【プレゼントも♪】ムーミン作者の半生を描いた映画『トーベ/TOVE』。主演女優が語るトーベとフィンランドの魅力
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【プレゼントも♪】ムーミン作者の半生を描いた映画『トーベ/TOVE』。主演女優が語るトーベとフィンランドの魅力

フィンランド生まれの「ムーミン」という言葉を聞いて、多くの人が思い浮かべるのはほのぼのした世界ではないでしょうか? コロッとしたムーミンの愛らしいフォルムや、北欧に抱くほっこりとした印象から、つい「ムーミン」の作者であるトーベ・ヤンソンも、そんなのんびりとした暮らしの中でこの傑作を生みだしたのではないかと想像してしまいます。ですが、そこにはまったく違う物語があったのです。

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『ムーミン』の作者、フィンランド出身のトーベ・ヤンソンの物語

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(C)2020 Helsinki-filmi, all rights reserved(以下同)

映画『トーベ/TOVE』は1914年から2001年まで、ほぼ20世紀すべてを生きたトーベ・ヤンソンの長い人生の約10年に焦点を当てた作品です。第二次世界大戦終戦間近の1945年から始まり、アーティストとして成功を収めるまでの道のりを描いています。

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彫刻家の父親や批評たちからは評価されず、さまざまな葛藤に苛まれることもありましたが、彼女は大好きな絵を描き続けます。そしてもう一つ彼女の生きる原動力となったのが恋人たちの存在。そこには男性や女性といった、性別による差別はありませんでした。現在フィンランドは男女平等やLGBTQなど、性的少数者への理解は日本よりもずっと進んでいますが、トーベが生きた時代は、同性愛は犯罪行為とみなされ違法でした(1971年まで)。それでも彼女は自分の心のままに行動をし、自由に情熱的な恋をします。

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生きるヒントになる『ムーミン』のストーリーの奥深さはトーベの人生そのもの?

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本作ではそんな彼女の周りに存在する大切な人たちが、「ムーミン」の物語に反映されていることが分かります。例えば、ある日ムーミン谷にやってきたトフスランとビフスランという仲良し二人組。二人はお互いの間だけでしか通じない独特の言葉で話すのですが、実はこれは同性愛が違法だった時代に、トーベと当時の恋人だったヴィヴィカ・バンドラーが実際に手紙で使用していた暗号だったのです。

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ほかにもスナフキンやトゥーティッキ、ムーミンの家族など、『ムーミン』に登場するキャラクターたちのモデルとなった人たちが多数登場します。当時、実際にトーベのまわりにいた人々をスクリーンで観ることにより、『ムーミン』がどれだけのメッセージ性を持ち、多様性に満ちた物語だったのかを知ることになるのです。

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さまざまな制限があった時代に、世間の目を恐れることなく自由に生きたトーベ・ヤンソン。そして、彼女の生き方を批判することなく大らかな心で受け入れていた周囲の人たちの開かれた価値観は、私たちに生きる上でのヒント、または多くのインスピレーションを与えてくれるはずです。

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トーベ・ヤンソンを演じた〈アルマ・ポウスティ〉に映画についてお伺いしました

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――今作への出演はどのようにして決まったのでしょうか? 映画制作の話を聞いてまずビデオオーデイションを行いました。その後さまざまなリハーサルに呼ばれ、9カ月後にトーベ・ヤンソン役に決まりました。決まったときは本当に嬉しかったです。 ――女優だったあなたの祖母は、トーベ・ヤンソンと友人関係にあったそうですね。 祖父母ともに役者で、祖母は劇中にも登場している初のムーミン劇『ムーミントロールと彗星』(1949年)に出演し、その後の舞台でもムーミンママを演じたりしています。一方の祖父は、劇場第2作からトーベの舞台に参加しているので、祖父母夫婦ともにトーベとは長い付き合いだったんです。 ――おじい様とおばあ様はムーミンの舞台で知り合われたんですか? いいえ残念ながらそうではないんです。でもそれだったらちょっと出来すぎですよね(笑)。

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――トーベ本人と会ったことはあるのですか?

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(C)Marica Rosengard

私が5歳の頃までですが、何度もありますよ。祖父母だけでなく両親もトーベと仲が良く、年中我が家に夕食を食べに来ていたのでよく覚えています。私は毎日のように両親や祖父母から「ムーミン」を始めとするトーベの本の読み聞かせをしてもらっていたので、目の前にいる女性がその作者だということを理解していました。ですから、彼女が遊びに来るたびに大興奮でした。

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――世界的にも知られる国民的作家を演じるにあたり、リサーチされたことは?

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まず彼女の役を演じられるというのは、私にとっては考えられないくらい光栄なことだったので、トーベの魅力をできる限り伝えたいと思って臨みました。実は2017年にはヘルシンキのスウェーデン劇場でトーベ役を演じたことがあり、そのときに彼女についてかなりリサーチを行いました。ですが、今回はそれ以上に、さまざまな角度から彼女について研究を重ねました。リサーチを重ねれば重ねるほど、トーベのアーティストとしての功績、そして人間性の豊かさに驚かされるばかりでした。

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トーベについて書かれた膨大な量の本を読み、本では得ることのできない生の感触を確かめるために彼女の作品が展示されている美術館に通ったり、ドキュメンタリーを観たりもしました。さらにスケッチや油絵のレッスンを受けてトーベの筆のタッチを練習したり、今作のグラフィックを担当したデザイナーのサンドラ・ワルベックと、彼女がどこから絵を描き始めたかなど作風を研究したり。また、彼女の手書きの文字もできる限り習得するようにしました。ただ、どれだけ準備をしても準備が足りないような気がして、そわそわしました。 ――そしてついに彼女を演じる日が来たんですね。 ええ!ただ、役者としてのパラドックスは、これだけリサーチしたものを、一度葬らなくてはいけないということ。演じる際に「私はこれだけ勉強をしたから、こんな風に彼女の真似ができるのよ」とひけらかしては、ただの物真似で終わってしまう。自分の中に彼女の魂が存在することを信じて、一旦勉強したことすべてを忘れて、自分の演技をしなくてはいけないんです。

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――フィンランドでは生い立ちや性格など、彼女自身の物語も「ムーミン」同様有名な話なのでしょうか?

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フィンランドは日本よりも国土も狭く人口も少ない小さな国ですし、トーベは国のスターですから彼女のことを知らない人はいません。ただ、やはりそれは「ムーミン」とセットとであることが多く、彼女がどれほど素晴らしい画家であり芸術家であったかを知っている人はそこまで多くありませんでした。劇中でも語られますが、トーベは「ムーミン」の成功によって名声を手に入れる一方で、その成功により世間は彼女が最も力を入れていた油絵やその他のアーティストとしての才能を軽んじてしまうことになります。ですので、こうやって彼女の新たな面をフィンランドだけでなく、世界の人に観て知ってもらえることはとても喜ばしいことだと思っています。

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――トーベがあまりに自由で前向きなエネルギーを持った女性だったことに驚かされました。

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本当にありのままの自分を貫いた自由なスピリットの持ち主だったんですよね。同性愛が法的に禁じられていたときにも、そんなことお構いなしで自分の心に従っていた。自分が好きになった相手が自分に相応しい相手で、それが女性であろうと気にしなかった。彼女は「私にとって恋をした相手が女性だからといって何の支障もありません。人間性を好きになるわけですから」という言葉を残しているのですが、これは本当に美しい言葉であり、彼女の人間性をとてもよく表していると思うんです。

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――フィンランドのおすすめの観光スポットを教えてください

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ムーミン・ワールドがあるナーンタリ近くにあるトゥルク群島 画像提供:Visit Finland

エケナス群島国立公園(アルキペラゴ)は絶対に訪れて欲しい場所です。大小2万以上の島々からなる国立公園で、大きな島には森があったり岩の島があったり、とにかく自然の絶景が楽しめるんです。ヘルシンキからも近いのでおすすめですよ。

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――「ムーミン」をテーマにした旅をした場合、訪れるべき穴場的な場所は?

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ムーミンワールド 画像提供:Visit Finland Photographer:Katja Lösönen

有名な場所だったらナーンタリの「ムーミンワールド」ですよね。テーマパークになっていて可愛らしいのでせっかくだったら訪れるべきでしょう。

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クルーブ・ハル島 画像提供:Visit Finland Photographer:Juho Kuva

ムーミンパークは誰もが知っている有名スポットなので、先ほど話した海つながりでトーベ・ヤンソンが幼い頃から多くの夏を過ごしたペッリンゲ諸島(ヘルシンキ東部)のクルーブ・ハル島がいいのではないかと思います。彼女はここで多くのインスピレーションを得ていたそうですから。

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ヘルシンキ市内 画像提供:Visit Finland Photographer:Julia Kivelä

それからヘルシンキの市内にはトーベの父親ヴィクトル・ヤンソンの彫刻がたくさん飾られています。例えばカイサニエミ公園のコンボルブルスの像や、エスプラナーディ公園の噴水の人魚の像のモデルはトーベだと言われています。そのような作品や美術館などを巡りながら、トーベのルーツを追うのも個性的で楽しいのではないでしょうか。 ・・・・・・・・・・・・・・ トーベ・ヤンソンのムーミン作者以外の新しい一面を知れたり、ムーミンのルーツや隠された真実を知れたり、映画の舞台フィンランドに旅の思いを馳せたり、さまざまな見方ができる『トーベ/TOVE』を鑑賞しに映画館に足を運んでみてはいかがでしょうか。

【公開情報】

『トーベ/TOVE』
10/1(金)より、新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー

【出演者情報】

監督:ザイダ・バリルート
出演:アルマ・ポウスティ、クリスタ・コソネン ほか

映画の詳細はこちら

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【アンケート&プレゼント】抽選で5名様にオリジナルグッズをプレゼント

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アンケートにお答えいただいた方の中から抽選で5名様に「<SLURP/スラープ>×『TOVE/トーベ』オリジナルコーヒー」をプレゼントいたします。みなさまのご応募をお待ちしております♪ 賞品:<SLURP/スラープ>×『TOVE/トーベ』オリジナルコーヒー(マンリーコーヒー(100g)、ゴルピーコーヒー(100g)の合計 2 袋) 応募期間:~9/30(木)まで 賞品の発送:10月上旬 ※当選者の発表は、賞品の発送をもって代えさせていただきます。

応募はこちら

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