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2015.02.09
小箱に詰め込んだ「長﨑堂」の砂糖菓子は、大阪で愛され続ける思い出の味
※こちらの記事は2015年2月9日に公開されたものです。 創業90年以上になる「長﨑堂」は、カステラが名物の老舗。大阪の百貨店のほか全国にショップを展開していますが、心斎橋本店など店舗限定でカフェスペースがあり、直営店限定のお菓子も販売しています。「長﨑堂」の原点が残る心斎橋本店を訪ねると、そこには文学好きの女子におすすめしたい、歴史ある名店が守り続ける特別なお菓子がありました。
厳しい時代を乗り越え、お菓子作りを続けてきた老舗です

カステラだけでも数種類あり、カステラのラスクや創作菓子も並んでいます
心斎橋駅から徒歩5分。心斎橋筋のちょうど中心を横切る周防町の通り沿いにある、「長﨑堂 心斎橋本店」。戦後より心斎橋に店舗を構え、街の移り変わりを見てきた老舗です。2013年に建物をリニューアルし、和モダンな外観が特徴的な建物に生まれ変わりました。 店内に入ると、シンプルモダンな空間に歴史を物語る柱時計やゼンマイ仕掛けの巨大なオルゴールが飾られ、独特の雰囲気があります。カフェスペースもあり、オルゴールの音色を聞きながらゆったりと過ごすこともできます。

ヨーロッパのアンティーク家具が並ぶカフェスペース
少女を描いた箱の中に3色の小さな砂糖菓子を詰め込んで

「クリスタルボンボン」の箱を開けると、小さな詩が添えられていました
「長﨑堂」はカステラで有名なお店ですが、実は隠れた名品があるのをご存じでしょうか?心斎橋本店など店舗限定で販売し、25年以上も変わらない味とデザインで愛され続けている小さな砂糖菓子です。「クリスタルボンボン」(1080円)と名付けられたそのお菓子は、ジュエリーボックスのような箱の中に敷き詰められ、まさに宝石のよう。口の中に入れると薄い砂糖のコーティングがはじけ、中からリキュールの上品な香りが広がります。 かつて「長﨑堂」では、画家や作家との交流を深め、カステラの包み紙に武者小路実篤の絵を採用するなど、箱や包装のデザインにもとてもこだわっていたそうです。「クリスタルボンボン」もそんなこだわりが生み出した一品でした。その思いは受け継がれ、現在も「長﨑堂」ではパッケージへの美しさ、デザイン性に力を入れているそうです。 職人が手作業で作っているので販売数量がどうしても限定されてしまい、売り切れになることもあります。必ず買いたいときは電話での予約がおすすめです。
都会の喧騒を忘れて、ノスタルジックな時間をどうぞ

昔の製法を再現した、復刻カステラは上品な甘さともっちりとした食感が楽しめます
そんな歴史を感じるお菓子をコーヒーと一緒に店内で楽しんでみてはいかがですか。「クリスタルボンボン」や寒天菓子「虹のかけら」など、このお店限定のお菓子が少しずついろいろ楽しめるセットもあるのでおすすめです。もちろん、「長﨑堂」名物のカステラを味わうこともできます。

カステラと「長﨑堂」の歴史は、戦前から現代までの日本文化史でもあります

かつては保存食として用いられていた缶入りのカステラ
昔懐かしいカステラから現代のトレンドを意識した商品まで、さまざまなお菓子を販売し進化を続けている「長﨑堂」。シンプルだけれど手間のかかったお菓子には、たくさんの歴史が詰まっていました。

長﨑堂 心斎橋本店
ナガサキドウ シンサイバシホンテン
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田口真由美
Writer
田口真由美

好物は古いものと発酵したもの。名古屋を拠点に町や人、美味しいものを訪ねる日々を過ごしています。
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