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2021.11.02
京都・大原で紅葉さんぽ♪ 人気の三千院と宝泉院で秋を満喫
秋のお楽しみといえば、紅葉さんぽ。京都で紅葉を満喫するなら、比叡山のふもとに広がるのどかな山里、大原はいかが。とくに苔に包まれた三千院と、「額縁庭園」で知られる宝泉院の紅葉は必見です。大原は古くから貴族の隠れ里であり、静かに時を紡いできた地。街の喧騒からのがれて澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込めば、秋の一日が満ち足りたものになりそう。いつもより早起きして大原さんぽへでかけませんか?
京都駅から「京都バス」で大原の里へ
日本の原風景が感じられる大原
JR京都駅と大原をむすぶ公共交通機関は「京都バス」。京都駅から大原バス停までは乗り換えなしで約70分。ほかに、地下鉄烏丸線で20分の国際会館駅まで行き、そこから京都バスに22分揺られるというルートも。休日は混雑することもあるので、早起きして大原へ向かうのがおすすめです。 比叡山をはじめとした山々に四方を囲まれた田園地帯のなか、大原のバス停に降り立つと、そこには街なかとは異なるゆったりとした時間が流れています。空気も澄みきっていて、思わず深呼吸。
三千院へと向かう参道でも紅葉がお待ちかね
三千院の門前通。苔むす石垣も美しい
三千院への参道は、ゆるやかな坂道。通り沿いにはおみやげや調味料を販売するお店などが軒を連ねていて、素朴な雰囲気が旅情をくすぐります。参道の隣に流れる小川は「呂川(りょせん)」。近くの「律川(りつせん)」とともに、大原に伝わる天台声明(しょうみょう=お経に旋律をつけて唱えること)が名の由来。「呂律がまわらない」という言葉の語源なのだそうです。 15分ほど歩き、十字路に来れば三千院はもうすぐそこです。石段を上がると、右手に石垣に囲まれた三千院の正門「御殿門」がそびえ、その向かいには門前茶屋が並んでいます。
三千院の門前を通り過ぎると朱塗りの橋がある。宝泉院へはこの橋を渡って
静かに心に響く、三千院の苔と紅葉の競演
江戸時代の茶人・金森宗和により修築されたと伝わる聚碧園
三千院は、天台宗の開祖・最澄が比叡山に建てた草庵がはじまり。代々皇族が住職を務めた格式高いお寺です。客殿の東側と南側に広がる庭園は「聚碧園(しゅうへきえん)」。四季折々の豊かな色彩が池を縁どる優美な庭園です。
苔のじゅうたんが広がる有清園
回廊を進み、御所の紫宸殿を模したという宸殿で手を合わせたら、振り向いてみて。そこはみずみずしい苔のじゅうたんが広がる「有清園(ゆうせいえん)」。杉木立のなか、もみじの葉がふわりと舞う様も風情があります。有清園に建つ「往生極楽院」には、国宝の阿弥陀三尊像が祀られています。仏像になじみのない人もその慈悲深いまなざしにホッと癒されることでしょう。
有清園にはやさしい表情のお地蔵さんも(作:杉村孝)
三千院
サンゼンイン
ふたつの眺めを楽しむ「額縁庭園」で名高い宝泉院へ
「盤桓園」とは「立ち去りがたい」という意味をもつ
三千院から宝泉院へは歩いて3分ほど。宝泉院は、天台声明の根本道場・勝林院の僧侶の住まいとして建てられたお寺で、窓枠を額縁に見立てて眺めるという趣向の庭園「盤桓園(ばんかんえん)」で知られています。 客殿からは盤桓園のふたつの眺めが楽しめます。正面は近江富士をモチーフにしたという樹齢700年の五葉松、もう一方は竹林と紅葉です。傍らには水琴窟も。竹筒にそっと耳を近づけてみると、澄んだ音が聞こえてきます。鶴亀庭園の手水鉢やお堂内に四季の可憐な花が飾られているのもすてきです。
可憐な花になごむ。真ん中の写真は客殿から望む鶴亀庭園
大原の見どころはほかにもたくさん
大原の秋の風景。鳥のさえずりや虫の声も聞こえてくる
三千院と宝泉院を拝観したあと、もっと紅葉観賞を楽しみたいなら、三千院からあと5分ほど坂を上がったところにある天台声明発祥の地「来迎院」へ。または、三千院から大原バス停を越え、田園風景を眺めながら25分ほど歩いた地に佇む平家物語ゆかりの「寂光院」もおすすめです。 大原には、地元産の食材を使ったランチが味わえるカフェや料理店もあるので、一日ゆったりと過ごしてみてはいかが。
宝泉院
ホウセンイン
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佐藤理菜子
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