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2020.03.16
天空の産業遺産から手仕事の逸品まで、瀬戸内のものづくりエリア愛媛県・東予東部さんぽ
東予東部とは、愛媛県東部に広がる新居浜市・西条市・四国中央市の総称。古くからものづくりの地として栄え、今もその精神が脈々と受け継がれています。天空の産業遺産を眺めたり、新たな伝統を紡ぐ女性作家の工房を訪ねたり、瀬戸内のものづくりエリアをめぐる週末トリップを案内します。
ここはマチュピチュ!? 天空の産業遺産がフォトジェニックすぎる
天空に突如現れる産業遺産
標高750mの緑深い山の中に現れる、天空の遺構群。その姿がまるで「マチュピチュ」と話題を集めているのが、東予東部エリアのものづくりを象徴する地「東平(とうなる)」です。ここは大正時代に銅山の採鉱本部が置かれ、鉱山の町として栄えた場所。社宅や小学校、さらには娯楽施設まであり、最盛期には約5000人が住んでいたそうです。
1968(昭和43)年の閉山で施設の多くは取り壊され、その跡だけが残されることになりました。今では別子銅山の歴史を体感できる複合施設「マイントピア別子」の「東平ゾーン」として一般開放され、見学しやすいように遊歩道も整備されています。
園内を走る鉱山観光列車(左)、東平歴史資料館のようす。実際に使われていた道具から銅版画の作品まで、銅にまつわる資料を展示(右上・右下)
別子銅山の歴史を深く知りたいなら、隣接する「東平歴史資料館」を訪ねてはいかがでしょう。当時の町並みを再現したジオラマ、実際に使われていた道具などを展示し、銅板を使った体験も楽しめます。 また、ここから車で30分ほど麓へ下った場所には「端出場(はでば)ゾーン」があり、産業遺産を利用した銅山テーマパークとして賑わっています。園内は鉱山観光列車で移動でき、こちらを手がけたのはものづくりに関わる地元有志たち。かわいいフォルムも素敵です。 そんな魅力あふれる2つのゾーンを結ぶ定期観光バスも運行(運行状況は要事前確認)。ガイド付きなので、こちらの利用もおすすめですよ。
マイントピア別子
マイントピアベッシ
愛媛県新居浜市立川町707-3
昔ながらの銅窯で作られる、別子で生まれたレトロな飴
別子飴は1袋108円から販売
別子銅山を見学したら、1868(明治元)年創業の飴菓子店「別子飴本舗」に立ち寄りを。ここでチェックしたいのが、昔ながらの銅窯で水飴を炊き上げ、乳製品と上白糖を加えた乳菓「別子飴」です。愛媛特産のみかんをはじめ、抹茶、いちご、ココア、ピーナツ入りミルクと5種類あり、季節限定の味もプラス。どれもやさしく素朴な味わいで、レトロな包み紙もとってもキュートです。
ポリポーリは1袋540円(左)、キューブタイプの寒天と羊羹は1個216円(右)
こちらでは、飴のほかにもオリジナリティあふれるお菓子もそろいます。たとえば、愛媛オリジナルの新品種である里芋「伊予美人」を使った「ポリポーリ」もそのひとつ。その名の通り、ポリポリとした軽い食感が魅力の里芋バーで、鯛や弓削島の藻塩など愛媛ならではのフレーバーがそろいます。「羊羹」や「寒天」は、愛媛のみかんや徳島の鳴門金時など四国の厳選素材を主役にした逸品。かわいいキューブサイズもあり、おみやげに最適です。 また、併設された工場では、製作風景を見学(10名以上の予約制)することも。タイミングがあえば、こちらもチェックしてくださいね。
別子飴本舗
ベッシアメホンポ
紙の町で生まれた伊予水引の魅力に触れる
愛媛県産業技術研究所 紙産業技術センターに展示される伊予水引
東予東部エリアを象徴する、もうひとつのものづくりといえば紙。多くの製紙工場が建ち並び日本一の生産高を誇る紙の産地・四国中央市では、美しい工芸品「伊予水引」が今も息づいています。最近では、コースターやアクセサリーなど暮らしに溶け込む伊予水引も誕生。さらには、伝統工芸士に直接教わりながら10級から順に挑戦する「水引検定」も開催され、その広がりが注目されています。
カラフルな水引から好みの色をチョイス(左上)、吹き抜けに展示された紙のオブジェ(左下)、初めてでも簡単に体験できる(右上)、館内に飾られた伊予水引の作品(右下)
伊予水引を自分で気軽に作ってみたいなら、「愛媛県産業技術研究所 紙産業技術センター」へ。ここは愛媛の紙産業の歴史や技術研究を紹介する施設で、その施設の一角を開放し、無料で水引体験が楽しめるのです。単色やラメ入りなど約50種類から2本選び、編んだり結ったりを繰り返すこと約10分。かわいいストラップが完成します。館内には伊予水引のモニュメント「昇龍」をはじめ、伊予水引にまつわる展示コーナーもあるので、こちらの見学もお忘れなく。
愛媛県産業技術研究所 紙産業技術センター
エヒメケンサンギョウギジュツケンキュウショカミサンギョウギジュツセンター
四国の茶処「霧の森」で、お茶スイーツでカフェタイム
霧の森パフェ880円。お茶のわらびもちやゼリーなど、中に入るフィリングの多くは自家製
四国中央市の山間いに広がる新宮町は、全国有数のお茶の産地。無農薬栽培から生まれる自然本来の豊かな香りと野性的な渋みが特徴の「新宮茶」の魅力を、余すことなく楽しめるのが「道の駅 霧の森」です。清流に囲まれた広い敷地に、レストラン、ショップ&ミュージアム、日帰り入浴施設などが点在しています。
古民家風の空間でホッとひと息(左上)、ネーミングにもセンスが光る新宮茶のティーバッグは8袋入648円(左下)、霧の森大福165円とかぶせ抹茶440円(右上)、煎茶とほうじ茶の2種類が味わえる新宮茶プリン297円(右下)
「茶フェゆるり」は、新宮茶を贅沢に使ったスイーツやドリンクが味わえるカフェ。ここでぜひ味わいたいのが「霧の森大福」です。上質なかぶせ抹茶を贅沢に使い、クリーム、餡、抹茶入りの餅にさらに抹茶をまぶした4層仕立ての抹茶大福で、ほろ苦さと程よい甘さのハーモニーに、根強いファンが多いのもうなずけます。新宮茶の抹茶や煎茶と一緒に味わうのがおすすめです。 ほかにも、ケーキやアイスなど新宮茶尽くしの「霧の森パフェ」、とろける食感が魅力の「新宮茶プリン」など、常時約35種類のメニューが並びます。 霧の森大福や新宮茶プリンなど、カフェメニューのいくつかはショップでも販売。パッケージがキュートな新宮茶もあり、おみやげにおひとついかがですか。
道の駅 霧の森
ミチノエキキリノモリ
愛媛県四国中央市新宮町馬立4491-1
新たなものづくりを生み出す染色工房「伊予小紋 いちよう」を訪ねて
全工程を手作業で行う小紋師・德永早映さん
穏やかな瀬戸内海と西日本最高峰の霊峰・石鎚山に囲まれた西条市。そんな豊かなロケーションに「伊予小紋 いちよう」はあります。ここで生み出されるのは、繊細で細やかな紋様が印象的な着物の染色技法「江戸小紋」に、美しい西条の風土・文化を表現した新たな工芸品「伊予小紋」。この地で生まれ育った德永早映さんが、群馬県の親方の元で5年半学び、その伝統と技を受け継ぎながら、一つひとつの工程を手作業で仕上げています。
がま口小物入れは1個3100円~。中央が「霊峰石鎚」
「霊峰石鎚」は、天狗岳やヤツデなど石鎚山ゆかりのモチーフが印象的なオリジナル。ポイントであしらったモチーフはどれも繊細でかわいらしく、手仕事ならではの独特の風合いも魅力です。
がま口 のクラッチバッグ10000円。屋号でもある銀杏と霊峰石鎚の紋様が施されている
気軽に使ってほしいと、クラッチバッグやがま口などの小物も展開しています。土曜には完全予約制で工房見学もOK。德永さんの想いも一緒にのぞいてみてくださいね。
伊予小紋 いちよう
イヨコモンイチヨウ
西条ならではの「うちぬき」で醸すお酒を、モダンな酒蔵ショップで見つけました
試飲は無料で楽しめる
「うちぬき」とは、石鎚山系からの自噴水のこと。水の都と呼ばれる西条には、市内各所に清らかな水がこんこんと湧き出ています。この豊かな水と愛媛の米、そして職人の技によって生まれるおいしい日本酒を求めて、創業140年以上の歴史を誇る「成龍酒造」を訪ねました。
遊び心あふれるオリジナルぐい飲み。スマイル275円、ハート385円(左上)、梅ジャム486円・あまざけ540円・酒粕540円(左下)、伊予水引のボトルアクセサリーは特注品。1個300円(右上)、酒蓋などをリメイクした粋な空間(右下)
暖簾をくぐると迎えてくれるのは、酒蔵をリノベーションした和モダンな空間。ジャズが流れる心地よいショップに、食事を引き立ててくれる「伊予賀儀屋シリーズ」や、西条市のはさみ切り絵絵師とタッグを組み故郷の四季を表現した「心シリーズ」など、作り手の想いが込められた日本酒が並びます。試飲を楽しむこともでき、4~11月は酒蔵見学(2週間前までの予約制)も可能です。 ほかにも、酒蔵の女将特製のノンアルコール甘酒、自家製梅酒の梅を炊いた梅ジャム、女将特製の酒粕漬けなどもラインナップ。伊予水引のボトルアクセサリー、遊び心あるぐい飲みなどお酒にまつわる逸品もそろっています。
成龍酒造
セイリョウシュゾウ
いかがでしたか? 愛媛に息づくものづくりの歴史と現在に続く伝統の魅力を感じる旅へ、ぜひおでかけしてみてください。
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井手口陽子 写真:森昌史
えひめさんさん物語
今回紹介した3市の資源を活用し、その魅力を発信する地域振興イベント「えひめさんさん物語」が、2019年4月から11月まで開催されました。来年度以降の取り組みも要注目です。
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