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2023.10.13
10/7-1/8|初の大規模巡回展「鹿児島睦 まいにち」展 がPLAY! MUSEUMで開催中
2023年夏に兵庫・市立伊丹ミュージアムで開幕し、その後全国を巡回していく「鹿児島睦 まいにち」展。今回は、10月7日(土)より東京・立川にあるPLAY! MUSEUMでスタートした、展覧会の模様をレポートします。
動物や植物がモチーフとなった新作の器、約200点を展示
鹿児島睦(かごしままこと)さんは、九州・福岡を拠点に活動する陶芸家・アーティスト。本展では、陶芸作品を中心に、テキスタイルや版画など、鹿児島さんの幅広い創作活動を紹介。展示物には、新作の動植物をモチーフにした器200点や、国内外のブランドとコラボレーションしたプロダクツ約100点、アトリエでの日々の制作風景など、鹿児島さんの作品がさまざまな視点から楽しめる展覧会になっています。
1日の流れを感じる会場構成にも注目!
本展は、会場構成がとても工夫されていて、鹿児島さんの器は「あさごはん」「ひるごはん」「ばんごはん」と名付けられたエリアごとに展示されています。それそれぞれのエリアに合わせた器が大きなテーブルに配置され、1日の流れを感じることができます。
特に「あさごはん」のエリアでは、朝日が窓から射し込む様子がプロジェクターで映し出され、鹿児島さんの器が並べられた明るくあたたかな空間の中で、朝の食卓を囲む雰囲気が楽しめます。
形によっては台座があることで側面から鑑賞できることもうれしいですね。
「ひるごはん」のエリアでは、キラキラとした木漏れ日のような照明の下で作品が展示され、「広いテーブルを、みんなで囲んで食べるような楽しい空間」が表現されています。
鹿児島さんの内面が映像や緑の文字で表現され、作品と共にメッセージを楽しむことができます。会場を訪れた際は、時間をかけてひとつひとつじっくりと鑑賞してみてくださいね。
また、「ばんごはん」のエリアではライトアップされた大きな黒いテーブルに新作がずらり。さまざまな形状や色彩で描かれたプレートや鉢が展示されています。
鹿児島さんの作品は、10色ほどの顔料を使用し、線彫りや蝋抜きなどの技法を駆使して制作したもので、全部1人のアーティストが制作したものなのかと思うほど、その多様性に驚かされます。
器から誕生した書き下ろしの絵本「蛇の棲む水たまり」
展覧会には他にもユニークな展示が用意されていて、作家の梨木香歩さんが、鹿児島さんの器から30点を選び、物語を書き下ろした絵本「蛇の棲む水たまり」の展示もされています。絵本と器が組み合わさり、物語の中に入り込むような体験ができます。
器に描かれているのは馬や蛇、猫、トリケラトプスなど……ひとつひとつ姿や形、色がどれも違うのですが、器に添えられた言葉が不思議と心に届きます。 器は道具でもあるので、制作するときは主義主張やメッセージ、ストーリーを排除するようにしているという鹿児島さん。成立するものなのかと疑問を持ちつつお互い1度も会わずに進行した中で、梨木さんが書いたテキストを読んで「文章の力を感じ、お皿なんかいらないな。」と感じたそう。どんなお話になったのかは会場で。 こちらの作品は、絵本として展覧会のオリジナルグッズコーナーでも販売されているので、気になった方はそちらもチェックしてみてくださいね。
コラボレーション作品を含む約100点のプロダクツや制作の背景も
右上:ドーサの「ワンピース 2015年」、右上:誕生60周年ミッフィー展「ワンピースを着たミッフィー 2015年」、左下:ケラミックステュディオン社「En Liten Van 2018年」、グスタフスベリ社「april coffeeC&S 2014年」
鹿児島さんの作品は国内外のファッション、インテリア、フードなどさまざまなジャンルでのコラボレーションも多数。今回は約100点のコラボレーション作品も展示されています。ドーサのワンピースやミッフィー展で鹿児島さんの作品を身にまとった「ワンピースを着たミッフィー」など、多彩なコラボレーション作品が一堂に紹介されています。
展覧会の最後では鹿児島さんの「まいにち」を紹介するコーナーも設けられており、作品制作の背後にある日常の一端を垣間見ることができます。
「まいにち」を豊かにするオリジナルグッズやカフェメニュー
展覧会を楽しんだ後は、ミュージアムショップとカフェでさらに鹿児島さんの世界を堪能できます。
グッズ売り場では、アパレル、ステーショナリー、雑貨、フードなど「まいにち」を豊かにするオリジナルグッズが勢ぞろい。
PLAY! CAFEでは、ラテアートなどのドリンクや限定フードメニューも提供しています。一部メニューには書き下ろしの絵柄を使ったランチョンマットも用意されていますよ。 展覧会を通して、みなさんがすでに知っている多才な鹿児島さんのイメージと、知ることがなかった鹿児島さんの「まいにち」を垣間見ることのできる貴重な機会となっています。作品数が多いので会期中、何度も訪れてみたくなります。気になった方は、ぜひ足を運んでみてくださいね。
「鹿児島睦 まいにち」展
カゴシママコトマイニチテン
東京都 立川市緑町 3-1 GREEN SPRINGS W3棟 2階 PLAY! MUSEUM
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モリサワ ジュンコ
Writer
物撮り写真家 モリサワ ジュンコ
魅力あふれるモノゴトをインスピレーションとともにお伝えします。デザインやアート、建築が好き
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