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2019.09.27
興味の入り口になれる本屋。お店自体が“本”のような存在に。[BOOKS AND PRINTS/静岡県浜松市]
「日本に眠る愉しみをもっと。」をコンセプトに47都道府県に潜む「ONE=1ヵ所」の 「ジャパン クリエイティヴ」を特集するメディア「ONESTORY」から静岡県浜松市の「BOOKS AND PRINTS」を紹介します。
本屋として掴み所のないセレクト。だが、それが面白い。

若木氏のお気に入りの2冊。ウォーカー・エヴァンス氏のポストカード集と、リー・フリードランダー氏が自画像を撮り続けた1冊。
本屋としての『BOOKS AND PRINTS』を見た時、人によっては全然面白くないという人もいるかもしれません。ですが、はじめは取っつきにくくても、どこかに入り口を見出してもらうことが、『BOOKS AND PRINTS』の最大の役割なのかもしれません。新村氏がそうであったように、それがイベントでも、スタッフとの会話でも、音楽チャートでも、1杯ずつ丁寧にハンドドリップで淹れるコーヒーでも、築50年以上のKAGIYAビルの雰囲気でも何でも構わないのです。だからこそ、この店に並んでいる本には、ある意味統一感がないのでしょう。

静岡市の専門店が焙煎するオリジナルのコーヒーも店内で飲める。1杯ずつ丁寧にハンドドリップ。
スタッフが思い思いの意見を持ち寄り、若木氏が面白いと思えば、いろんな本が店頭に並びます。若木氏の写真集のコレクションもあれば、企画展コーナーもあり、はたまた写真集とは関係のない本まで並び、そのセレクト自体だけを切り取れば、テーマに掴み所がないのです。しかし、それこそ『BOOKS AND PRINTS』の真骨頂。自分たちが面白いと思うもので、いかにお客様に興味を持ってもらうか、そしてその入り口になれるか。お客様の好奇心を満たすひとつのあり方が本だとすれば、『BOOKS AND PRINTS』自体がその本の役割を担っているとも捉えられます。
これも本屋としての広がり。地元の学生たちが手作りする本棚。

若木氏の後ろにあるのが可動式の本棚。棚枠の幅も自由に変えられる仕組みに。
そんな店ですから、本のセレクトだって自由奔放。本のセレクトなどは店長の新村氏をはじめとしたスタッフによる発案。入り口右手の棚は若木氏のカラーが強く、若木氏が代官山に事務所を構えていた時代に本棚に並んでいたものを、棚ごとほとんどそのまま持ってきたものが多いとか。そこには、ニューヨークに留学中に影響を受けた写真家の作品もお気に入りとして並んでいます。そうかと思えば、入り口の目の前は、月替わりの企画展コーナーに。取材したタイミングでは女性写真家特集が組まれていました。

KAGIYAビルの撮影をしていた若木氏と、若木氏の友人。フィストバンプでいつものように挨拶。
特徴的なのは、そんな本のセレクトだけではありません。開店した当初は中古品を買い集めたという店内の什器(じゅうき)にも『BOOKS AND PRINTS』ならではの化学変化が見て取れます。 「浜松には、すぐ近くに静岡文化芸術大学があるでしょう? 店のあり方やコンセプトに共感してくれるその学生さんたちが、資材代を支払うと、色々作ってくれるようになったんですよ。学生さんたちからすれば自分たちの作品が店に並びますからね」と新村氏は言います。

ここKAGIYAビルをはじめとした古ビルを中心に、若者たちがテナントとして入り、浜松に新たな息吹を与えている。
窓際に置かれた象徴的な可動式の棚は、実は『BOOKS AND PRINTS』の元スタッフが大学卒業後に手がけてくれたもの。『BOOKS AND PRINTS』を離れた現在は、「+tic(プラスチック)」という若手建築ユニットとして地元浜松を中心に活躍しているといいます。若木氏が掲げるカルチャースポットとしての本屋というテーマ。それは店の隅々から見出すことができるのです。
BOOKS AND PRINTS
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