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2025.04.22
京都・島原のレトロな隠れ家カフェ「Cafe AUSGANG」で、自家製ベーグル&香り高いコーヒーを
花街の風情を残す築約250年のレトロ建築「きんせ旅館」の1階に、2024年の秋にオープンした「Cafe AUSGANG(カフェ アウスガング)。店主が毎朝キッチンで焼く自家製ベーグルと、西陣・IWASHI COFFEEのコーヒーが楽しめます。近隣に宿が多いこともあって、カフェの扉が開くのは朝7時からお昼過ぎまで。ステンドグラスや調度品などどこを切り取っても絵になるノスタルジックな空間で、いつもよりゆるやかに流れる時間を感じながらモーニングやランチはいかが。

花街の面影を伝える揚屋建築

アクセスはJR嵯峨野線・梅小路京都西駅から北へ歩いて8分ほど
京都には、祇園甲部、祇園東、上七軒、先斗町、宮川町の5つの花街が現存し、伝統文化を守り伝えていますが、かつては日本最古の花街・島原(西新屋敷)も存在していました。 「Cafe AUSGANG」は、新選組や幕末の志士たちも通った島原の一角、江戸末期に建てられた揚屋(お客をもてなす饗宴の場)建築を継承する「きんせ旅館」の1階にあります。

玄関の引き戸を開けたとたん、大正時代にタイムスリップしたような気分に。正面左の扉がカフェの入り口

随所に見られるステンドグラスに注目

大正から昭和の時代に京都で作られた泰山タイルが足元に

大正浪漫が香るクラシカルな空間

ステンドグラスを通す光が床にこぼれ落ち、一期一会の光彩を描く
元揚屋の建物を買い取った現オーナーのひいおばあ様が、旅館を始めたのは大正時代のこと。その頃に1階部分を改装し、今に残る洋間が作られたのだそうです。後を継いだおばあ様の時代は住居として活用されましたが、現オーナーの代になり、一日一組の宿として再び歩みだしました。 ステンドグラス、寄木造の床、時を経て飴色となった格天井や木のテーブル、デザインの異なる椅子などどれをとっても絵になる美しさに魅了されます。

カウンターのあるこちらの間とあわせて2部屋がカフェ

花、蝶、ツバメなど、ステンドグラスの多彩なデザインに目を凝らしてみて

猫アイテムは、オーナーのおばあ様のコレクションに、お客さんからの贈りものも加わって増えていったそう

とっておきの場を“間借り”でカフェに

「ベーコンポテサラとスライスチーズのサンド」900円、「キャロットラペ」200円、コーヒー600円
「Cafe AUSGANG」の店主・志賀大樹さんは、音楽、とくにシンセサイザーが趣味でオーナーと意気投合。時々夜のバー営業を手伝っていた縁もあって、カフェ営業を始めることに。 毎朝焼くベーグルは、北海道産小麦にライ麦をブレンドすることで風味を高めつつも、どんな具材とも調和するプレーンタイプ。「ベーコンと九条ネギクリームのサンド」「ひよこ豆のペーストとキノコの紫蘇マリネのサンド」など10種ほどのベーグルサンドを提供しています。この日オーダーしたのは、ホクホクとしたメークインのポテトサラダに、厚切りベーコン、ピンクペッパーやケイパーを効かせた「ベーコンポテサラとスライスチーズのサンド」。シャキシャキ感を大切にして作ったという「キャロットラペ」も添えてもらいました。

「あんバターサンド」700円
あんこ好きなら誰もが知る京都・北野の中村製餡所製の粒あんを使用した「あんバターサンド」は、コーヒーとの相性も抜群です。どのベーグルサンドも提供する直前にトーストするため、ベーグル特有のむっちりとした食感ではなく、表面はパリッとしていて、中はふわっ。噛み締めるたびに豊かな風味が広がり、後を引くおいしさ。宿の多い場所柄、半分以上が海外からのゲストということもあって、卵や乳製品、はちみつを使用せず、ビーガンにも対応しているそうです。

志賀さんがひとりでカフェをきりもりしているため、時間にはゆとりを持って訪れたい
「AUSGANG」とは、ドイツ語で“出口”のこと。「数年暮らしたドイツで初めて目にしたドイツ語が、空港の案内表示で目に留まったこの言葉で、印象に残って。意味ありげでしょ」と笑って話してくれましたが、これから描く未来への思いとも重なるようです。 絶品ベーグルとコーヒーで朝の時間をゆるやかに過ごしたあとは、扉を開けて京の街へ。東に100mほどのところには島原の出入り口である島原大門、西側には、きんせ旅館とともに島原の歴史を物語る元揚屋の「角屋もてなしの美術館」も。ここからはじまる京都旅は、きっと印象深いものになることでしょう。

Cafe AUSGANG
カフェアウスガング
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文:佐藤理菜子 写真:マツダナオキ
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