこぎん刺し。講師は青森出身のこぎん作家、藤本真紀子さんです。こぎん刺しの成り立ちを教えていただきながら、かわいいしおりを作りました。
津軽に伝わる伝統的な刺し子「こぎん刺し」
こぎん刺しは青森県津軽地方に伝わる伝統的な刺し子技法。江戸時代、寒さ厳しい冬の津軽で少しでも暖かく過ごせるようにと、麻の着物の荒い布目を刺し子で埋めて、保温性を高めたり生地を補強したのが始まりです。やがて見た目の美しさを求め、きれいな幾何学模様で着物が彩られるようになりました。
今回ワークショップの講師を務めるのは、こぎん作家の藤本真紀子さん。藤本さんのブランド、MITTSU DO MADENI(みっつど までに)では、こぎん刺しのアクセサリーや雑貨、バッグなどを販売したり、展示会やワークショップなどを開催したりしています。伝統ある古典の模様を大事にしていて、販売しているアイテムは、すべて手仕事で1つ1つ作られているのだとか。 ちなみにブランド名は実は津軽弁。「みっつど」は「集中して・みっちり」、「までに」は「丁寧に」という意味だそうです。 藤本さんは小学生の頃にこぎん刺しと出会い、それ以来続けているそうです。 「青森県出身なので、小学校に“こぎんクラブ”があったんです。その時に粛々と刺し進める地道な作業の面白さを知りました。一枚の布が自分の手によってどこまでも美しく変化していくのがこぎん刺しの魅力だと思います。ひと針ずつちくちく刺していく楽しさに加え、どこか北欧っぽい雰囲気もあって、近年じわじわ人気が高まっています」(藤本さん)
こぎん刺しには、定番の伝統模様があります。その中から今回は、「きくらこ模様(こまくら刺し)」と、藤本さんが作り出した創作模様「mitttsuりんご」の2つの図案を教えてもらい、しおりを作りました。 しおりを作る材料は、専用のこぎん針とこぎん糸、そして、太めの糸で織られた専用のこぎん布、裏地に貼る布シールです。
進行方向は常に横へ。行ったり来たりで刺し進める
刺繍を施すこぎん布に対して、常に横方向に刺して進むのがこぎん刺しの特徴。クロスステッチのようにばってんにしたり、斜めや縦には刺しません。図柄の端まで行ったら一段上の目に行き、折り返して進みます。そうやって行ったり来たりしながら模様を作っていくのです。 最初に藤本さんから簡単に説明があった後、さっそくスタート。それぞれ自分のペースで針を進めていきます。参加者全員、集中してチクチクチクチク。
生地の縦糸と横糸が交差しているところを狙って裏から針を入れ、縦糸に覆いかぶせるように刺していきます。生地の縦糸1本が1目です。生地には下絵を描かないので、みなさん図案をよく見て、何目進むか確認しながら進んでいきます。
途中で細かいところは先生に確認しながら、みなさん1時間ほどで1つの模様ができあがりました。裏側を隠したい場合は、好きな柄の布シールなどを貼るとさらに美しく! これでしおりの完成です。
奥深いこぎん刺しの世界を覗いてみて
少しずつ模様が出来上がっていくのが楽しいこぎん刺し。ワークショップではじめてこぎん刺しにチャレンジしたという人も多く、皆さんの表情は真剣そのもの。スタートからできあがるまで、一目一目、じっくりと針を進めていました。同じ作業を黙々と集中して進めていく楽しさ、一度経験するとクセになりそうです! 「こぎん刺しにはたくさんの伝統模様があるので、これを機にぜひ奥深いこぎん刺しの世界を知っていただければ嬉しいです」(藤本さん) 藤本さんは普段、カルチャーセンターなどで定期的にこぎん刺し教室を開催しているのだとか。ホームページかインスタに情報をアップしているので、気になる方はぜひチェックを。繊細で美しく温かみのあるこぎん刺しにチャレンジしてみてくださいね。
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宇都宮薫 構成:相馬由子(ディライトフル)
取材協力/藤本真紀子さん
青森生まれ青森育ち。小学校の頃にこぎん刺しに出う。こぎん刺しブランド「MITTSU DO MADENI」を立ち上げ、こぎん刺し製品のデザイン、製作、販売のほか、各地でワークショップも開催。基本を大切しながら、今の暮らしにも調和するこぎん刺しを目指している。
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