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2016.05.08
加賀野菜から和菓子まで―九谷焼のうつわで楽しむ金沢の食事処「おいしいいっぷく鏑木」
※こちらの記事は2016年5月8日に公開されたものです。 金沢の観光名所、長町武家屋敷跡の一角にある「鏑木商舗(かぶらきしょうほ)」は、創業190年以上の歴史をもつ九谷焼の商家。 和風建築を改装した風情ある店舗に、庭を望む食事処「おいしいいっぷく鏑木」が併設されています。 舌と目で楽しむ金沢の食文化を、選りすぐりの九谷焼のうつわで味わってみませんか?
長町武家屋敷跡に佇む商舗
金沢駅から車で約10分、北陸鉄道「香林坊」バス停から徒歩約4分の場所にある「鏑木商舗」は、文政5年に開業した九谷焼最初の商家として知られています。各窯から仕入れた製品を販売するほか、自家工房に名工を集めて絵付けを行い、国内外で高く評価される九谷焼を生み出してきました。
鏑木の創業の精神は、“味のある、よい九谷焼を広く全国の顧客に伝える”こと。 風情ある和風建築の広い店内では、歴史的価値のある貴重な作品から、普段づかいのうつわまで、幅広い九谷焼作品が展示・販売されています。
四季折々の魅力あふれる、庭園を眺める食事処
鏑木商舗の店内には、九谷焼の器でお茶や食事を楽しめる食事処「おいしいいっぷく鏑木」が併設されていて、庭に面した長いカウンター席と、グループでゆっくりできるテーブル席があります。 カウンター席は、庭を眺めることができる特等席。その景色は、まるで小さな兼六園。季節の移ろいを感じながらお茶やランチができる、とても素敵な空間になっています。 土日や観光シーズンは混み合うことが多いので、訪れる際には事前予約がおすすめです。
落ち着いた雰囲気のテーブル席
近江町市場の新鮮食材と、うつわの調和を楽しんで
和御前(平日限定、1,800円)
おすすめは、平日限定のランチメニュー「和御前」。近江町市場で仕入れた季節の食材を使った丼がメインで、この日の内容は甘エビとバイ貝と鰆のトロのお刺身でした。 丼の他に、サバのいしる干し焼きと2~3品の小鉢、デザートに葛切りが付いています。 イワシやイカの塩漬けを発酵させて作るいしるは、石川県能登地方で作られる伝統的な醤油の一種。魚の旨味がぎゅっと詰まったいしる干しは、近江町市場や輪島の朝市でも人気の食材です。 扇形のうつわに盛られた加賀野菜の煮物とカキ貝の佃煮をいただくと、うつわの底に、繊細な花鳥の絵付けがあらわれました。盛り付けの参考にしたくなる、美しいうつわづかいも見どころです。
九谷焼のうつわと金沢の和菓子でカフェタイム
お抹茶お菓子付(1,000円)
食事に限らず、カフェとしても気軽に利用することができます。 九谷焼のうつわでいただくお茶やコーヒーは、いつもよりワンランク上の味に感じられそう。 お茶請けは、金沢の老舗菓子店「小出」の和菓子。「山野草」と呼ばれる人気シリーズの中の一種で、野の風景が、蒸しカステラと抹茶のそぼろ餡の2層で表現されています。
モダンでかわいらしいデザインの九谷焼をおみやげに
九谷焼というと、五彩と呼ばれる色彩を用いた重厚な作品をイメージしがちですが、近年はふだん使いにぴったりのモダンな作品も次々と誕生しています。 写真は伝統工芸士・糠川孝之さんの絵付けによる深彩窯(しんさいがま)のもの。九谷焼の新たな魅力を感じさせてくれるシリーズです。
6.5cmほどの小さなかわいい「ミニ下駄」は、旅の記念やおみやげにぴったりの縁起物。2つで1足になることから良縁や夫婦円満の象徴とされ、玄関に飾るとお客様の出入りが増えて商売繁盛につながるともいわれています。 店内には販売スペースの他に、ギャラリーや工房が併設され、九谷焼の歴史と魅力を余すことなく伝えています。 見て、食べて、知って、九谷焼の魅力をとことん楽しめる「鏑木商舗」は、まるで小さなテーマパーク。伝統工芸の街・金沢を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてくださいね。
おいしいいっぷく鏑木
かぶらき
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中山由貴
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