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2020.03.22
【連載】京都よりみちこみち 第一回 《前編》 「膏薬辻子」とその周辺
「碁盤の目」といわれる京の街には、悠久の時を刻む通りや細い路地がたくさん。 なにげないみちも一歩奥へと進んでみれば、小さな発見や出会いが待ち受けています。 ふらり、ゆるりと京のみちを歩いてみませんか?
街なかのビルの谷間に歴史が潜むオアシス

今回ご案内するのは、繁華街のメインストリート四条通と、そのひとつ南の綾小路通をつなぐ膏薬辻子(こうやくのずし)。鍵型に折れ曲がってのびる細い路地です。 石畳を一歩進むとごとに、街の喧騒が次第に遠のいてゆくよう。時間の流れもゆるやかに感じられるから不思議です。
膏薬辻子
こうやくのずし
こみちのおはなし

(右)7月に行なわれる祇園祭で授与される粽(ちまき)。軒先 に飾っておくと厄除けのご利益があるという
このあたりは、平安時代中期、歌にすぐれた公卿・藤原公任が暮らした四条宮があった場所だと伝わります。また、踊りながら念仏を唱えることで、庶民にもわかりやすく仏の教えを広め「市聖(いちのひじり)」と慕われた空也上人が、念仏道場を構えた場所でもあります。 謀反をくわだてた武将・平将門の亡き後、全国で相次いだ天変地異が将門の怨念によるものなのではとささやかれるようになったため、空也上人が道場の一角に塚(現在の神田明神)を建てて供養したことから、「空也供養の道場」と呼ばれるように。「くうやくよう」の言葉が時とともに転じて「こうやく」となったという、ちょっぴりミステリアスな逸話も秘めているのです。

東京の神田明神から分祀された「京都神田明神」
京町家が軒を連ねて趣ある景色を織りなす膏薬辻子は、アクセスの良さもさることながら、素敵なお店が点在しているのも魅力。 手摺り木版やきもの、抹茶菓子、サンドイッチなど新旧のアイテムは、どれも京都らしさが感じられます。格子から差し込むやわらかな光に包まれながら、ランチをしたり、おみやげを買ったり。路地めぐりをのんびり楽しみませんか。 そんなすてきなお店の紹介は《後編》で。お楽しみに。
【ことりっぷマガジン Vol.24】
特集「外国みたいな場所へ」
京都の山奥に突如現れる、英国の片田舎のような場所、ヨーロッパを思いおこさせるガーデンやカフェのある清里など、異国の風景があるエリアを特集。非日常の景色に出会える春旅へ誘います。
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らくたび、ことりっぷ編集部
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