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2020.12.18
箱根の穴場的なスポット、注目集める宮城野エリアで過ごす休日
都心から約1時間30分とアクセスのいい箱根。各種の人気温泉地ランキングでもトップクラスの常連とあって、多くの人でにぎわう温泉リゾートです。そんな箱根でここ数年ひそかに注目されるエリアがあることをご存知でしょうか? もともとローカルの人々に愛されてきた宮城野エリアです。箱根山の南斜面にあたり、積雪の少ないこの地区は、のんびりとした冬の旅にもぴったり。新しい話題のスポットを訪ねてみました。
日本初上陸した「ホテルインディゴ箱根強羅」
1Fにあるリバーサイドキッチン&バー。バーカウンターを挟んでレストランやラウンジが連なる大空間
箱根登山鉄道箱の強羅駅を挟んで、強羅の温泉街と反対側に位置する宮城野地区。古くからの別荘や保養所、住宅が点在する静かなエリアです。そんな宮城野エリアに2020年1月にオープンしたのがこちら。インターコンチネンタルホテルズグループが世界各地で展開するホテルインディゴの日本第1号ホテルとして誕生しました。 ホテルが建つのは早川の岸辺。道路側にあるほの暗いエントランスを抜けると、正面奥の窓一面に川景色とグリーンが広がるドラマチックな趣向です。
天然温泉を引く足湯のテラス。ドリンクやフードのオーダーも可能
ホテルインディゴが大切にしている世界観が「ネイバーフッド」。その街の歴史やカルチャーを独自のセンスで取り込み、ホテルにいながら新しい発見に満ちた体験が楽しめるのだそう。 例えば箱根では伝統工芸品である箱根寄木細工のモチーフを随所に採用しているほか、箱根の歴史的な写真をアートやインテリアとして取り入れています。リバーサイドにある足湯のテラスも、これまでの箱根ではなかなか叶わなかったロケーション。箱根の山々とそこから流れ出る早川を間近に感じられるはず。
ユニークな大浴場。箱根の火山と四季をテーマにしたデジタルアートがシンボル
ひときわユニークなのが温泉の解釈かもしれません。大浴場は水着着用の男女共用スペースとなっていて、まるで海外のスパリゾートのよう。大型カウチをいくつも配し、巨大デジタルアートを目にくつろげる趣向です。 デジタルアートの前は大きなジェットバスになっているほか、自然光が注ぐ窓際にはウォーキングができる歩行湯や全身を預けられる寝湯なども。水着や湯浴みウエアはレンタル(宿泊者は無料)も用意されていますよ。
最もリーズナブルなデラックスキングヒルサイドの客室。ベッドのボードアートに箱根の歴史的な写真を使う
掛け流しの温泉を裸でのんびりと楽しむなら、客室のお風呂へ。こちらではすべての部屋に温泉を引く内湯を設けています。全98室のうち8割の部屋は早川に面した露天風呂となり、開放感もひとしお。他の利用者を気にすることなく、プライベートな湯浴みが堪能できますよ。
77平方メートルのプレミアスイート。早川に面した広々としたテラスに石造りの浴槽やガラス張りのシャワーブースなどがある
個室のほか2名用ルームもあるスパ。館内では「HARNN」のプロダクトも販売
さらに温泉の恵みを取り入れるなら、館内のスパにも足を運んでみては。こちらではタイの高級スパプランド「HARNN」のトリートメントが受けられ、温泉浴との相乗効果で心身をより深く整えてくれそうです。
「強羅花詩」の和菓子セット2200円、足柄緑茶724円(左)、足柄牛リブアイ250グラム11000円(右、税・サ別)
ローカルフードへのこだわりもインディゴならではです。本格的な薪を使ったグリル料理が名物のメインダイニングでは足柄牛のステーキや箱根近郊の旬の野菜を使った料理、ラウンジでは強羅の老舗菓子輔の和菓子、バーでは富士山麓ウイスキーと小田原産のシソジュース&黒糖梅酒を使ったカクテルなど、ここでしか味わえないごちそうがそろっていますよ。
ホテルインディゴ箱根強羅
ホテルインディゴハコネゴウラ
森の中にひっそりたたずむ古い教会を使った「杜カフェ」
自然のままの木々とガーデンに溶け込む建物
宮城野エリアの最奥近くに2020年3月にオープンしたのが「杜カフェ」です。ここは、約20年前までの半世紀間、日本基督教団の礼拝堂として地元の人々に愛されてきた場所。埋もれていた庭と建物に魅せられたオーナーが数年かけてリノベーションし、ガーデンカフェとしてよみがえらせました。
道路から見た入口(左上)、秋冬の夕方にはカフェの前に箱根では珍しい直火の焚き火が登場することも(左下)、御殿場ハムカツのサンドウィッチ(800円、右)
もともとは礼拝堂と事務所、さらに教会附属の幼稚園などもあったというこちらの場所。幼い頃に毎年クリスマスのミサに通った思い出の場所を懐かしみ、再訪をよろこぶ地元の人も多いのだそうです。 手づくりのゲートをくぐって敷地に入ると、出迎えてくれるのが大きく枝を広げたカツラのシンボルツリー。敷地は250坪あるそうで、このカツラを筆頭に当時の面影を大切に残したガーデンを進むと木々に囲まれるようにカフェが建っています。
14:00から提供するふわふわパンケーキプレーン(600円)
訪れる人のお目当となっているのが、3種類ある具だくさんホットサンドウィッチ。一番人気は箱根の麓の御殿場のハムを使うハムカツサンドで、ランチタイムには季節のスープとサラダがつきます。 午後のお茶にはふわふわパンケーキも好評です。小麦粉ではなくパン粉を使い、御殿場産の濃厚な卵をおもいっきり泡立てるのがおいしさの秘密なのだそう。 メニューはいずれも近郊の食材を中心に、ていねいに手づくりしたものばかり。1杯ずつハンドドリップで淹れるコーヒーなど各種ドリンクも含め、心もほっとあたたまる味わいです。
旧礼拝堂を使ったカフェスペース。テラス席もあるので好みで席を選んで
旧事務所を使ったキッチンスペースの奥にあるのが、十字架をそのまま残したかつての礼拝堂。オーナー一家が長い時間をかけて蒐集したペルシャ絨毯やヨーロッパのアンティーク家具がレトロな空間に溶け込んでいて、ゆっくりくつろげるカフェスペースになっています。 白い漆喰の壁、海のように青い階段など、エントランス部分も当時の面影を伝えているとのこと。ひと息ついたら、建物やガーデンをのんびり見学するのもよさそうですね。
シンプルなつくりの客室
敷地内には、先行してオープンしたロッジ(1泊朝食付き1室12000円~)もあります。二段ベッドの部屋、ロフトスペースに寝室を設えた部屋など4室があり、ミネラル豊富な箱根の鉱泉とともに隠れ家気分の滞在が楽しめますよ。
杜カフェ
モリカフェ
箱根メイドのバンズと足柄牛のパテを味わう「BOX BURGER」
箱根バーガー(1890円、左)、アーモンドミルクを使ったキャラメルバナナシェイク(630円、右)
宮城野エリアを走る国道138号沿いに2019年秋にオープンして以降ファンを増やしているのがこちら。アメリカンカルチャーを愛する女性オーナーが開いたハンバーガーレストラン&カフェです。 「デニッシュ生地より、シンプルでパリッとしたバンズが好き」というオーナーが選んだのが「箱根ベーカリー」に特注するパン。箱根近郊で育つ足柄牛のひき肉を使うジューシーな自家製パテとの相性もばつぐんで、新しい箱根名物と呼びたくなるハンバーガーがそろっています。 もっともシンプルな「足柄牛ボックスバーガー」(1580円)でも充分にボリューミーなのですが、おすすめは自家燻製したベーコンやオニオンリングなど、お店のごちそうを全て詰め込んだ「箱根バーガー」だそう。ソースまですべて手づくりで、大幅に手に余るビッグサイズながら女性でもぺろりといけるとのこと。
デミグラスソースハコモコ(1520円)
ご飯派には3種類あるロコモコ風の「BOXハコモコ」(1380円~)も。こちらを含めほとんどのメニューがテイクアウトにも対応しています。
季節のスープ。写真はパンプキン(450円)
明るいオレンジブラウンカラーを基調にした店内。外観も同じ色が目印に
BOX BURGER
ボックスバーガー
「ことりっぷマガジン冬号 Vol.27」のテーマは「あったかい宿と温泉へ」。この冬、注目したい日本各地の温泉と宿を取り上げています。箱根エリアについては「新しくて、どこかレトロな箱根へ」と題し、2020年にオープンした新しいホテルやカフェ、ショップを中心に最新の現地情報を紹介しています。ぜひご覧ください。
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佐藤史子 写真:山下コウ太
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