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2025.05.07
かわいいご利益アイテムを求めて、異国情緒が香る宇治の禅寺「萬福寺」へ
昨年の大河ドラマを機に、人気継続中の『源氏物語』の舞台、宇治。観光中心部から少し離れた場所にたたずむ黄檗山「萬福寺」は、2024年12月、天王殿・大雄寶殿・法堂の3つの建物が同時に国宝に指定されて注目を集めました。桜、青もみじ、蓮、紅葉など四季折々の色彩に染まる境内には、どことなくエキゾチックな空気が漂います。話題の国宝建築や仏像の鑑賞と開運祈願にでかけませんか。

お寺の初代は、インゲン豆を日本にもたらした隠元さん

総門(国の重要文化財)をくぐって境内へ
JR奈良線または京阪宇治線の黄檗駅から歩いて5分ほど。宇治観光の中心部からは北へ約2.5kmの閑静な一帯に、黄檗宗の大本山「萬福寺」の境内が広がります。 お寺のはじまりは、今から360余年前。インゲン豆や、スイカ、レンコン、タケノコ(孟宗竹)、煎茶などを日本にもたらした中国の僧・隠元隆琦(いんげんりゅうき)禅師により開かれました。

三門に掛かる「萬福寺」と「黄檗山」の額は、隠元禅師の書によるもの

境内ではお勤めの僧の姿を見られることも

4つの大伽藍が一直線に

布袋尊は、弥勒菩薩の化身ともいわれる尊い仏さまで、縁結びや金運のご利益を授けてくれるそう
三門、天王殿、大雄寶殿(だいおうほうでん)、法堂の4つの建物が一直線に並ぶ、禅寺の特徴的な伽藍配置。まずは三門をくぐった先の国宝3棟のうちの1棟、天王殿でお参りを。 四天王に見守られつつ、光り輝きながら中央にどっしりと座っておられるのは、七福神のひとり、布袋尊。その後ろに立つのは、守護神の韋駄天(いだてん)さん。お釈迦様のために夜な夜な走り回って食材を集めて朝食を用意したことが、「馳せ走る(=馳走)」の語源となり、「ご馳走さま」という言葉につながったのだとか。

他のお寺では、食の守り神として食堂(じきどう)に祀られることが多いという韋駄天像

本尊を祀る大雄寶殿へ

大雄寶殿。日と月をあらわす左右の円窓にも注目
天王殿の奥、本堂にあたるのが、境内で最大のスケールを誇る大雄寶殿(国宝)。世界三大銘木のひとつとされるチーク材を使った日本唯一の歴史的建造物です。 中央に本尊の釈迦如来坐像、左右に脇侍、周囲に十八羅漢像を安置。日本の仏様とは雰囲気の異なるお顔立ちも見どころです。

中央が本尊の釈迦如来坐像。京大仏師の作で、像高2.5m

お釈迦様の16人の弟子「十六羅漢」に2人加わって、「十八羅漢」に。一体一体個性的なお顔を眺めてみて

大雄寶殿の奥に建つ法堂(国宝)。仏法を学ぶ場で、内部は通常非公開

木製の巨大魚は萬福寺のシンボル

開梆がくわえている丸い玉は、煩悩の象徴。たたくことで煩悩を払う意味をもつ
大雄寶殿と回廊でつながる斎堂の軒下には、木製の巨大な魚が。こちらは開梆(かいぱん)といって打ち鳴らして時を知らせるためのもの。木魚の原形といわれています。 開梆のすぐそばには、青銅製の雲版(うんぱん)も見られます。

雲版は、朝と昼の食事と朝課の時に打つそう

回廊からは四季折々の色彩も楽しめる
斎堂から回廊づたいに、隠元禅師をお祀りする開山堂へも足を延ばしてみて。境内の建物はすべて屋根の付いた回廊で結ばれていて、天気に左右されずお勤めや法式を執り行えるようになっています。傘を使わず境内をめぐれるため、雨の日にお参りするのもおすすめです。

隠元禅師を祀る開山堂。朱塗りが華やか

卍の勾欄(こうらん)や、香炉、龍の背のうろこを表したひし形の敷石、魔除けを意味する桃など、異国風のデザインがおもしろい

お気に入りのご利益アイテムを探しに

開梆をモチーフにしたご朱印帳各1800円は、白、赤、黄のほか黒色も。朱印料500円
お参り後は、斎堂の隣にある売店へも立ち寄って。開梆や布袋さんをモチーフにしたお守りやご朱印、萬福寺限定「禅語おみくじ」など多彩なご利益アイテムが授かれます。

「開運 ほていみくじ」500円、「だるまおみくじ」500円

本堂にて祈祷済みの「かいぱん守」1200円

天王殿前の「布袋尊祈願袋」各500円。赤は恋愛成就、白は金運向上などご利益別に5色がそろう
SNSではユーモアたっぷりの自虐的なつぶやきで親しまれていますが、ひとたび境内に身を置くと、背筋がしゃんと伸びるような凛とした空気が満ちています。魅力あふれる禅寺へ、お参りにでかけてみませんか。

萬福寺
マンプクジ
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文:佐藤理菜子 写真:マツダナオキ
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