ユーモア溢れる温かいデザインが魅力♪ 染布ユニットkata kataさんのほっこり手ぬぐい&器
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ユーモア溢れる温かいデザインが魅力♪ 染布ユニットkata kataさんのほっこり手ぬぐい&器

松永武さんと高井知絵さんのご夫婦による染布ユニットkata kata(カタカタ)。型染めや注染といった伝統的な染色技法で布を染め、オリジナルの手ぬぐいや風呂敷を作っています。 身近な生き物や風景をモチーフに、ユニークで温かみのある染布を生み出すおふたり。 東京都調布市にあるアトリエにお邪魔して、製作の様子を覗かせていただきました。

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団地の中の商店街にあるアトリエショップ

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アトリエがあるのは、団地の中の商店街。地域密着型で落ち着いた雰囲気ですね。

松永さん:つつじヶ丘の団地には、もともとイベントなどで親交の深い手紙社さんが入っていて、同じ棟に空き店舗が出たのをきっかけに2年前に入居しました。昔ながらの商店街なので人通りも多くなく、のんびりとした環境が自分たちにとってちょうどいいですね。 高井さん:普段はアトリエですが、金〜日曜はショップとしてオープンしています。型染めは大量生産できないので、販売はこちらのお店、または個展やイベントの時のみ。自分たちの手で作ったものを自分たちで売るという、シンプルな形で商売をしています。

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美大の学祭をきっかけに染物ユニットを結成

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紙を切り抜いた原画と完成品の風呂敷

kata kata結成のきっかけを教えてください

松永さん:ふたりとも東京造形大学のテキスタイルデザイン専攻で染色を勉強していました。大学の学祭でオリジナルの手ぬぐいを作って販売したのがユニットの始まりです。その時に、型染めにちなんで「kata kata」という名前をつけて、以来ふたりで活動を続けています。 高井さん:学祭で販売した手ぬぐいが全て売り切れるという想像以上の反響だったんですよ。そのことが「型染めで暮らしていくためにはどうすればいいのか」を真剣に考え始めるきっかけになった気がします。

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大学時代にkata kataとして初めて製作した第一作目の手ぬぐい(上・高井さん作/下・松永さん作)

高井さん:そもそも私の実家が浜松で染物工房を営んでいて、小さい頃からものづくりの環境がありました。でも染物を本格的に学んだのは大学に入ってから。入学当初は服作りに興味があったのですが、あっという間に染物に夢中になり、気づけば両親と同じ道へ進んでいました。 松永さん:大学卒業後は浜松の工房をお借りしながら、ひたすら作品を作りました。ギャラリーで展示をしたりイベントに出店して、少しずつkata kataのことを知ってもらい、早いもので今年で12年目になります。

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ラフスケッチを繰り返し、型染めに最適なカタチを見つける

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動物や植物をよくモチーフにしていますが、作品作りのインスピレーションはどこから?

松永さん:図案を考える時には、古い図鑑を参考にすることが多いですね。これは自分が子どもの頃に実際に愛読していた図鑑です。昭和の家庭にはどこにでもあったような昔の図鑑ですが、今見ると独特の雰囲気があってすごくおもしろいんですよ。 高井さん:たとえば昆虫を描くときにも、足の位置がいい加減だったりすると違和感が出てしまうので、図鑑を見てリアルな生き物の形をきちんと把握したいんです。その上で、スケッチを繰り返しながらデフォルメして、自分たちのカタチを見つけていきます。

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「海」をテーマに描いたラフスケッチ

松永さん:スケッチしながらいろいろ思いつくので、そのたびに脱線してる遍歴がわかりますね(笑)。すぐには採用しなかったアイデアも、後から形になったりするので、スケッチブックは資料として残しておきます。布の中に物語を散りばめて、布をきっかけに会話が生まれるようなデザインを心がけています。 松永さん:型染めというのは、好きな絵を自由に描けるわけじゃないんですよ。型紙はどこかくっついていないとすぐに破れてしまうので。でも、そういう制限の中で、型紙に落とし込むにはどうしたらいいのか考えるのがおもしろいんです。

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下絵を渋紙に貼り付けて丁寧に切り抜く「型彫り」

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来年の干支、ニワトリの手ぬぐいを作成中

松永さん:下絵が描けたら渋紙という型紙用の和紙に貼り、カッターで模様を切り抜きます。元になる下絵を直接彫っているので、原画は残りません。彫りながら線を決めていく感覚です。 高井さん:私たちはそれぞれデザインしているのですが、自分で描いた絵は自分でしか彫れません。彼の図柄を私が見ても、曖昧な線のどこを彫っていいか迷ってしまいますが、描いた本人は線の太さや全体のバランスを考えながら進めているんです。

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糊をヘラで均一に伸ばしていく「糊置き」

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松永さん:切り抜いた型に、補強のための紗を張ったら型紙の完成です。続いて、布の上に型紙を置いて糊をヘラで均一に伸ばしていく「糊置き」です。糊はもち粉と米ぬかから作られていて、糊を置いた部分は染まりません。糊を伸ばしたらそっと型紙を剥がし、作る枚数分それを繰り返します。

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布をピンと張って糊を乾かす

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高井さん:糊置きが終わったら、張り手と伸子を使って布を干します。伸子は竹の両先に針が付いていている道具で、その針で布の端を刺して引っ張り、糊の乾燥による縮みを防ぎます。団地に住んでいるおばあさんは、こうやって布を干す光景を小さい頃よく見かけたそうで「すごく懐かしいわ」なんて言われるんですよ。

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この後は「染色」→「色を定着させるために蒸す」→「糊を洗い流す」→「張り手を使い布を干す」という工程で、ようやく型染めの手ぬぐいが完成します。

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様々な技法に挑戦しながら新しい表現を探っていきたい

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高井さん:型染めや注染が主ではありますが、ほかにも、デジタルプリントやシルクスクリーンなどいろいろな技法を試しながら、どんな表現ができるのか模索しています。これからもひとつの表現にとどまらず、実験的にものづくりをしていきたいですね。 日本の伝統的な技法で染布を作りながらも、常に新しいスタイルを提案し続けているkata kata。ゆるっと肩の力が抜けたような、朗らかで素敵な空気を纏うおふたりでした。 第2回では、kata kataの作品やテキスタイルの日常への取り入れ方を伺います。

katakataさん後半の記事はこちら

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