![週末の朝ご飯を、森の中で。[HÜTTE muumuu/長野県大町市]](https://image.co-trip.jp/content/14renewal_images_l/284334/main_image.jpg)
136
2018.08.31
週末の朝ご飯を、森の中で。[HÜTTE muumuu/長野県大町市]
「日本に眠る愉しみをもっと。」をコンセプトに47都道府県に潜む「ONE=1ヵ所」の 「ジャパン クリエイティヴ」を特集するメディア「ONESTORY」から長野県大町市の「HÜTTE muumuu」を紹介します。
北アルプス山麓にある、休日だけのカフェ。

リスやキツネ、たまにカモシカも遊びに来る静かな森の中にある。
「朝ご飯」って大事だと思いませんか? 特に休日。美味しいコーヒーとパン、いい感じに焼けた目玉焼き。それが、木に囲まれた自然の中で楽しめるなんてこれ以上ない幸せかもしれません。長野県大町市の森の中に、そんなハッピーな時間を過ごせる「朝ご飯だけのカフェ」があります。
メニューはひとつだけ。でも全てが手作り。

築45年の別荘のインテリアを、半年かけてDIYした。
紅葉で有名な高瀬渓谷の入り口。別荘地・高瀬ハイランド内の小道を上っていくと、茶色の平屋が現れます。看板には、赤い旗のマークに黄色い「muumuu」の文字。ここ『ヒュッテムームー』は、春から秋の週末の朝だけオープンするカフェです。メニューは朝ご飯のみ。天然酵母も自分で起こし、もっちりと焼き上げた丸いパン、平飼いの卵を使った完璧なフォルムの目玉焼き、モカ・イルガチェフの豆をハンドロースターで焙煎したコーヒー。ベーコンもここで燻製しています。「自分が食べたい朝ご飯を出したい」とカフェを始めたのは、オーナーの村岡利恵氏です。
スキーがしたくて移住し、山小屋を住まい&カフェに。

店名の「ムームー」の由来は会社員時代の上司からの呼び名。
『ヒュッテムームー』にはこんな肩書きがついています。「編集デザイン室&朝食カフェ」。村岡氏はもともとは神奈川・湘南に暮らしながら、東京で雑誌などの編集に携わっており、2016年、ここに移住してきました。週末のカフェだけでなく企業PRのサポートやメディアへの取材執筆なども手がけています。縁もゆかりもないこの地に来た理由は「スキーがしたかったから」だそうです。自分がスキーにはまったきっかけを作ってくれた知人がいたこともあり、1年間の小谷村での地域おこし協力隊への参加を経て今の場所に居住しました。以前は金曜日にスキー用具を担いで都内の編集部に向かい、そのまま長野県に滑りに出かけたというほどのスキー好き。「スキー三昧の生活やカフェができそうなチャーミングな山小屋」に出会って購入し、2017年にカフェをオープンしました。
「移住は人生の岐路」ではないと思う。

カフェで使用するのは、イタリアのカステルメルリーノ社のアウトドア用家具だ。
関東では『フィガロヴォヤージュ』などライフスタイル誌の編集も手がけていた村岡氏。「華やかな生活から離れて森の中に移住なんて、随分思い切ったことをしましたね」と驚かれることも多いといいます。ですが、村岡氏は「どうしてそんなに覚悟がいると思われるんでしょう」と逆に問いかけます。スキー三昧の生活も、森の中の山小屋で素敵なインテリアに囲まれて暮らすのも、全部自分の好きなライフスタイルを実現させたかったから選んだこと。積み重ねてきたキャリアはなくなるわけではないし、友人も訪ねて来られる距離です。もしもまた引っ越したくなったら移ればいい。また、今の暮らしにも次の暮らしにも、良いことと悪いことは必ずあります。「私の場合は仕事の時間が減った分、やりたいことができる時間が増えた。そこに価値を置くかどうかです」と村岡氏。とにかく深刻に考えないこと。「どこかに定住する必要ってないと思うんです。いろんな場所に住んで、興味があることをやってみて、それが経験値になる。そうして自分の理想のライフスタイルを見つけていきたいと思っています」と村岡氏は話します。
まず自分がハッピーになることをやれば、周りも良くなる。

ケータリングも行う。「外国人観光客向けのベジタリアン料理なども提供したい」と村岡氏。
「この地域を盛り上げようとか活性化しようとか、そういう大きなことを自分ができるとは思っていません」と村岡氏。ただ、これまで編集者として物事をシンプルに伝えたり、デザインで魅力を引き出す表現を形にしてきたりした経験を生かして、「知られていないものの魅力をうまく発信していくことはできるかも」と話します。「商品のパッケージでも、パンフレットでも、もう少しこうすれば良くなるかもと思うスタイルを提案して、クリエイティヴに関することで役に立てることはある。まずは自分の身の回りのことを『もっと楽しく、ハッピーにしたい』と思ってやっていくと、自然と地域が良くなるのかもしれません」と村岡氏は言います。
いつでも帰れる場所は、離れることもできる場所。

コーヒーのテイクアウトも始める予定。モカ・イルガチェフを自分で手焙煎。
カフェには移住相談に来る人もいるといいます。あくまで村岡氏が自分自身に即してアドバイスをするのは、「今いる場所が好きで戻りたいと思えるかどうか、一度考えてみることが大事」ということ。移住先のコミュニティにどうしてもなじまなくてはいけない、という気負いもあまり持たない方が良いといいます。合う人は合うし、無理に合わせる必要もない。それは都会でも地方でも、どこにいても同じ。村岡氏は湘南を離れる時に大好きな人たちに見送られ、「ここはいつでも帰れる場所だ」と安心できたのが、長野移住の決め手にもなったのだそうです。最初から「長野に定住しよう!」と決めていたわけではなく、「ちょっと来てみたけど、気持ちいい町だから少し滞在しようかな」という、長い旅の延長のようなスタンスでした。ですがいつの間にか、もう春は3度目。最近では連休に白馬にいる友達と会ったり、湘南に遊びに行ったり、別の地方の友達が遊びに来てくれたり……と住む場所に関係なく人とのつながりは続いています。

丸パンの予約販売も行う。写真はイベントに出店した時の夏野菜のフォカッチャ。
「場所にとらわれないコミュニティ」を持っていれば、いつでもそこに帰れるし、そこから会いに来てくれる人もいる。また、移住先で良いコミュニティに出会えることだってある。旅した先々で友達が増えるように、「どこかに住むこと」は人生の中でコミュニティをひとつずつ増やすことといえるのではないでしょうか。 休日の朝ご飯、ちょっと遠出して森の中に味わいに行ってみてください。もしあなたが「違う場所に住みたい」「生活を変えたい」と考えているとしたら、今の暮らしにあるものとないものが少しはっきり見えてくるかもしれません。 写真提供:HÜTTE muumuu

柿の白和えや舞茸の菊花和えなど、季節感たっぷりのお弁当も相談可(写真は秋)。
HÜTTE muumuu
大町市平高瀬入2112-370(高瀬ハイランド内)
※掲載の内容は、記事公開時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。
※画像・文章の無断転載、改変などはご遠慮ください。
ONESTORY

「ONESTORY」は「ONE SPOT,ONE TRIP」をテーマに日本に潜むONE=1ヵ所を求めて旅するトラベルメディアです。そのONEは地域で活躍する人との出会いや宿、レストランのような場所など様々。ONEを深く知ることによって生まれるSTORY=物語の感動をお伝えします。
ライフスタイル
の人気記事
の人気記事







































