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2021.06.13
【京都よりみちこみち】京の文化がぎゅっと詰まった寺町通:前編
風格のある老舗や、目利きが足繁く通う骨董屋が建ち並ぶ寺町通。趣のある看板や歴史を感じさせる暖簾を掲げ、伝統を引き継ぐ定番から現代に合わせた洗練のひと品まで、京の文化が集まっています。 店をのぞきゆったり通りを歩く寺町さんぽを楽しんでみませんか。

風格のある老舗が立ち並ぶ寺町通

京の町を南北に貫く寺町通の中でも、京都御所の南側の丸太町通から三条通までの間は、寺町通のエッセンスがぎゅっと凝縮されたエリア。職人の技と伝統を受け継ぐ京の老舗から、古書店や骨董屋、ギャラリーまで落ち着いた雰囲気のお店が集結します。 まるでエリア全体が京都の伝統や文化を学べる博物館のような寺町通。ぶらり訪ね歩けば、好きなジャンルはもちろん、これまで触れたことのない新たな分野との出会いがきっとあるはずです。

京都でいちばん古い洋菓子店「村上開新堂」

創業当時の面影が残る店内。床に貼られた緑と白の市松模様のタイルもすてき
1907(明治40)年創業の京都でもっとも歴史がある洋菓子専門店。一歩足を踏み入れれば、ふんわりと漂うバターの香りがお出迎えしてくれます。 ゆるりとカーブを描くレトロなショーケースに並ぶのは、自慢の上質な焼菓子たち。代名詞でもあるロシアケーキやダックワーズ、マドレーヌなどがちょこんと整列する姿に、どれにしようかとうっとり。いろいろと選んで、オリジナルの詰合わせにするのも楽しみのひとつです。

「ロシアケーキ」(205円)は全5種

村上開新堂
ムラカミカイシンドウ

歴代の文化人も愛した京菓子「二條若狹屋 寺町店」

疫病退散の妖怪・アマビエの生菓子(各432円、セットで1296円)。左から栗あん、生姜あん、梅あん
1917(大正6)年の創業以来、手づくりにこだわった和菓子づくりを続ける和菓子舗。四季の移り変わりや旬のモチーフをさりげなく盛り込んだ、はんなりした色合いの和菓子が人気です。 2階に併設されたカフェには、お店に伝わる美術品が展示されています。与謝野晶子や渋沢栄一が寄せた書を、甘味を楽しみながら鑑賞することができます。

愛らしい和菓子が並ぶ販売スペース。どの季節に訪れても新たな発見がある

二條若狭屋 寺町店
ニジョウワカサヤテラマチテン

木版と図案の世界に触れる「芸艸堂」

日本を代表する絵師たちの絵柄を使ったマスキングテープ(各550円)は、さまざまな用途でに使いたい
1891(明治24)年にはじまった、木版摺技法による美術書出版社。現在、江戸時代から続く版画印刷の伝統技法である手摺木版本の出版を続けるのは全国でもこちらだけ。 店内には額に入った木版作品が並ぶ一方、琳派作品などの絵柄や図案を元に仕立てた親しみやすい和雑貨がそろいます。中には、思わずくすっと笑顔になるような作品も。芸術の世界は少し難しそう……と思っている人も、芸艸堂に足を運べばきっと、木版の世界の魅力を知ることができますよ。

1階は木版作品と和雑貨の販売スペース。2階のギャラリーでは展覧会が行われることもある

芸艸堂
ウンソウドウ

茶人からも信頼を得る菓子がそろう「亀屋良永」

御池煎餅を贈答用にする方も多いそう。上からていねいに包装紙がかけられる
1832(天保3)年から6代続く和菓子店。代表銘菓の「御池煎餅」(丸缶22枚入・1458円)は、上質のもち米粉を使った生地を特製の蜜とともに焼き上げたシンプルなお菓子で、ふんわりやさしい風味で子どもから大人まで、広く愛されています。缶のラベルは、版画家の棟方志功によるシックなデザインです。 ほかにも、京の風景を表現し、奥ゆかしい名前が付けられた生菓子なども多く、茶人や文化人からも親しまれています。

半生菓子「あけぼの」の焼き印や、落雁「大原路」のモチーフは季節ごとに変わる

亀屋良永
カメヤヨシナガ

日常にぬくもりをプラスする香りと文具「鳩居堂」

ディズニーとのコラボ商品「〈ディズニー〉 KYUKYODOインセンス」(各1320円)は、それぞれのキャラクターをモチーフにしている
元は薬種商としてはじまった、357年続くお香と和文具の老舗「鳩居堂」。薬種と原料が共通することから、次第にお香の製造も行なうようになり、さらに原料仕入れ先である中国の文具も販売するようになったのがお店の原点だそう。 約1年半の工事を経て昨秋、リニューアルした店舗は、以前に増して明るい空間に。和の香りに包まれながらゆっくりと、手しごとのぬくもりを感じる文具を選んでみてはいかが。

多種多様な文具もカテゴリーごとに陳列されているので、欲しいものが見つけやすい

京都鳩居堂
キョウトキュウキョドウ
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