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2020.03.09
花咲くお城と春色の城下町をめぐる小田原さんぽ
戦国時代は小田原北条氏の城下町、江戸時代には東海道の宿場町として栄えた小田原。小田急の特急ロマンスカーに乗れば、新宿駅から最短59分。展望席や、準個室のサルーン席を予約すれば、旅気分もひとしおです。春の一日、特急に揺られて小さな旅を楽しんでみてはいかが?
春から初夏へ、花の名所としても知られる「小田原城址公園」

ソメイヨシノの見ごろは例年3月下旬から(左)、梁に使われている松も当時の工法で復元している銅門(あかがねもん、右上)、本丸広場では戦国衣装のレンタル(500円)を楽しむ人の姿も(右下)
小田原駅東口を出て南西へと歩くとまもなく見えてくるのが小田原城天守閣です。 小田原城は、戦国大名・北条早雲から北条氏直までの北条五代が拠点とした城。現在は城跡一帯が公園として整備されていて、約300本が花開くソメイヨシノなど市内きっての花の名所としても知られています。 春は、お堀端の柳の新緑も美しい季節。昭和~平成時代に復興・復元された天守閣や城門をめぐりながら、風情あるお花見を楽しんでみましょう。

標高60mの高さにある展望デッキ。晴れた日には伊豆大島や房総半島まで一望
いくつもの城門をくぐって本丸広場まで上がると、天守閣はもう目の前。 内部は甲冑、刀剣、絵図、古文書など数々の資料を展示するギャラリーになっているので、時間があったらぜひ入館してみましょう。かつて城内を飾っていた江戸時代の美しい杉戸絵、貴重な写真なども見られ、小田原の歴史と文化にふれることができます。 3層4階の最上階は、360度ぐるりとめぐれる展望デッキに。小田原市街の向こうに広がる相模湾、雄大な丹沢の山々、険しい表情を見せる箱根の山々と圧巻の眺めが楽しめます。

八幡山古郭東曲輪から眺める小田原城天守閣と相模湾
広大な園内では、4月以降もさまざまな花が開花。4月中旬からツツジ、下旬には花房が1mあまりにもなるフジ、5月にはシャガ、6月になるとハナショウブやアジサイが見ごろを迎えます。 城址公園の散策を終えたら、すぐ西側にある小さな史跡公園・八幡山古郭東曲輪にも足を運んでみて。こちらは、相模湾と天守閣を同時に眺めることができる穴場的なスポット。カメラに収めたくなる絶景が待っていますよ。 ○小田原城址公園 交通:小田急線小田原駅から徒歩10分

小田原城址公園
オダワラジョウシコウエン
報徳二宮神社の参道にある「きんじろうカフェ」で開運カプチーノを

神社の杜のなかにあるオープンエアのカフェ
花見客でにぎわう天守閣一帯を過ぎ、園内の南西端に向かうと、大きな木々に抱かれるように建つ静かな神社に出会います。小田原出身の二宮金次郎を祀る報徳二宮神社です。 こちらの参道にあるのが二宮金次郎をテーマにした「きんじろうカフェ」。境内を彩るさまざまな種類の桜を目に、ひと息つくことができます。

「カプチーノ」(605円~)・「きなぽん。」(495円、左)、裏表で柄が異なるやわらかなガーゼの「きんじろう幸福ハンカチ」(825円、右上)、「片浦レモンサイダー」(1本385円など、右下)
お目当ては、金次郎と「開運」の文字をモチーフにしたご利益のありそうなカプチーノ。市内の専門店が手がけるポンデケージョにきな粉とオリジナルのカラメルソースをかけたおやつ「きなぽん。」も好評です。 店内では、かわいくて、ちょっとためになる「きんじろうグッズ」も販売。例えば「きんじろう幸福(しあわせ)ハンカチ」は、パッケージに金治郎の言葉「積小為大(大きな事をしたいと思えば、小さなことを怠らず勤めるがよいの意)」の文字が。 並びのカフェには地場産の柑橘を使った地域振興サイダーやお菓子類があるので、こちらものぞいてみて。 ○きんじろうカフェ 交通:小田急線小田原駅から徒歩15分

きんじろうカフェ
キンジロウカフェ
富士屋ホテル出身のシェフが開いた「フレンチ食堂 iTToku」

「本日のランチ」(1650円)。料理のベースは正統派フレンチで、この日のメインはタチウオのデュクレレ風。かまぼこ用の白身魚のすり身を羽田沖でシェフが釣り上げたタチウオでくるんだ一品
富士屋ホテルの最年少料理長として活躍した星一徳さんが手がける、カジュアルな雰囲気のフレンチダイニング。 特徴は、南足柄産の豚肉、小田原市内の有機栽培の野菜といった地元の幸に加え、冬は大分のカキ、春は天城のシャモなど旬のこだわり食材が豊富にそろうこと。「少量生産でも、ほんとうにおいしいもの」を求めてシェフ自ら国内外の生産者を訪ねて仕入れるそうで、いつ訪れてもわくわくすようなメニューに出会えると、地元でも人気の一軒です。

全14席の小ぢんまりとした一軒。錦通りに古くからある建物をリノベーションしている
ランチは、メインをその日の魚介または肉料理から選べるセットメニュー。カラフルなサラダ、季節のスープ、湘南小麦を使って店内で焼き上げるパンまたはライスが付き、ゆったりと味わえます。 夜はアラカルトのほか、要予約のコース(5500円~)も好評。自然派ワインも充実していて、夜桜見物を兼ねて出かけるのもよさそうですね。 ○フレンチ食堂 iTToku 交通:小田急線小田原駅から徒歩5分

フレンチ食堂 iTToku
フレンチショクドウイットク
室町時代から続く「ういろう」で春だけの桜スイーツを

「さくらさくら」(648円)。「ういろう」の本店喫茶室でのイートインのみのメニュー
お花見さんぽのお楽しみに、桜づくしが楽しめる和スイーツはいかが? とろりととろける桜のゼリーの下に、コクのあるムースと香り高い自家製の桜餡が入った「さくらさくら」。こちらは、小田原市内の老舗「ういろう」が、毎年3月~4月中旬の間だけ出している春限定メニューです。 塩漬けにした桜花のトッピングもかわいらしく、五感で春の訪れを楽しめそう。

小豆、茶(抹茶)、白(白砂糖)の「ういろう」(1本756円~、左上)、お菓子の販売コーナーと調剤室が並ぶ店内(左下)、小田原の春を表した半生菓子「錦甘露(きんかんろ)」(6個864円、右)
「ういろう」は、外郎(ういろう)家が営む商家で、室町時代から約650年・25代にわたって続く小田原最古の老舗。看板商品でもあるお菓子の「ういろう」は、約600年前に国賓をもてなすために考案したという米粉の蒸し菓子が評判となり、家名からこの名で呼ばれて全国に広まったものだとか。 もともとは京都、さらに遡ると中国の公家にルーツをもち、小田原には北条早雲の招きでやってきたという外郎家。代々受け継がれた医薬術に基づく万能薬「透頂香(とうちんこう)」も有名です。伝統の八棟造りの本店で、小田原の歴史を感じてみて。 ○ういろう 交通:小田急線小田原駅から徒歩15分
ういろう
ウイロウ
おいしいコーヒーとヴィーガンスイーツの「BLEU COFFEE STAND & BAR」

地元産の全粒粉小麦、オーガニックのケチャップやマスタードを使う「ホットドック」(600円、左上)、モルタルの壁が印象的な店内。築50年以上の民家をリノベーション(左下)、コーヒー豆をあしらった看板(右)
アパレル業界出身の琴寄訓章さんが、地元・小田原においしいコーヒースタンドをと2018年に開いた一軒。小田原駅から続く繁華街の路地にあり、昼はコーヒースタンド、夜はバーとしてにぎわっています。 ストレートのコーヒーは深煎りの「ブリューブレンド」や「オーガニックデカフェ」など約5種類(450円~)。いずれも辻堂の「27 Coffee Roasters」の豆を使い、注文を受けてから1杯ずつハンドドリップでていねいに淹れてくれます。その他、エスプレッソやソイラテなどもそろっていますよ。

日替わりの「ヴィーガンスイーツ」(1個450円~)
コーヒーとともに楽しみたいのが、琴寄さんの奥様が作るヴィーガンスイーツ。「少しでも体に負担のかからないおやつを」とオーガニック食材にこだわり、卵など動物性の原料を使わないほか、小麦粉や白砂糖も不使用。米粉やアーモンドプードルを主原料に、季節の地元のフルーツを使った見た目にもかわいい焼き菓子が並びます。 メニューは日替わりで、毎日2種類が登場。ドリンクやフードはテイクアウトも可能なので、春の公園でピクニックを楽しむのもよさそうです。 ○BLEU COFFEE STAND & BAR 交通:小田急線小田原駅から徒歩5分

BLEU COFFEE STAND & BAR
ブリューコーヒースタンドアンドバー
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佐藤史子 写真:山下コウ太
小田急電鉄

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