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2016.10.11
町全体がアートのよう!日本で最初の磁器のふる里・有田をめぐる旅
約400年前、日本で最初に磁器が焼かれた佐賀県・有田町の内山地区。こちらは有田焼の里として古い町並みを今でもとどめています。今回は日本の磁器のルーツ・内山地区を歩いてうつわ探しはもちろん、白磁に絵付が映える美しい有田焼の魅力にふれる旅を紹介します。
古い町並みが残る、有田町内山地区を歩いてみましょう

窯元や商家など、江戸・明治・大正・昭和の特徴的な建物が混在する内山地区
JR有田駅から車で約10分で伝統的建造物が連なる、有田町・内山地区へ。約400年前、朝鮮出身の陶工・李参平が泉山で磁石を発見したことから、日本ではじめて磁器づくりが始まったとされています。焼き物で栄えたこの地区には江戸、明治、大正、昭和と異なる時代の古い建物が連なり、その多くが現在も使われています。

江戸期から窯業が盛んな有田を代表する風景・トンバイ塀のある裏通り
裏通りを歩けば「トンバイ塀」と呼ばれる塀が連なっています。トンバイ塀とは、登り窯を築くために用いた耐火レンガの廃材(トンバイ)を、赤土で塗り固めて作ったもの。町のシンボル・樹齢1000年を誇る大公孫樹(おおいちょう)から有田陶磁美術館までの静かな裏通りに多く見られます。家の軒先に陶片(べんじゃら)を散りばめた小さなアートが見られるのも、有田らしい景色です。

裏通りにある民家の軒先は、散りばめられた陶片で飾られている
有田内山の町並み
アリタウチヤマノマチナミ
築約100年の重厚な建物に若手作家のうつわが並ぶ「手塚商店」

坪庭が眺められる伝統的な商家の中に、若手作家のうつわがセレクトされている
様々なうつわのギャラリーが立ち並ぶ有田町の市街地。その中でも特に目を引く「手塚商店」では、大正初期に建てられた重厚な商家に作家作品を展示・販売しています。古い建物の中に、新しい感覚を持つうつわが並ぶすてきなギャラリーでは、レトロなガラス越しに庭の緑を眺めながら、ゆっくりうつわが選べますよ。

ユーモラスな絵付が楽しい、たなかふみえさん作の「豆皿」
こちらのお店で扱うのは、5名の作家の作品。1人の作家あたりの展示数が多く、作風がよく見てとれることが特徴的です。 ユーモラスな動植物の絵付が独創的なたなかふみえさん作の豆皿が並んでいます。華やかな絵付はすべて手描きで、昔から使われている模様をモチーフにした、縁起のいい“吉祥紋”が描かれれています。小さな皿のその一つ一つが、まるで物語の一部のよう。年を重ねた重厚な建物の中で眺めるのが、またとてもいいのです。時がゆっくり進むように感じられる特別な空間で、うつわ探しが楽しめます。

通りの中でも一際目を引く重厚な建物
手塚商店
テツカショウテン
九州の陶磁器専門の美術館「佐賀県立九州陶磁文化館」で焼き物について学びましょう

肥前地区の陶磁器を中心に、九州各地の陶磁器の名品を収蔵展示する
JR有田駅から南へ徒歩12分の場所にある「佐賀県立九州陶磁文化館」には、佐賀と長崎にまたがる肥前地区の陶磁器をはじめ、九州各地の陶磁器や現代作家の作品を収集・展示。 なかでも約300年前に有田で作られ、ヨーロッパに輸出された豪華絢爛な有田焼が集まる「蒲原コレクション」と江戸時代から幕末までの有田焼の変遷がわかる「柴田夫妻コレクション」は展示数も多く、多種多様な有田焼を見ることができます。 焼き物に関する基礎的な知識が得られる九州陶磁の歴史(第4展示室)もおすすめ。

江戸期の古伊万里を使った「ケーキとコーヒーのセット」(750円)
併設の「カフェテラス彩」では、江戸時代に焼かれた古伊万里を使ってコーヒーが飲めるとあり、人気を集めています。 古いものでは約350年前に作られた貴重な皿なども使われているそう。 ケーキは有田の人気パティスリー「杏慕樹(あんぼじゅーる)」のもの。 展示を一通り見たら、こちらでひと休みするのもいいですね。

館内のドアの取っ手も美しい絵付が施された有田焼で飾られている
こちらの施設はなんと入場無料!(特別企画展は有料の場合あり) ぜひ気軽に訪れてみてくださいね。

佐賀県立九州陶磁文化館
サガケンリツキュウシュウトウジブンカカン
有田焼のうつわでランチを楽しめる「日本料理 保名」

純和風の落ち着いた雰囲気の店内
有田のランチで訪れたいのが、有田焼のうつわでいただけるお店。 JR有田駅から西へ徒歩10分ほどの場所にある日本料理 保名では、普段見られないような有田焼のうつわで、美しい日本料理が味わえます。 朝鮮の王朝「李朝」をテーマにした店内は、骨董品のコレクションが並び、少し背筋がのびるような洗練された雰囲気です。

豆乳にくずをまぜて作る有田名物のごどうふや刺身、吸い物、ごはんなどが付く「陶箱弁当」(2500円)
ランチメニューの「陶箱弁当」は、その大きな有田焼の陶箱に驚きます。 開けると、見た目も華やかな日本料理がお目見え。なかには、豆乳にくずをまぜて作る有田名物の「ごどうふ」をはじめ、その日によって内容が変わる季節の料理が入っています。 陶箱には、「寿」と手書きの文字が描かれた縁起のいいメニューです。 座敷や茶室など、和の情緒を感じる佇まいの店内でじっくり味わいましょう。

日本料理 保名
ニホンリョウリヤスナ
ひと息つくなら森の中の隠れ家カフェ「木もれ陽」で

店内からは竜門峡を目前に臨む
ひと通り散策したら、市街地から少し離れたエリアにひっそりとたたずむ隠れ家的なカフェでひと休みしませんか。 「木もれ陽」は、有田駅から車で15分ほどの場所にあり、深い緑に包まれた竜門峡に面したお店。 名水百選にも選ばれている湧水を使ったコーヒーを、有田焼のうつわでいただけます。

ラテアートが美しいカフェラテ
コーヒーは、店内に飾られる有田焼のうつわの中から、自分好みのカップを選べます。おすすめはラテアートが美しいカフェラテ。ラテアートの九州大会で優勝したことのあるマスターが淹れてくれます。木々の緑が美しい渓谷美を眺めながら、至福の一杯を楽しめますよ。
龍泉荘 奥の院 木もれ陽
リュウセンソウオクノインコモレビ
いかがでしたか?普段の生活の中にうつわの文化が根付く有田は、散策するだけでも楽しい街。町のそこかしこに有田焼が溶け込む町並みを、アートめぐり感覚で散策するのもおすすめですよ。
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白桃澄江、上川奈穂美
ことりっぷ 有田・唐津 伊万里・武雄・嬉野 発売中

10月7日(金)に「ことりっぷ 有田・唐津 伊万里・武雄・嬉野」が発売されました。 歴史を感じさせる素朴なうつわから、若手作家が作るポップなデザインのうつわまで、様々な窯元が点在する佐賀県はずっと昔から焼き物の里。お気に入りのうつわを探しに、昔ながらの町並みの中を、タイムスリップしたような感覚で巡ってみませんか? 今回ご紹介した有田のもっと詳しい情報はこちら
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