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2015.10.20
一石『三』鳥。伊豆熱川の「お湯かけ弁財天」
熱川温泉は、駅を降りたところからいくつもの温泉やぐらが立ち、もうもうと湯気が立ち上る様子は温泉街の情緒を盛り上げます。 熱川の地で、この土地の所有者が夢のお告げにより温泉を掘り当て、その感謝のため祀ったと言われる「お湯かけ弁財天」にお参りしてみました。
伊豆急行線、伊豆熱川駅を下車し、海に向かい温泉場の中の坂道を下って2分。大きな温泉やぐらが見えてきます。

弁天偕楽源泉のやぐらです。
熱川の源泉温度は約100℃。そのため温泉井から湯気をあげ自噴します。
近付いてみましょう。

温泉成分が覆った岩の間から、勢いよく温泉が流れ出ます。

一石「一」鳥目は、温泉卵。

ここでは、この熱い源泉を利用して、「温泉茹で卵」を作ることができます。 駅前の熱川観光協会で新鮮な地卵を買うことができますので、買ってから降りて来ましょう。

温泉の桶の中に浸してから、10~15分でゆで上がります。熱川温泉は塩泉なので、ほんのり塩味がつきます。
一石『二』鳥目は、金運。

温泉やぐらの奥には、優しい微笑みを湛えた弁天様の像が祀られています。 この源泉には、こんな≪いわれ≫があります。 ≪この土地の先代の所有者は大阪商船の船長として海を駆け巡っておりました。 ある日、船長の夢枕に弁財天が現れ、 「熱川のこの地を掘れ、そこには豊富な熱泉が噴出するであろう。」とお告げがありました。そして、 「温泉の傍らに我が像を立て、その温泉をかけ願を掛ければ土地は繁栄し諸願は必ずかなうであろう。」 とも申されました。≫

船長はやがて下船し、ここを掘削したところ、お告げ通り200mの地底より100度の熱戦が噴出しましたが、自ら尊像建立の運びまでに至らず他界したため、昭和60年、現在の土地所有者が尊像を建立しお告げに応えることになったそうです。 よく見ると、脇に籠がいくつか下げられています。

≪小銭を入れ、流れてくる源泉で清めると、弁天様の霊力により「銭」が本来持つ「流通に伴い殖ていく」力を取り戻すと言われています。≫ と立て看板が。 早速やってみましょう。 あくまでも、お金の「本来の力」を取り戻させてあげる為であって、決してお金を増やしたい、という私利私欲のためではありません!

一石「三」鳥目は、縁結びのパワー。

ここお湯かけ弁財天には、大きな「ナギの木」が一本立っています。 ナギは、マキ科に属する松のような常緑針葉樹ですが、ますで広葉樹のような丸みを帯びた葉形をしています。

引っ張ってもなかなか千切れない強い葉であることから、男女の仲を結び付ける力も強いと信じられ、転じて縁結びの御神木となっています。 最愛のパートナーと出会いたい、出会った人との永遠の愛を願う、そんな小さな絵馬が、まるでナギの木の実のようにたくさん下げられています。

皆さんに沢山のしあわせが訪れますように。
路地から現れた、ほわほわのニャンコ。弁天様の飼い猫かな。幸せを運んで来てくれるおつかいかもしれません。

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Writer
荻嶋留美

家を一歩出れば旅の始まり。旅好きが高じ、 2002年、東伊豆の山頂でペンションエルブルズを 開業。人、動物、虫、植物・生き物大好き。 伊豆各地を写真で巡る旅を楽しんでいる日々。
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