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2016.06.11
四角友里さんと初めての山歩きー都心から1時間で行ける新緑の三浦半島ハイク
※こちらの記事は2016年6月11日に公開されたものです 山歩きに気持ちいい季節。アウトドアスタイル・クリエイターで山好きの女性の憧れの存在である四角友里さんと一緒に、編集部メンバーが実際に山歩きデビュー。前編、後編の2回に渡り、初心者でも楽しめる四角さん流スローな山歩きをレポートします。

どこへ登るかは、目的から決めよう

「山登りをしよう」と思った時に、まず初めに悩んだのはどこへ登ろうかということ。首都圏から日帰りできる初心者向きの山を調べてみると、高尾山や箱根の金時山、房総半島の鋸山、奥多摩の御岳山、秩父の宝登山などなど次から次へと出てきます。 その中からどのように選べばいいのかを四角さんに聞いてみると…。 「私が初心者の友人を山に連れていくときには、どんな楽しみ方をしたいのかをまず聞くようにしています。例えば、山頂からの絶景を楽しみたい、きれいなお花畑を見たい、下山後に温泉に入りたいなどなど、楽しみたいことは人それぞれ。自然の中で過ごしているときの姿を具体的にイメージしてもらうと、その人に合った山選びが見えてくるんです。さらに、相手の経験値や体力に応じて絞り込んでいきますね」(四角さん) そこで今回の第一の目的としてあげたのは、登山前後に美味しいものを食べたいということ。さらに、朝早起きしなくてもいいスケジュールを組める山ということで四角さんと相談。 「都心から1時間ほどで行ける三浦半島の、葉山町と横須賀市にまたがる大楠山は標高240メートルほどの人気のハイキングコースです。ガイドブックに記載されているコースタイムは約3時間なので、ゆっくり歩けば4〜5時間。ある程度アップダウンもあって、山歩きの醍醐味が味わえます。とはいえ、初心者でもそれほどきつくないのでおすすめですよ」(同)

登山用のガイドブックや地図などを見れば、コースタイムや標高差などもわかるので参考に
行き先を決めたら、登山口までのアクセス、登山にかかる時間などを地図やガイドブックでチェックし、1日のスケジュールを決めておきます。 「スケジュールを決める際、地図やガイドブックに載っているコースタイム(歩くのにかかる時間)は、山歩きに慣れた人のためのもの。また休憩時間は含まれていません。私は体力に自信がなく、歩くのも遅いので、その1.5倍〜2倍くらいかかると考えて計画を立てています」(同) ◎大楠山登山のスケジュール 11:00 逗子駅集合、バスで登山口へ 11:30 登山口近くのパン屋さんでランチ購入 11:45 大楠山登山口着、登山開始 13:00 山頂到着、お昼休憩 14:00 下山開始 16:30 カフェ&レストラン「マーロウ」秋谷本店にてプリンを食べる 今回はランチを購入するパン屋さんのオープン時間に合わせて、スタート時間を決めましたが、スケジュールを組む際には、下山してから駅までの距離や移動手段、日暮れの時間を考慮し、明るいうちに下山することが大切だそうです。

少し心配だった天気も、当日になったら晴れた!

山道はスマートフォンの地図に出てこないことも。地図やガイドブックが頼りです
大楠山は標高241メートル。三浦半島の最高峰です。集合はJR逗子駅。ここからバスに乗り、大楠山登山口へ向かいます。 「登山口までバスに乗るケースも多いですが、場所によっては本数が少ない場合もあるので、事前に調べておきましょう。1時間に1本しかバスがない!なんてこともありますからね」(同) この日、天気予報では曇りでしたが、バスに揺られている間に、晴れ間も見えてきました。メンバー全員、胸が高鳴ります。 バスを降り、前もって見つけておいた近くのパン屋さんでまずはランチを購入。

週1日だけオープンのパン屋さんでランチを購入

登山中に美味しいものを食べるのも、山歩きの楽しみのひとつという四角さん。今回の山歩きでも寄り道グルメスポットを一緒にリサーチ。 登山口近くに週1日だけオープンしている自家製酵母のパン屋さん「Tette.」でお昼を買ってから登ることにしました。住宅街の中にひっそりとオープンしている小さなパン屋さんですが、パンの種類も多く、ランチを食べることもできるという充実ぶり。

おしゃべりしながらも息切れしないペースがちょうどいい

パンを買ったらいざ登山開始。しばらく舗装された道を歩き、山道に入るところで準備体操。頻繁に山に登っている四角さんでも「しばらく登らないと筋肉痛になるんですよ」と、念入りに体をほぐします。普段まったく運動をしていない私は、さらに念入りに…。
標高241メートルと聞いて、山というよりは「丘」くらいなんじゃないか…と思われる方もいると思いますが、森の中の道はアップダウンもあり意外とハード。途中に沢が流れていて、その上に渡された小さな橋を渡ったり、長い階段が続いたり。ぬかるみで歩きにくい斜面も多くありますが、それもまた、山歩きならではの醍醐味。

大きな葉っぱを見つけて、自分の顔の大きさと比べてみたり
そんな登山道をゆっくりと歩き始めた四角さん。でも、気になるものがあるとすぐに立ち止まって眺めたり、写真を撮ったり。とてもスローペースです。私もつられて一緒に写真をとったり、あたりの緑を見渡したり。木の葉の間から差し込む太陽の光に新緑の淡い緑の葉がキラキラと輝いてみえました。ただの葉っぱがこんなにきれいに見えるなんて! 初めての発見です。

ツツジの蜜を吸う大きなちょうちょを四角さんが発見。なんとか写真に収めようと、みんなで必死にカメラを構えることも
四角さんいわく「笑顔でおしゃべりできることが歩くペースの目安。息切れしないペースで歩くと、最後までバテないんですよ」とのこと。ゆっくり歩くことには、自然を楽しむ以外にも、そんな理由があるのですね。 これまでに登った山のこと、仕事のことなど、歩きながらおしゃべりすると、なぜか話が弾む気がします。他愛もないおしゃべりをしながらゆっくりゆっくり歩いていきました。 このペースなので、ちょっと急な登りがあってもそれはそれで楽しく感じます。時に転びそうになったりしながらも、初心者の私も無理なく歩くことができました。

いつものおやつも、山の中で食べると美味しい!

山では、ゆっくり歩いていてもじわじわと汗をかきます。そのため水分補給はこまめに行うことが大事だそう。また、おやつを少しずつ食べることでエネルギーが補給され、バテにくいのだそうです。 私がおやつとして持って行ったのは、普段食べているおせんべいやクッキー、飴など。でも、こんな気持ちいい自然の中で食べると、いつもより美味しい気が。 こんな感じで、休んだり写真を撮ったりしながら、ゆるゆると歩いているうちに、あっという間に山頂に到着。

絶景を見ながら、絶品のパンをほおばる幸せ♪

しっとりしていて食べやすいTette.のパン。手前から時計回りにシソゴマチーズベーグル(300円)、エスプレッソ(300円)、フォカッチャ(300円)、白パン(100円)
大楠山の山頂は広場になっており、ベンチが置いてあったり、展望台が設置されていたりして、くつろぐことができます。ここで、待ちに待ったランチタイム。青空の下、真っ青な相模湾を見ながらのランチは格別でした。

山頂には売店やトイレもあり安心。山頂近くの大楠平にもトイレがある
山頂の展望台の上からは、相模湾や都心の高層ビル群など360℃のパノラマの景色を見渡せます。「あの遠くに見える島、どこですかねー」「伊豆大島かなあ」「向こうに見えるのは箱根の山かな?」「あっ!、スカイツリーだ!!」など、想像していた以上に遠くまで見渡せ、気持ちいい景色を楽しみました。 後編では、下山の様子や下山後のお楽しみなどをレポートします。
後編はこちら
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相馬由子
取材協力/四角友里さん

執筆、トークイベント、ウェアのプロデュースを通し、女性のためのアウトドア普及活動を行っている。山スカートの第一人者。現在『山歩みち』『日本シェアリングネイチャー協会』などでの連載、『ランドネ』をはじめとする登山・アウトドア雑誌への寄稿も多数。著書に『デイリーアウトドア』(メディアファクトリー)、『一歩ずつの山歩き入門』(枻出版社)がある。
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