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2020.10.20
津軽の女性たちが紡ぐ手仕事、こぎん刺しの品を探しに弘前へ
津軽塗りやあけび蔓細工など、青森県弘前市は古くから工芸品の制作が盛んなエリア。なかでも弘前を代表する工芸品のひとつ「こぎん刺し」は、手仕事と思えないほど繊細な模様と北欧雑貨を思わせるあたたかみのあるデザインから、女性を中心に人気を集めています。地元の刺し子さんたちが手掛けるこぎん刺しのアイテムを探しに、弘前を巡ってみませんか?
津軽地方に受け継がれる伝統工芸品・こぎん刺し
くるみボタン1個450円~
青森県弘前市をはじめ、青森市や五所川原市などを擁する津軽地方に伝わる伝統工芸品「こぎん刺し」。藍で染めた麻布に白い木綿糸で幾何学模様を刺繍する、刺し子技法の一種です。「モドコ」と呼ばれるシンメトリーな菱形の基礎模様を組み合わせ、より大きく美しい模様を生み出していきます。 こぎん刺しのはじまりは江戸時代、農村の女性たちが野良着の補強や保温のため、刺繍を施したこととされています。次第に模様の美しさにもこだわり、津軽地方を代表する伝統工芸「こぎん刺し」として発展を遂げました。
こぎん刺しの歴史と魅力を伝える「弘前こぎん研究所」
「こぎん」とは津軽地方の方言で野良着のこと
JR弘前駅から車で約10分。閑静な住宅街に「弘前こぎん研究所」はあります。津軽地方に根付くこぎん刺しの伝統を絶やすまいと、研究や制作を行う施設です。
手鏡1個2600円
弘前こぎん研究所では、手鏡やスリッパ、くるみボタンなど、さまざまなアイテムを制作しています。館内にショップスペースはないものの、スタッフに声を掛ければその場で購入できます。 製造場所だけあって、手鏡ひとつとっても糸の色や模様の異なる商品が数多くそろい、どれにしようか迷ってしまうほど。どの模様も機械で織っているかと思うほど緻密で驚かされますよ。
弘前こぎん研究所が複製したこぎん模様のパターン
また、館内に設けられた刺し子さんたちの作業場やギャラリーは、事前予約で見学ができます。ギャラリーには複製したこぎん模様のパターンを展示。実際に手に取って、模様の多様さや繊細さを感じてみましょう。
弘前こぎん研究所
ひろさきこぎんけんきゅうしょ
今の暮らしになじむこぎん刺しアイテムが並ぶ「green」
白を貴重としたインテリアがアイテムの魅力を引き立てる
JR弘前駅から徒歩10分ほどの場所に建つセレクトショップ「green(グリーン)」。“人と地球に優しい”をコンセプトに集められた、衣類や生活雑貨、コスメなどを扱うお店です。看板商品は、弘前こぎん研究所とコラボしたオリジナルのこぎん刺しアイテム。洗練された色合いやデザインが注目を集めています。
桜と銀鼠色のこぎん刺し がま口1個2310円~
アイテムは名刺入れやブローチなど約10種類がラインナップ。糸の色と模様の配置を工夫することで、伝統の基礎模様を守りながらもモダンなアイテムに仕上げています。7色を展開するカラーリングのなかでも特に人気が高いのが、「桜と銀鼠色のこぎん刺し」。弘前が東北屈指の桜名所であることからイメージした淡いピンク色と、市内に建ち並ぶ洋館の壁材に用いられる淡いグレーを組み合わせたgreenのオリジナルカラーです。 弘前こぎん研究所の刺し子さんたちが手がけているだけあって模様の美しさは折り紙付き。お気に入りがきっと見つかりますよ。
green
グリーン
築約100年のレンガ倉庫を改修した弘前れんが倉庫美術館
このほか弘前市内には、インテリアにこぎん刺しを取り入れたカフェや宿があったり、駅にこぎん刺しのオブジェが展示されていたりと、いたるところでその魅力を感じることができます。こぎん刺し以外にも、青森ならではのりんごスイーツを味わえるカフェや、2020年7月にオープンしたアート施設「弘前れんが倉庫美術館」など話題のスポットが盛りだくさん。弘前のまちをバスに乗ったり、さんぽしながら、気になるスポットへ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。 現在発行中の「ことりっぷマガジン 秋号」では、「弘前こぎん研究所」や「green」をはじめ、こぎん刺しアイテムを扱う弘前市と青森市のショップを紹介しています。素敵なアイテムと出会いに、足を運んでみてください。
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菅原聡子
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