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2020.12.08
日本茶専門店「花千花」と「HOTEL和紡」で、名古屋の歴史と伝統に触れる体験を
名古屋駅から徒歩10分ほどという場所にありながら、黒塗りの格子戸が続く民家や屋根神様が祀られた長屋なども残る「那古野」エリア。細い路地を歩くと昔ながらの街並みの中に溶け込むこようにレストランやショップが点在しています。そんな那古野に新しくオープンした、歴史と現代のセンスが融合した日本茶カフェとホテルをご紹介します。
格子戸が続く長屋をリノベーションし、非日常を演出
那古野に残る築100年近い長屋を改装して作り上げたという「茶房 花千花」は、日本茶専門のティーサロン。格子戸をくぐると、無垢木のカウンターがあり、奥へと続く空間は町屋ならではの趣を感じさせます。茶道を気軽に、身近に感じてもらえるような場所にしたかったという店主の元花さんが作り上げたお店です。箱庭のような日本庭園を誂え、カウンター越しに元花さんが亭主として茶を点て、客人をもてなします。
お茶はもちろん、茶道具や器も地元産のものをセレクト
席に着くと、本日のお茶を紹介してもらえます。木曾檜で作られた箱を開けると、煎茶やほうじ茶、和紅茶など近郊の産地からセレクトした茶葉がずらり。岐阜・東白川村に残る伝統的な製法を再現した萎凋(いちょう)煎茶など、貴重なお茶もあります。この箱も名古屋の伝統工芸士に特別に作ってもらったなのだとか。「どんな製法で作っているのか、どんな歴史があるのかなど、ストーリーを伝えることができる作り手のものを集めました。観光で来た人はもちろん『こんなものがあったんだ』と地元の人にとっても発見があるようなお茶を選んでいます」という元花さん。
香りや音を楽しみながら…ライブ感溢れるカウンター
お茶を決めたら、淹れる様子をカウンター越しに眺めながら、その香りや音を楽しみましょう。カウンターに茶釜があり、目の前で淹れる様子を眺めることができるので、茶道に詳しくないという人もきっとお茶に興味が湧くはず。
お菓子とお茶とのペアリングも楽しんで
日替わり菓子の盛り合わせと煎茶のセット「和彩菓」(1800円)
お茶菓子も地元の菓子店からセレクトされていて、特にこだわったのは、名古屋の老舗和菓子店「不朽園」に特注した最中。「不朽園」は最中が名物のお店として知られていますが、竹炭を入れてシックな雰囲気に仕上げた黒い最中皮と甘さ控えめのこし餡を特別に作ってもらったのだそう。餡にはドライいちじくとクルミが入っていて、お好みでコニャックを加えれば、さらに深い味わいに。ここでしか食べられない特別な一品となっています。
那古野茶房 花千花
ナゴノサボウ ハナセンカ
暮らすように滞在する。一棟貸の和モダンホテル
実は「花千花」の店主元花さんは、同じ那古野エリアにあるホテルの女将でもあり、「花千花」はこのホテルのラウンジとして利用できるようになっています。古民家を改装して作り上げたという一棟貸のホテルはまるで別荘のように寛げる空間です。 ホテルがあるのは那古野の中でも車も通ることができない狭い路地の奥。エントランスには名古屋提灯が飾られ、有松絞りのクッションやオブジェがインテリアに使われています。
レストランやカフェが次々とオープンしていて、グルメな人々にも注目されている、古くて新しい街「那古野」。歴史ある街の新たな魅力を発信している素敵なお店を訪ねながら、街歩きを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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田口真由美
Writer
田口真由美
好物は古いものと発酵したもの。名古屋を拠点に町や人、美味しいものを訪ねる日々を過ごしています。
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