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2020.08.25
ことりっぷMagazine vol.26「ずっと使いたいにっぽんのかわいいモノ 手仕事が生まれる場所へ」
人気ガイドブックシリーズの「ことりっぷ」が、年に4回、季節ごとに小さな旅の提案をお届けする「ことりっぷマガジン」。“街のいいところを見つける 旅のきっかけマガジン”をコンセプトに、旅も週末のおでかけも心地よく過ごしたいと思っている女性に向けたトラベルスタイルマガジンです。
今の暮らしに取り入れたい「にっぽんのかわいいモノ」を全国各地より集めました
主張しすぎない、ほっこりとかわいい、丈夫で使い勝手がよい、身近にずっとおいておきたい一品を探しに、にっぽんの手仕事が生まれる工房や街、セレクトするショップ、作り手を訪ねました。持った瞬間から手にそっとおさまり、身につけたそばから体になじむ、自宅に持ち帰ってもほかの日用品と相性がよいモノが生まれる場所へ。 刺繍・織物、木工・漆器、やきものなどをジャンルに分け、青森・桐生・富士吉田・松本・福井・岐阜・滋賀・岡山・広島・島根・香川・愛媛などからよりすぐりのアイテムをご紹介しています。
【刺繍・織物】女性たちのおしゃれ心から生まれた津軽のこぎん刺し
(右上・左上)刺し子さんの作業の様子も見学できる「弘前こぎん研究所」。くるみボタンは1個450円~(右下・左下)弘前のセレクトショップ「green」
いまから200年以上も前の江戸時代に青森の津軽地方で生まれた、こぎん刺し。藍で染めた麻布に、白い木綿糸で幾何学模様を刺繍する刺し子技法。「こぎん」とは津軽地方の方言で「野良着」のことを指すのだそう。寒冷地の津軽では綿花が育たず、農民は衣服に織り目の粗い麻布を着用。その麻布に寒さをやわらげるための補強として、刺繍を施したのがはじまりとされています。そうした歴史を受け継いでいるのが弘前市にある「弘前こぎん研究所」。貴重な資料の展示のほか、刺し子さんの作業場にもなっています。 新しいこぎん刺しを発信しているのは、弘前のセレクトショップ「green」。「弘前こぎん研究所」と共同で生み出された小物は色と刺繍がどれも今っぽくおしゃれなデザイン。同じ刺繍でも、布地と刺繍の色の組み合わせで雰囲気もガラリと変わるので、どれにしようか迷いそうです。
(左上)桐生「OLN」の定番商品ネックウォマー(右上・左下)天然素材と染色料から生まれた1点もの服やオリジナルの靴下を販売する「RIPPLE YOHINTEN」(右下)刺繍の技術を生かしたピアスは「OOO(トリプルオゥ)」のアイテム
帯や着物などの織物で有名な桐生では織物メーカーからシルク・コットン・ウールで織る日常にも取り入れられるストールなどのファッションアイテムを。1000年以上の歴史がある織物の産地として知られる富士吉田からは、国産リネンの織物を使うファッションブランドや小物をご紹介しています。
【木工】長く使いたい木の器を探しに木工のまち松本へ
(右下)木工デザイナー・三谷龍二さんのショップ&ギャラリー「10cm」(左・右上)カラフルな一輪挿し・木工作家がつくる羊のオブジェなど上質な手仕事アイテムをセレクトする「ファベル・ラボラトリオ」
長野県松本市は古くから木工芸で栄えた街。ものづくりの文化が根付くこのまちは、今も木工作家をはじめとする多くの工芸家の拠点となっています。地元作家の作品を扱うギャラリーやセレクトショップも多く、のんびりクラウトめぐりが楽しめます。 木工作家・三谷龍二さんのショップ兼ギャラリーでは、三谷さんが作る木の器のほか、各地の作家による陶器やガラスなど暮らしに取り入れたい道具がセレクトされています。「意外と手入れがラク」という木工品は、気負わずにふだん使いできるのだそう。 毎年春に開催されるクラフトフェアの参加をきっかけに松本に拠点を移す作家も多く、作家自身に会えることもある松本のショップで、一生添い遂げたい木工のアイテムを探してみませんか。
(左)漆器メーカーとイギリスのデザイン事務所から生まれた多目的容器「STORE」(右上)い草で編まれたドーナツ型の鍋しき(右下)一つで8役の使い方ができる無水鍋
軽いといういままでの良さに加え、気軽に洗え、いまの食卓にもあう色使いやカタチで再注目されている、福井県鯖江市「越前漆器」。鍋しき、しゃもじ、無水鍋など、高価すぎず実用的で使い勝手がいい、メイドイン瀬戸内のいますぐ取り入れたくなる台所道具を集めました。
【やきもの】用の美の精神が息づく島根の窯元へ
(右下・左下・左上)風土から生まれた力強さのある島根のうつわ(右上)出西窯のある「出西くらしのvillage」内にあるセレクトショップ「Bshop」
日常に使うものこそ美しく。昭和初期に柳宗悦を中心に展開された民藝運動に影響を受けた窯元が多く点在している島根。暮らしの中で使う日用品の中に美しさ(用の美)を見出し、活用しようとする日本独自の民藝運動。今回ご紹介する、湯町窯、出西窯、袖師窯、森山窯もその流れを汲む、窯元になります。どの窯元の器も、ぼってりとした質感に、温かみのある色合いが最大の魅力。使うとよりその美しさが発揮されるという島根のうつわは、料理することをさらに楽しくしてくれそうです。 ほかにも素朴な風合いで、暮らしをほんのり明るくしてくれる滋賀の信楽焼とその町を訪ねました。多くの窯元が集まる信楽町には愛嬌のある顔で知られるたぬきの置物があちこちでお出迎えしてくれますよ。
(左)「古谷製陶所」で人気を集めるアイテム(右上)「滋賀県立陶芸の森」で味わえる玄米と発酵食のランチ(右下)見学できる登り窯
おうち時間が続くいまだから、日々の暮らしを大切にし、心地よい時間を過ごすため、色やデザイン、使い勝手など自分の手で確かめながら、ずっと使いたいいいモノにこの特集で出会ってみませんか? 巻頭特集ではオンラインで取り寄せできるものはURLを記載しています。作り手の思いや制作工程のストーリーを聞けば、さらに愛着のわく「モノ」になりそうです。 本号には読者限定で電子書籍を無料ダウンロードできる特典がついています。これまで旅先や外出先にもっていくのには少し大きな荷物になってしまった「ことりっぷマガジン」を、スマホで手軽に持ち運べるようになる便利な機能になりますので、ぜひご活用ください。
contents
刺繍・織物
津 軽 のこぎん刺し
桐生で出会うすてきな布もの
ハタオリマチ富士吉田 リネンのある暮らし
国内ファクトリーブランド発 秋冬に使いたいとっておきアイテム
木工・漆ほか
木工のまち、松本へ
暮らしになじむ 越前漆器
瀬戸内の風土が育んだ 台所の道具たち
やきもの
信楽焼のぬくもり
島根のうつわ
日本のかわいい小皿コレクション
愛媛と香川で出会う 暮らしに寄り添う名品たち
岐阜っぽ。Vol.2 Autumn 岐阜の手しごとの郷を訪ねて
民藝の精神を受け継ぐ美しい場所を訪ねて
こころに響く秋景色
Photo Selection 私が見つけた秋
~ロッテ×ことりっぷコラボレーションお菓子~旅したくなる街で愛されるお店をたずねて
ここだけの特別な旅へ Vol.4 星野リゾート リゾナーレ那須
Regular
写真家の旅の記憶 Vol.2
季節を旅する和菓子ごよみ「さを鹿」
すてきな人がいる町に Vol.2 異国文化を感じる諸島・天草
京都よりみちこみち 第三回 不明門通
東京さんぽ Vol.14 御徒町~浅草橋
絵本のようにかわいらしいスイスへ
スイーツコンシェルジュがお届けする 東京スイーツニュース
本好きによる本好きのための書店めぐり Vol.2 〔熊本編〕本屋と活版印刷所
日本 旅人の視る風景 「磁器の音響く 伊万里・鍋島焼の里」
旅に効く、音楽と映画
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